■2002年4月の日経ビジネスには三洋電機の経営を賞賛する記事が出ている。
いわく、経営のベースにあるのは弱いブランド力に対する危機感。
中国ハイアールとの提携、ウォルマートを通じた全米一のテレビ事業、
OEMで世界シェア30%のデジカメ、世界トップの液晶プロジェクター、
収益の柱である2次電池事業やアナログ半導体事業。
いずれも他社が見習うべき経営と絶賛されている。
三洋電機にはそんな時代も確かにあった。
しかし、その後三洋電機の経営は失速し経営再建途上会社に陥る。
2005年3月期連結決算では、1,700億円という過去最悪の赤字となる。
2005年6月には経営陣が、
野中ともよ会長兼CEO、井植敏雅社長兼COO体制に交替し、
7月には大規模なリストラを含む経営再建計画を発表する。
・国内工場総面積の2割相当を閉鎖・売却。
・全世界の従業員の15%、約1万4000人の削減。
・14分野で構成される事業を6つの領域へ再構成。
この3つの大胆な計画で、三洋電機は再び浮上を目指すはずだった。
しかし、ジャーナリスト出身の野中氏の会長就任は、
どさくさにまぎれた同族経営継承のカモフラージュと
揶揄されるほど、三洋電機を見る内外の目は冷ややかだった
主力の事業も次々と雲行きがあやしくなる。
今年6月には、2月に発表されたノキアとの
CDMA2000携帯電話事業の合弁会社設立見送りが発表される。
そして先月11月には、
07年3月期の純損益が、当初の黒字予想から
約500億円の大幅赤字になる見通しと発表され衝撃が走る。
中期経営計画が見直され、
携帯電話事業の分社化や売却を含めた事業再編が検討される。
かって花形事業だったデジカメや携帯電話は
今では三洋電機の足を引っ張るお荷物事業に成り下がっている。
携帯電話事業を売却するといっても、そう簡単には相手は見つかりそうもない。
いよいよ三洋電機の頼みの綱は、2次電池事業ということになる。
ところが、先週12月7日、こんな重要な時期に、
NTTドコモが三菱電機製「D902i」用電池パックの一部約130万個
の回収・交換を発表し、その電池パックが、
三洋電機の子会社三洋ジーエスソフトエナジー製であることが明らかにされた。
三洋電機にとってはまさに泣きっ面にハチの出来事。
これまでの経緯を振り返った時、
わずかな経営判断ミスが、抜き差しならない状態に陥る可能性がある、
という実例を三洋電機は示している。
野中会長は、三洋は変わりますと強調してきたが、
これからどこがどう変わるのだろうか。
■日曜日は休ませてもらう予定だったが、
最近、また会社に出る事が多くなった。
やることが多い以上、仕方がない。
今日も、午後馬車道のショップに出る事にした。
当面、来年の事業展開の仕掛けが続く。