将棋とは無関係ですが、今回は作業の効率について取り上げようと思います。
岡山県 PTA 連合会が解散するそうです。都道府県単位の連合会としては初めての事例のようです。
2008年度には県内全ての市と郡の連合会が加盟し、約18万人の会員がいたが、09年度の岡山市を皮切りに各地の団体の脱退が相次ぎ、会員数は激減。現在は5郡市の団体、会員9800人に減っている。23年度以降は活動も限られ、広報紙関係の業務と小中学生のスマートフォンの使い方を考えるスマホ講習会の開催がメインとなっていた。
活動は主に会員の年会費で賄っており、会員数の減少で十分な活動の継続が困難として、4月の臨時総会で解散を決めた。
PTA はおよそ、学校単位の PTA - 市単位の連合会 - 県単位の連合会 - 日本 PTA 全国協議会、という階層構造があります (郡単位と町村単位などの話は省略しています)。
各学校の PTA は「市単位の連合会に加入している負担に耐えられない」と感じたら脱退しますし、市単位の連合会は「県単位の連合会に加入している負担に耐えられない」と感じたら脱退します。その上の階層だと、2023年に東京都小学校 PTA 協議会が日本 PTA 全国協議会を脱退した件がかなり話題になりました。
上記の記事の中に「活動は主に会員の年会費で賄っており、会員数の減少で十分な活動の継続が困難」という記述があります。つまり活動は scalable ではなかったということです。推測になりますが、「市単位の連合会が脱退することなどないだろう」という認識のもとに予算や行事参加見込み人数をかなり決め打ちしてしたものと思われます (そして見込み人数に到達しなければ下部組織へほぼ強制的な動員をかけたのではないかとも思われます)。
関西を見渡すと、県庁所在地の市連合に脱退された県連合として奈良県があります。奈良市 PTA 連合会の事務局長の話を引用します。
「財政難の中、奈良県Pから提示される分担金の負担が重いことに加え、いちばん大きかったのは、PTAの任意加入に対する意識の違いです。当時私たちは、先ほど申し上げたように、一時的に退会者が増えても任意加入の周知や入会意思確認が必要だと考えていましたが、当時の奈良県Pの会長さんは『PTAは全員が入っていることに意味がある』とのお考えでした。そこに大きな齟齬(そご)がありました」
ご存じの通り、PTA へ強制的に加入させることは違法です。結果として、奈良県 PTA 協議会の組織構成には奈良市 PTA 連合会は存在しません。
で、この奈良県で2026年に日本 PTA 全国協議会の全国大会を開くようです。そこにはこう書かれています。
日本PTA全国大会を開催することは、簡単なことではありません。様々な課題があり、乗り越えなくてはならない壁がいくつもあることが想像できます。その壁を乗り越え、一致団結して向かう先に、奈良大会の成功があることでしょう。
この文章だけで決めつけるわけにはいかないのですが、既に scalability を失っている可能性がとても高そうに見えます。
「実行委員会 メンバー募集」というチラシを見ると、後戻り (scale down) できない項目 (そこそこ費用が掛かり、それに見合う収入がないと赤字になる項目) がたくさんあることがわかります。「イベント会社」や「各種業者」を選定してしまったら、その出費額はかなり確定的となり、それに見合う参加者を集めなければならなくなります。
あ、もちろん、純粋に「参加したい」という方だけで充分な人数が集まるならこの方法で悪くはないと思います。ですが…全国大会は毎年5000人~8000人規模で開いているようでして、参加費5000円のこういう大会へ純粋に「参加したい」という方は全国にいったい何人いるでしょうね。
参加見込み人数に届かなければ、各連合会などでほぼ強制的な動員がかかるでしょう。
すみません、寄り道しすぎました。本題はここから。
1年前の広島大会の資料があったので、見てみました。2点取り上げます。
1点目。参加申し込み手続きがあまりにも多段になっています。途中、無駄な作業が大量に発生していることが見て取れますでしょうか。
この仕組みで、例えば単位 PTA を通して6月12日までに参加申し込みをした方が急用で参加できなくなった場合に取り消し手続きをしたらどれだけの手間が発生するか、すぐにわかると思います。
こんなのは、個人が web で申し込む形を基本にすればほとんどの作業はなくなります。web 操作が苦手な人のために団体が代理入力するとか、団体から補助金がでる pattern とか、考慮するほうがいいことはいくつかありますが、それでもさほど複雑にならずに system を組めます。
私が知る限り最悪の仕組みだと感じました。
2点目。大会運営が宿泊手配もしています。これも大変悪い方法です。
- 運営側の負担が大量に増えます
- 参加者はあまり自由に宿泊先を選べません
- 参加者が特定の宿の割引券などを持っていても利用できません
- 当日不泊者が出た場合に運営が費用をかぶることになりそうです (未確認)
これは、将棋大会参加費が弁当代込みになっている事例の、さらに大規模版です。PTA は基本的に小中学生の保護者で運営されているので、上記のような業務・責任まで背負い込むと過剰負担になります。だからといって業者に頼むと結構な費用が発生します (そして動員数を増やして参加費収入を確保しなければならなくなります)。
(なお、日本 PTA 全国協議会の全国大会は、私が見た限りでは参加者5000人~8000人、参加費5000円が基準のようですので、参加費収入は2500万円~4000万円と推測できます。)
ここでふと思いました。「もしかして日本 PTA 全国協議会は資金が潤沢なのか」と。
で、日本 PTA 全国協議会の情報公開を見てみたのですが…なんと、「予算書」と銘打った書類には予算は一切かかれていません。
仕方がないので最新の貸借対照表を見てみると、正味財産は3億数千万円、1年間の赤字は数千万円ほどのようです。
このままいくと5~10年間くらいで資金が尽きるように見えます。
強制動員をかけると、脱退者 (脱退連合会) は増えていきます。
日本 PTA 全国協議会の組織改革は、あと1~2年間くらい猶予があるのか、それとも既に手遅れか、どちらかのように思えます。
将棋の団体も、今のままだと〇年後にどうなる見込みなのか、今のうちに検討しておくことが望ましいと思います。

