回想、デスラー総統(宇宙戦艦ヤマト 1974-1983年) | 俳句銀河/岩橋 潤/太宰府から

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私が小学生から高校生だった時、オリジナルの 『宇宙戦艦ヤマト』 シリーズ作品 (初作品から完結編まで) がTV放送や劇場公開された (1974-1983年)。

 

初作品には劇場版とTV放送版とがある。

SF作品では善と悪の戦いが描かれることが多く、地球人類の最初の敵は大マゼラン雲にあるガミラス帝国で、支配者はデスラー総統

しかし、ストーリーが進むにつれて、単純に 「ガミラスは悪である」 とは言えないことが分かって来る。

名の通りガミラスは帝政であり、多方面で星間戦争を遂行してはいたが、そうせざるを得なかったことが描かれている。

ガミラス星 (きょうだい星のイスカンダル星も) は星としての寿命を迎えつつあり、ガミラス星は地殻活動の活発化により大気・雨・海のすべてが強酸性になっていた。

このような自然環境では農業・畜産業・漁業は不可能であり、食料を他の星々から採集あるいは奪取する他に無かった。

滅びゆく星の住民の心情は穏やかではなかったはずで、放っておけば社会不安の高まりから治安が相当悪化しただろうと予想される。

従って、独裁強権統治を敷くのはやむを得なかっただろう。

ガミラス人は移住先の星を探索・獲得する目的でも星間戦争を行い、その最も新しく有望な (戦闘力が低い) 目標として地球が選ばれた。

地球は、イスカンダル星にただ二人生き残った女王スターシャとその妹サーシャの助けでオーバーテクノロジーの宇宙戦艦ヤマトを建造し、イスカンダル星までの旅を成功させてコスモクリーナーDを持ち帰り、地球は救われた。

ガミラス星の都市には、二重構造になった地殻の内側地殻の地上都市と外側地殻の裏の天井都市とがあり、いずれもヤマトとの戦闘で滅びた。

天井都市にある総統府が脱出用の小型艦となっており、これを初代デスラー艦とよぶ。

後進しながらのワープが可能。

<総統府兼初代デスラー艦>(Starship Schematics Database より転載)

劇場版では、崩壊する天井都市とともに濃硫酸の海へ落ちていく総統府の中で、デスラーの頭上に大きな瓦礫が降って来るシーンが最後の登場シーンになった (デスラーの生死は不明)。

最期を迎える前に、デスラーは地球との和平交渉・話し合いによる共存を進言したヒス副総統を射殺。

TV放送版では、海へ落下した総統府はエンジンを噴射してガミラス星を脱出、デスラーは地球を目前にしたヤマトに最後の決戦を挑み、白兵戦でのヤマト制圧に失敗してデスラー砲を放ったものの、ヤマト技師長の真田志郎が開発していた空間磁力メッキにより跳ね返されたエネルギー弾に当たって艦は爆発四散した (デスラーは死んだとみるのが妥当)。

この、劇場版とTV放送版とで、デスラーの最後の描き方が違うことが、次に述べる2通りの続編での登場の仕方の違いに表れたのかもしれない。

 

 

続編は劇場版 「さらば宇宙戦艦ヤマト」 とTV放送版 「宇宙戦艦ヤマト2」 の2通りのストーリーがある。

「さらば宇宙戦艦ヤマト」 では、ガミラス人の生き残りはデスラーと副官のタランだけという設定 (これについて私は異論があり、下記で述べる) で、彗星帝国に身を寄せていた (居候のような立場)。

ヤマトへの復讐の鬼と化していたデスラーは、ズォーダー大帝よりチャンスを与えられ、出撃へのはなむけとして彗星帝国の最新鋭駆逐艦艦隊を贈られた。

2代目デスラー艦の艦首デスラー砲発射口の左右にある瞬間物質移送器を使って駆逐艦を次々とヤマトの至近距離にワープアウトさせ、回転砲塔速射による奇襲攻撃によりヤマトを反撃不能状態に陥らせた。

突然の駆逐艦艦隊の出現にヤマト第1艦橋の乗組員たちは混乱し、真田が 「デスラー戦法」 と言ったため乗組員たちは驚愕した。

デスラーが生きていただって!?」

しかし、初作品において瞬間物質移送器を用いたのはドメル将軍なので、真田の言葉は誤り。

ヤマト第1艦橋に通信の声が響き、スクリーンにデスラーが大写しになった。

(不敵な笑いとともに) 「ヤマトの諸君、久しぶりだね。 また会えて光栄の至りだ」

「宇宙戦艦ヤマト2」 では、デスラー初作品においてヤマトとの戦いで死んだが、宇宙空間を漂う遺体が彗星帝国に拾われ蘇生された。

生き返ったデスラーは、大帝に拝謁する際、ガミラスの技術をもってしても不可能だった蘇生技術に感嘆するとともに感謝の意を述べた。

ヤマトと対峙した際の艦隊は、2代目デスラー艦とガミラスの駆逐型デストロイヤー艦、三段空母、戦闘空母、シュルツ艦と同型の戦艦で編成されていた。

ガミラス帝国は大マゼラン雲と小マゼラン雲を支配圏とする星間国家であり、ガミラス人は広範囲に多くの星々に入植し、遠征艦隊も存在していたはずで、「宇宙戦艦ヤマト2」 だけでなく以後の作品でも多くのガミラス人や残存艦が登場したことは理に適っている。

<2代目デスラー艦>(バンダイのプラモデルの箱絵から)

(Starship Schematics Database より転載)

2通りの続編に共通して、デスラーはヤマトそして古代進との戦いの中で、自分の戦いの根底にはガミラスに対する愛があり、それはただ侵略が目的の彗星帝国とは違うことを示した。

それが最も良く表れていた台詞が、「彗星帝国に身を寄せていたとはいえ、私の心は・・・、私の心は、遙かに君たち地球人類に近い!」。

デスラーは、地球の枠を超えた大きな愛を抱く古代との間に共感・友情を抱き、「さらば宇宙戦艦ヤマト」 では白色彗星の弱点を、「宇宙戦艦ヤマト2」 では都市帝国の弱点を古代に教えた。

ヤマトとの戦闘で2代目デスラー艦は大破し、「さらば宇宙戦艦ヤマト」 では戦闘で重傷を負ったデスラーは古代に 「この戦闘、ヤマトが勝つ! 成功を祈る!」 と別れを告げて艦橋のハッチを開き、身を宇宙空間へ投げ出した。

一方、「宇宙戦艦ヤマト2」 ではタランの進言でデスラーは三段空母へ移った。

戦闘空母は損傷していたため修理が必要だったが、損傷の原因は、戦闘空母艦長バンデベル将軍がヤマトへの攻撃に金属を腐食させるバクテリアを使用したが、バクテリアの取扱を誤って自艦も戦闘不能に陥り、さらに、立ち直ったヤマトの主砲攻撃を浴びたことによる (撃破されなかったことは注目される)。

報告に訪れたバンデベルに対し、デスラーは彼の失態に激怒して射殺。

 

 

デスラーが次に登場したのはTVスペシャル番組 「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」 で、これは 「宇宙戦艦ヤマト2」 の続編であり、暗黒星団帝国という敵が登場。

暗黒星団帝国は、無人となっていたガミラス星の地下資源であり星間戦争に必要な高エネルギーを生むガミラシウムを採掘し、ガミラシウムと同じ性質があるイスカンダル星のイスカンダリウムも狙っていた。

そこへデスラーの艦隊が通りかかった。

艦隊構成は、戦闘空母を大型化・武装強化したデスラー戦闘空母デスラー砲や瞬間物質移送器を追加装備、三段空母、駆逐型デストロイヤー艦であり、「宇宙戦艦ヤマト2」 で登場したシュルツ艦と同型の戦艦は見当たらない。

<デスラー戦闘空母>(バンダイのプラモデルの箱絵から)

(Starship Schematics Database より転載)

デスラーの怒りの台詞 「許せん! わが母なる星を傷つけるとは・・・」。

続けて、「全艦戦闘配備! 密集隊形で続け!」 と命令。

デスラー艦隊は採掘施設・作業船を護衛する護衛艦群と戦闘になった。

その最中に、護衛艦の砲撃が味方の大型作業船に命中 (誤射か、それとも故意か) して地上の採掘施設に落下・爆発し、採掘管を通して地下深くのガミラシウムが連鎖的に誘爆して、元々星としての寿命が尽きつつあったガミラス星は宇宙から消えた。

デスラーの悲しみの台詞 「たとえ滅びゆく運命にあった星とはいえ、こんな残酷な結末を迎えるとは・・・。 この目でそれを見ることになろうとは・・・」 (タランも目を閉じ、部下たちも泣いていた)。

ガミラス星の爆発消滅にともなって重力バランスを失い、宇宙空間を暴走し始めたイスカンダル星を救うため、デスラーは地球とヤマトへメッセージを送った。

新乗組員たちの訓練航海中だったヤマトは、地球防衛軍の藤堂長官の承認を得て、大マゼラン雲へ向かった。

ヤマトがかけつけるまでの間、ガミラス艦隊はイスカンダル星を追っていた。

デスラーはスターシャと古代守 (進の兄) に身の安全のため自分の元へ避難するよう説得したが、二人は星と運命を共にする強い決意を述べて断った。

なおもデスラーが説得を続けていると、暗黒星団帝国のマゼラン方面軍第1艦隊 (旗艦は巨大戦艦プレアデス、司令官はデーダー) の奇襲を受け、ガミラス艦隊はイスカンダル星のマザータウン周辺の海に着水し、上空にデスラー戦闘空母から発射したデスラー機雷で防御網を張った。

デーダーは艦砲射撃で機雷群の掃討をしながらプレアデスの艦載機 (円盤型戦闘機、イモ虫型戦闘機) でガミラス艦隊を攻撃し、デスラーは必死に防戦するも、三段空母や駆逐型デストロイヤー艦が次々と撃沈させられ、徐々に追い詰められていった。

宮殿から見ていたスターシャは、「私たちのために、デスラーが、あのデスラーが!」。

ついに機雷群が突破され、デスラーが 「もはや、これまでか・・・」 と呟いた時、イスカンダル星の空の一点からヤマトのコスモタイガー隊と古代が搭乗するコスモゼロが現れた。

イモ虫型戦闘機の1機が、被弾した状態で海面すれすれを飛行しながらデスラー戦闘空母へ向かったが、寸前でコスモゼロにより撃墜された。

デスラー戦闘空母の前を通過するコスモゼロを見つめてデスラーは 「古代・・・」 と呟いた。

コスモタイガー隊が第1艦隊の巡洋艦群をヤマトへおびき寄せ、ヤマトの新乗組員たちは訓練の成果を発揮し、巡洋艦群を一掃。

プレアデスの艦橋において 「巡洋艦隊、全滅」 と声が響いたが、その巡洋艦は前述の護衛艦と同一で、せいぜい軽巡洋艦クラス。

プレアデスはヤマトの主砲を物ともしない装甲を誇り (攻撃力・防御力において護衛艦との違いが大き過ぎる)、ヤマトは波動砲の発射準備に入った。

デーダーは波動砲を撃たせまいとイスカンダル星を背後にしながら主砲でヤマトを攻撃し続けたが、再び暴走を始めたイスカンダル星が照準から外れた瞬間に発射された波動砲により、プレアデスは消滅。

しかし、ヤマトが波動砲を撃てなかった間、デスラー戦闘空母が海から飛び立ちデスラー砲を撃てば簡単に済んだはずだが。

暗黒星団帝国のマゼラン方面軍総司令メルダーズは、全滅した第1艦隊に代わりイスカンダリウムを手に入れる為に、自動惑星ゴルバ (全長 720 m の機動要塞) で赴いた。

ヤマトとデスラー戦闘空母に気づかれることもなく突如現れ上方をかすめるように進んだゴルバは、直立態勢を取り戦闘ヘリ部隊を展開した。

ガミラス星を滅ぼした敵の母艦に怒り震えるデスラーは突撃命令を出し、他にただ一隻残っていた三段空母から急降下爆撃機を出撃させたが、ゴルバの上部にリング状に多数並んだ上部ミサイル胞によって三段空母もろとも全滅。

デスラーはデスラー砲を放ったものの、ゴルバの装甲にはまったく効果がなかった。

愕然とするデスラーに向かってメルダーズは 「そんな石ころのようなエネルギー弾が、このゴルバに通用すると思っているのか?」 とダメ押し。

メルダーズはスターシャに降伏を迫ったが、戦争のためのエネルギーは渡せないと拒否されたため、ゴルバの中央部にリング状に8基並ぶ大口径主砲でスターシャの宮殿があるマザータウンを砲撃した (劇場版 「ヤマトよ永遠に」 に登場したゴルバ型浮遊要塞 [全長 1080 m] では、自動惑星ゴルバの主砲の部分は空間重魚雷発射口に置き換わっていた)。

いよいよ宮殿が砲撃されようとした時、デスラーは想い人であるスターシャのため、デスラー戦闘空母を主砲に突入させて突破口を開き、古代に 「(波動砲で)私(デスラー戦闘空母)ごと(ゴルバを)撃て!」 と告げた。

デスラー砲はもう撃てない状態だったのか?

躊躇う古代に、デスラーは 「分かって欲しい。 私はスターシャを愛しているのだよ」。

その言葉に、古代の心は決まった。

このシーン、美談のように感じるかもしれないが、疑問が。

デスラー戦闘空母にはデスラーだけでなく副官のタランをはじめ多数のガミラス人乗組員がいる一方で、助けようとしているイスカンダルにはスターシャと守の二人だけ (娘の2代目サーシャもいるが、古代はまだ知らない) で釣り合わない。

このシーンのデスラーと古代は、「愛」 を動機にし過ぎている。

波動砲発射のカウントダウンが終わる寸前、スターシャの叫びが響いた。

スターシャはメルダーズにイスカンダリウムを渡すと告げ、守・サーシャと一緒にヤマトに移ると言ったが、ある決心を秘めていた。

宮殿を発った脱出ロケットに乗っていたのは、守とサーシャだけ。

デスラー戦闘空母が離れたゴルバがイスカンダル星へ降下して行き、スターシャはゴルバを道連れに星ごと自爆した。

デスラーは頭をかかえて絶叫。

デスラーは、古代との別れ際に 「心配は要らぬ。 いつの日か必ず新たな大地となる星を見つけて見せる」 と告げた。

 

 

続いて登場したTV放送版 「宇宙戦艦ヤマトⅢ」 では、デスラーの回想シーンがあった。

ガミラス残存艦隊 (デスラー乗艦はダークグリーンに塗り替えたデスラー戦闘空母) が銀河系中心部を通りがかった時、ガルマン民族がボラー連邦に支配されており、しかも、ガルマン民族がガミラス人と近縁であることを知った。

なお、「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」 で、艦隊のうちゴルバとの戦闘で残ったのはデスラー戦闘空母だけであり、「宇宙戦艦ヤマトⅢ」 で率いたガミラス残存艦隊は、新たに大マゼラン雲・小マゼラン雲から呼び寄せたものと考えられる。

デスラーはガルマン民族開放戦を繰り広げ、銀河系中心部に広大なガルマン・ガミラス帝国を建国した。

その間、地球とヤマトは暗黒星団帝国と戦っていた (劇場版 「ヤマトよ永遠に」)。

一時は暗黒星団帝国に占領された地球だったが、パルチザン活動とヤマトの活躍で暗黒星団帝国は滅んだ (地球防衛軍の藤堂長官らとともに捕らえられ負傷していた古代守は、処刑場へ連行された際に自爆し、長官らを逃した)。

そして復興へ歩んでいた地球に、またしても災難が訪れた。

ガルマン・ガミラス帝国の東部方面軍所属・ダゴン将軍率いる艦隊 (第18機甲師団) と、ボラー連邦所属・バース星艦隊との戦闘で、ダゴン艦隊から放たれた惑星破壊ミサイル3基のうち1基がそれて、太陽へと向かってしまった (ミサイルは約 600 m の超大型だが、バース星艦隊の中を突っ切るシーンでは、作画ミスにより全長数 km に描かれていた)。

太陽系外からのミサイルが太陽に突入するのをみすみす見逃した地球防衛軍は、一体何をしていたのか?

太陽はミサイルの爆発により核融合反応が異常に増進して膨張を始め、1年後には惑星たちを巻き込んで爆発すると。

地球人類の移住先を探すため、ヤマトをはじめ各国建造の戦艦が銀河系の各方面へ出発した。

出発早々、ヤマトはバース星艦隊旗艦ラジェンドラ号とダゴン艦隊に遭遇し、星間戦争に巻き込まれてしまった。

しかし、ヤマトの乗組員たちは、ラジェンドラ号のラム艦長から敵国の名をガルマン帝国と伝えられたため、デスラーの新しい国だとは誰も気づかなかった。

はじめは田舎戦艦と侮っていたヤマトに連敗したダゴンが新鋭艦隊でヤマトと最後に交戦した時の艦隊構成は、旗艦白色二重円盤 (初作品に登場したドメラーズ2世によく似ている)、ガルマン・ガミラス戦闘空母3隻、二連三段空母1隻であり、さらに瞬間物質移送器による艦載機攻撃を行うなど、艦容や戦法からガミラスの流れにあると分かりそうなものだが。

デスラーも、ガルマン・ガミラス帝国本星で開かれる定期軍事会議において、参集した各方面軍司令官からの戦況報告を聞く際にもヤマトの名前は出ず、自国艦隊がヤマトと交戦していることは知らなかった。

東部方面軍の戦況や支配領域拡大は順調であり、会議における東部方面軍司令官ガイデル提督は得意満面だった。

一方、西部方面軍はヒステンバーガー司令官の 「文明が発達した星が多く・・・」 の言葉にあるように、所属艦隊の 1/3 を失い、支配領域拡大もままならない状況にあった。

真にさえない表情のヒステンバーガーに向かってデスラーは 「君は、死刑だ」 と告げ、かつてのデスラーならばここで終わるところだが、続けて 「あと2回、失敗したら死刑だ」 と寛容な一面を見せた。

あと1回ではなく、2回というのが注目に値する (仏の顔も三度迄)。

奮起したヒステンバーガーは自ら陣頭指揮を執り戦況を大きく好転させ、次の会議で報告を聞いたデスラーも満足げだった。

ダゴンの死後、ガイデル提督はフラーケン大佐率いる次元潜航艇部隊と連携し、自ら機動要塞を指揮してヤマトを拿捕。

ガイデルからヤマト拿捕の報告を受けたデスラーは激怒。

「いつ私がヤマトを襲えと言った? いつ私が地球を襲えと言った? (ソファーから立ち上がり、持っていたワイングラスを床に投げつけて) オリオン腕辺境の星々には手を出すなと言っておいたはずだ!」

<ガイデルの報告に激怒するデスラー>(劇中の一場面より)

デスラーは直ちにヤマトと交信、謝罪するとともに、ヤマトをガルマン・ガミラス帝国本星へ招待。

本星は二重惑星であり、もう一方の青い惑星をデスラーはイスカンダルではなくスターシャと名付けている。

本星表面のクレーターのひとつが半球状のドームで覆われ、その内部に帝都が築かれ、中心に超高層のデスラーズ・パレスが聳える。

軍事パレードのシーンではデスラーズ・パレスの真上を複数の大型戦闘艦が通過したが、ドームは描かれていなかったことから、ドームは開閉式なのかもしれない。

古代から地球の危機を伝えられたデスラーは、太陽の核融合異常増進を抑えるための工作船5隻 (工作船は戦闘艦ではないが、工作用プロトンミサイルを1基搭載した巨大船) を派遣したが、失敗に終わった。

太陽制御を指揮した技術将校フラウスキー少佐は、失敗の責任を取るため、部下全員を退船させた後に太陽に突入して命を絶った。

ガルマン・ガミラス帝国本星で事の成り行きを生中継で見ていたデスラーは、「彼は立派に責任を果たした。 流石はガルマン・ガミラスの軍人だ」 と述べた。

一方、デスラーと共に生中継を見ていた古代らや、フラウスキーと共同で太陽制御にあたった真田は、遣る瀬無い思いでいっぱいだった。

デスラーは次に、第二の地球の候補地、惑星ファンタムを教えたが、後にそれはコスモ生命体が見る者を幻惑して見せている姿と判明し、怒ったデスラーは北部方面軍司令官グスタフ中将に惑星ファンタムの破壊 (処刑) を命じ、グスタフは自らが乗る旗艦に搭載された惑星破壊ミサイルで命令を遂行した。

万策尽きたヤマト乗組員たちに救いの手を差し出したのが、かつて超文明を誇り銀河系全域に君臨したシャルバート星のルダ王女。

シャルバート星は平和を求めて戦いを放棄 (ハイペロン爆弾、プロトンミサイルなど、かつての兵器群は王家の谷に収蔵してある) し、星を異次元空間に隠していたため、広く銀河系内に伝説として語り継がれ、代々継承される女王マザー・シャルバートとともに信仰を集めていた。

シャルバート信者はガルマン・ガミラス帝国やボラー連邦にもおり、それぞれの体制維持にとって無視できない存在だった。

シャルバート信者のハイゲル将軍が反乱の首謀者と分かると、デスラーは 「ガルマンには神は2人も要らぬ」 と射殺した。

この台詞、一聴するとデスラーの傲慢さを表しているように感じるが、「ガルマン・ガミラスには」 ではなく「ガルマンには」 と言っているところに注目したい。

帝国内のシャルバート信者はガルマン民族であって、大マゼラン雲から移住したガミラス民族ではない。

ボラー連邦による圧政からガルマン民族を開放したのはデスラーであり、何も助けてはくれなかったシャルバートではなく自分を信奉してくれとの強い思いからだったのでないか。

ルダ王女は、シャルバート星を出て航海中にボラー連邦に捕らえられ惑星ファンタムに流刑にされていたが、コスモ生命体は彼女をヤマト乗組員に預けた。

ヤマトは異次元トンネルを通ってルダ王女をシャルバート星へ連れて行き、女王マザー・シャルバートを継承した彼女から、太陽の核融合異常増進を止めるハイドロコスモジェン砲を寄贈された。

ヤマトの滞在中、ヤマトの後から異次元トンネルを通ったボラー連邦のゴルサコフ総参謀長の艦隊がシャルバート星を艦載機で攻撃した際にも、住民たちは無抵抗で大勢殺されたが、長老は艦載機に向かって 「やめなされ」 と叫ぶだけだった。

デスラー艦隊 (巨大な新型デスラー艦、新鋭大型戦闘艦、中型戦闘艦で編成) もシャルバート星に到着してゴルサコフ艦隊と交戦し、ハイパーデスラー砲で一掃した。

「ボラー連邦に、ガルマン・ガミラスの真の力を見せてやろう。 ハイパーデスラー砲、発射!」

<新型デスラー艦>(バンダイのプラモデルの箱絵から)

(Starship Schematics Database より転載)

私が持っていた設定本では、新型デスラー艦の全長はヤマトの5倍の 1350 m。

艦首のハイパーデスラー砲発射口の口径は小型艦の全長ほどもある。

艦底に当艦独自デザインの惑星破壊ミサイルが2基。

大型の回転砲塔が7基。

両翼から水平に突出した瞬間物質移送器がある。

これほどの大型化・重武装は、先の自動惑星ゴルバとの戦闘でまったく歯が立たず、メルダーズに馬鹿にされた屈辱とスターシャを失った悲しみが消えなかったためと想像される。

古代からシャルバート星が平和を求めて戦いを放棄していることを聞いたデスラーは、「私も栄光あるガルマン・ガミラス帝国のデスラーだ。 丸腰の者を攻めたりはしない」 と言って艦隊を引いた。

古代がシャルバート星の長老に、太陽が爆発するまでに帰還が間に合わないと告げると、異次元トンネルを通れば間に合うと教えられた。

最終回では、ハイドロコスモジェン砲の発射準備に入ったヤマトをボラー連邦ベムラーゼ首相の機動要塞率いる艦隊が攻撃した際に、デスラー新型デスラー艦で約100隻の艦隊を率いて駆け付け、まずデスラー砲一斉発射により打撃を与えた (機動要塞には効果なし)。

なお、デスラーは全艦に向けてデスラー砲発射命令を2度出したが、艦隊には多数のデスラー砲艦とともに中型戦闘艦 (デスラー砲は装備していない) も描かれていた。

ベムラーゼを怒らせたデスラーの一言、「念のために聞いておくが、君の葬式は何宗で出せばいいのかね?」 (宗とはある宗教における一派を指すので、ガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦が同一宗教を信奉していない限り、何宗ではなく何教と言うのが正しい)。

ベムラーゼは 「葬式を出すのはこっちだ!」 と機動要塞のブラックホール砲を連射し、新型デスラー艦以外の艦を全滅させた。

デスラーは、ヤマトのコスモタイガー・パイロット揚羽のブラックホール砲発射口への特攻で生まれた勝機に、ハイパーデスラー砲でベムラーゼを葬った。

「見たかタラン、地球の青年が、命を懸けて咲かせた美しい花を」
タラン 「はっ!」
「あの花を無駄に散らせてはならん! ハイパーデスラー砲発射!」

 

ガルマン・ガミラス帝国の戦闘艦のデザインは、旧ガミラス時代のものとは大きく変わった。

登場した艦の主力兵器について、劇中で一度も発射されなかったものがある。

ダゴン将軍は通常の砲撃でラジェンドラ号を撃破した後、しぶといヤマトに向けて旗艦中型戦闘艦と配下の駆逐艦の艦首上部に格納されている高圧直撃砲 (カメラのフラッシュのような形の旋回可能な砲塔がせり上がってくる) の発射準備を命令したが、発射前にヤマトの反撃を受けて撤退できたのは旗艦とわずかな駆逐艦だけ。

他のウェブサイトでは、ラジェンドラ号を撃破したのは高圧直撃砲であるとか、バース星艦隊と交戦する中型戦闘艦の砲撃シーンを高圧直撃砲と誤解している例が多々。

<駆逐艦の艦首にせり出した高圧直撃砲の砲塔>(劇中の一場面より)

<駆逐艦(上)と中型戦闘艦(下)>(Starship Schematics Database より転載し、記入)

大型戦闘艦の艦首最前部に2基搭載されているブーメランカッターミサイルは、劇中で言及さえされなかった。

<大型戦闘艦>(バンダイのプラモデルの箱絵から)

「宇宙戦艦ヤマトⅢ」 は全52話での放送予定だったが、視聴率が期待よりも低かったために25話に半減されてしまった。

当初の放送回数であれば、それらの発射シーンが観られたかもしれない。

 

 

最終作品は劇場版 「宇宙戦艦ヤマト 完結編」

異次元から突如現れた銀河が銀河系と交叉し、星々の重力バランスが不安定になった。

ガルマン・ガミラス帝国もボラー連邦も壊滅的な被害に遭い、ヤマトがガルマン・ガミラス帝国本星に着いた時には、都市は既に滅んでいた。

ヤマトの甲板上に乗組員が整列し、古代は地上へ哀悼の白い花束を捧げた。

銀河交叉の最中、水の星アクエリアスがディンギル帝国本星に接近、地表を水没させた。

ルガール大神官大総統は衛星都市ウルクで脱出したが、ディンギル星が星の組成物質と水との反応により爆発して消滅したため、移住先を遠い先祖の星である地球に定め、侵攻した。

ルガールはウルクのワープビームによりアクエリアス星を地球付近にワープさせ、地球表面を水没させて地球人を抹殺してから移住する計画を立てていた。

古代はヤマトにアクエリアス星に豊富にある重水素を積み込み、波動エネルギーと重水素の反応によりヤマトを自爆させ、その爆風でアクエリアス星から地球に向かう巨大な水柱を断ち切る計画を密かに立てていた。

計画の具体的な内容を隠しながら沖田艦長に計画を進言すると、沖田も同じ計画を考えていたことが分かった。

沖田は、ヤマトを自沈させてでも地球を救いたいと涙ながらに言う古代の肩を抱き、「大きくなったな、古代!」 と褒めた。

しかし、自爆には微妙なタイミングが要求され、自動操縦では失敗するおそれがあり、古代は自分がヤマトに残ると沖田に言うが、「年寄りに任せろ。 お前がいない地球であの子 (フィアンセの森 雪のこと) に幸せは無い」 と諭された。

総員退艦命令の後、自動操縦と聞いていたのに沖田がヤマトに残っていることを知った乗組員たちは騒然となるが、敬礼で見送る古代や雪らの姿に沈黙し、従った。

古代は涙を流しながら心の中で沖田に 「お父さん」 と呼びかけた。

ディンギル残存艦隊と交戦直前のヤマトは、一発でも攻撃を受けると危険な状態だったが、そこへデスラー再建造した2代目デスラー艦とガミラスの駆逐型ミサイル艦から成る艦隊で救援に駆け付けた (新型デスラー艦やガルマン・ガミラスの戦闘艦はどうなった?)。

ヤマト第一艦橋のスクリーンに映ったデスラーは、作品冒頭の銀河交叉の中で古代がヤマトからガルマンガミラス本星に向かって捧げた哀悼の白い花束のうちの1本を嗅いで胸に挿し、「あの邪魔者は私が引き受けよう」 そして 「全艦、ヤマトを囲む敵艦隊に向かって、突撃!」 と命令。

沖田の操艦でヤマトは自爆、地球は救われ、デスラーは艦上から宇宙空間に漂う水の中へ没していくヤマトを見送った。

ヤマト自爆のシーンでは、艦橋より前の第一・第二主砲塔のあたりで艦体が前後に真っ二つになったが、水中に艦首を上にして直立して没する時にはなぜか繋がって描かれていた。

 

Wikipedia やファンサイトに記載されているように、「宇宙戦艦ヤマト 完結編」 には複数のシーンがカットされるなど編集の異なるバージョンがいくつかある。

製作が公開予定日前日までかかり、輸送のため全国一斉公開とはならず、しかも編集しながらの上映となったことが原因。

私が観たのは、1983年3月の公開初日。

そう、ファンの間で幻と言われている 「35mm 版のうちの公開初日限定版」 である。

ラスト近くで、古代進と森雪の結婚式 (古代は士官が着用する紺色コート姿、雪は純白のウェディング・ドレス姿) に続いて、長く濃厚なラブ・シーン (初夜) が流れ、客席からどよめきが起こり、高校生だった私も 「ここまで描くのか!」 と戸惑った。

 

シリーズ作品でデスラーの声を担当したのは伊武雅刀さんだった。