チェロの名手で女性といえば、の問いに真っ先に挙げられることが一番多いのは、ジャクリーヌ・デュ・プレだろう。
若くして天才チェリストの名声を得たが、夭逝という悲運もあり伝説的存在になっている。
最後のスタジオ録音とライブ録音はともに1970年代前半、つまりアナログレコードの時代。
オーディオ界初のデジタル音楽ソフトの CD が登場したのが1982年だから、彼女の演奏を聴くには古い LP か経年劣化したアナログマスターテープからデジテル化したものになる。
今回入手したのは以下の LP。
サン=サーンス『チェロ協奏曲 第1番』/ シューマン『チェロ協奏曲』
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)、
ダニエル・ バレンボイム指揮、 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1968年録音
米国盤、Angel Records(EMI)、S-36642、1970年発売
マトリクス
Side 1: S1-36642-F2
Side 2: S2-36642-F2
オリジナル盤(His Master's Voice、1969年発売)の Near Mint 盤だと軽く1万円以上するので、オリジナル盤の翌年に米国で Angel Records(EMI)から発売されたのを選んだ。
ジャケットの表記順とは逆に、Side 1 にシューマンの、Side 2 にサン=サーンスの作品が収録されている。
録音・発売から半世紀以上が経っているが、洗浄して気になるノイズもなく聴けた。
デュ・プレの演奏は非常に情熱的だと評されるが、この LP の2作品ではそこまで感じなかったものの、ボウイングのテクニックは流石だし、チェロは良く歌っている。
夫の D. バレンボイムの指揮によるオーケストラが、彼女の演奏に寄り添い引き立てている。