辛島美登里『GREEN』初回盤とリマスタリング盤の収録音量解析 | 俳句銀河/岩橋 潤/太宰府から

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アルバム CD の再発盤では、初回盤とは異なるマスタリング (リマスタリング) が施されたり、ディスクの材質や製法が変わることがよくある。

 

リマスタリングで最も頻繁に行われているのは、コンプレッサー等を使って収録音量を上げる操作で、ぱっと聴くと初回盤よりも大きな音で聴こえる。

 

そんなリマスタリング盤がディスクの材質や製法を変えてつくられていると、リスナーの中には 「材質が変わったから音がくっきりしているんだ」 などと誤解する人も出て来る。

 

当ブログでは、何人かの音楽家の CD の再発盤の収録音量を波形解析し、収録音量が上げられていることを示してきた。

 

今回は、辛島美登里『GREEN』 の中の3曲を、初回盤とデジタルリマスタリング盤 (Blu-spec CD2) で波形解析した結果を掲載する。

 

デジタルリマスタリング盤については既に昨年の記事 (リンク) に掲載したが、このたび初回盤を購入したので、波形の比較を行うことにした。

 

 

各曲のグラフの横幅が収録時間に比例するように掲載している。 

 

「夢の中で~Graduation~」

初回盤

デジタルリマスタリング盤

 

「夢の中で~Graduation~」 はアルバムの中でとりわけ収録レベルが高い曲だが、初回盤では曲全体にわたってきっちりとマージン (最大収録レベルである 0dB との差; グラフの余白部分) が取られているのに対して、デジタルリマスタリング盤ではマージンがほとんどなく、悪名高き海苔波形に近いグラフになっている。

ここまでコンプレッサーを過剰に効かせると、原曲のダイナミックレンジは相当失われて、うるさく歪みの多い音になる。

 

 

「サイレント・イヴ」

初回盤

デジタルリマスタリング盤

 

辛島美登里の代表曲である 「サイレント・イヴ」 も、デジタルリマスタリング盤では波形が 0dB に達している箇所が非常に多く、残念な波形だ。

 

 

「裸足のエリーゼ」

初回盤

デジタルリマスタリング盤

 

「裸足のエリーゼ」 は しっとりしたバラードで、アルバムの中で一番静かに展開する曲だが、それでもデジタルリマスタリング盤では波形が 0dB に達している箇所が多い。

 

 

『GREEN』 のマスタリングエンジニアの名前をイニシャルで掲載すると、初回盤は R.M.、デジタルリマスタリング盤は M.A.。

 

もう、『GREEN』 をデジタルリマスタリング盤で聴くことはないだろう。

 

 

なお、初回盤の品番は FHCF-1112 で1991年発売。

 

初回盤と同じ音 (マスタリング) で1998年に再発売された品番は FHCF-9617。

 

現在、Wikipedia の辛島美登里に関するページにおいて、『GREEN』 の初回盤の品番が FHCF-9617 と誤って記載されている。

 

デジタルリマスタリング盤 (Blu-spec CD2) は2013年発売で、品番は MHCL-30142。

 

 

このアルバムに収められている 「涙のリフレイン」 も大好きな曲で、歌詞には載っていない最後のコーラス部分Go with the memories がとても印象的。

 

 

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