ワクチン広場
ワクチンに対する「不安」・「疑問」の声をよく耳にします。
それはワクチンについて「まだよく知られていない」という現状、特に日本では正確なワクチンの情報が行き届いていない事が原因の1つかと思われます。故に医師の立場として、もっとワクチンの「正確な情報」を伝えていこうと考え、このブログを立ち上げた所存でございます。
子育て中のパパママ目線から、また医師や医療関係者目線からと、あらゆる角度から予防接種について記載していきます。それに対する皆さまからの疑問や質問、また医師、医療関係者の方からのコメントが行き交う「交流の場」となることを胸に描いてこのブログを進めていきたいと思います。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

ワクチンと免疫の話(3

ワクチン接種って免疫学的記憶をつけることが基本なんだよ。エッ抗体を作らせることじゃあないんですか?、まぁそう慌てないで、いまゆっくり話すからさ ってとこなんです。

病気にかかる、ワクチンを接種すると二度と罹らない、かからない効果が長い時間継続するということは自然に会得したようなんです。中国では3~4世紀の頃に、天然痘は一度罹れば二度かからない、一度目が軽ければ一生楽になると知っていて、患者が来ていた衣類をわざと着せて軽く罹り免疫をつけさせようとしたことが記録に残っているそうです。地中海のファラオ島というところで60年ぶりに麻疹が流行したときに、前に罹った人は罹らなかった、つまり、免疫は60年はもつということが記録にあるそうです。中世期にヨーロッパでコレラが流行した時に、一度これらに罹った人を看病させたという記録もあるそうです。子どもの時に罹ると軽く済んでも、大人になって罹ると酷い病気ってありますよね。水疱瘡(水痘)がそうですが、オランダでは子どもが水痘に罹ると、近所に知らせて子どもを集めてパーティを開くそうです。子どもも免疫機能の低下があるヒトが罹患すると致死的な経過を取ることがあるので危険な行為なのですが、オランダでは今もそうなのだそうです。風疹は妊娠中のママが罹患すると胎内感染で子どもに心臓病、難聴、弱視の先天風疹をおこす。水痘も妊婦さんがかかると小頭症、弱視の先天水痘と呼んでも良い異常を起こすことが知られています。おたふくも、すべての年齢で難聴を起こす可能性がありますが、年齢を長ずると精巣炎、卵巣炎をおこすことが知られています。どうせワクチン接種をするのなら大人になるまで免疫を維持させたいですね。病原体、わくちんによって、どれくらい免疫が維持されるかは異なるのです。罹患する、ワクチンを接種するとまず自然免疫が作動して、獲得免疫が動き出して、Tリンパ球、Bリンパ球が働いて、抗体が産生され、細胞免疫が働くのですがリンパ球はまもなく死滅します。ところがメモリーリンパ球が少数生き続けるのです。そのリンパ球は再度抗原に出会うと、自然免疫の働きをなくして、直ぐに働くので短時間に効果的に働いて発病を阻止できるのです。この働きを利用しない手はないでしょう?だからワクチンは間隔をあけて回数を複数回にするのです。パパやママにお願いです。免疫学的記憶はお子様を長期に守る仕組みなのだということをメンタルインテリジェンスとして記憶してくださいね。階層鵜を重ねる意味を知って、忘れないでね。お願いです。

ワクチンと免疫の話(2)

 ワクチンを接種すると、接種を受けた人が一定の期間を経過した後で、病原体に対して抵抗力を獲得する。それが良く理解されてからワクチン接種が行われるようになったわけではありません。種痘は、牛痘ウイルスの入っている皮膚の分泌物を人に接種をしたら、天然痘(人痘)に罹患しないか、罹患しても軽症で終わることを知って始められています。理論より効果の確認が優先されています。接種を受けた人の体液、最も簡単に採取できるのは血液ですが、その中に病原体を働かせないようにする物質があるというのを、いろいろな現象を介して証明をして抗体ができているのだということがわかりました。細菌は病原体として捉えられて培養が出来るようになったのは、歴史的には古く、日本に知識や技術が入ってきたのは明治になり近代医学が入ってきてからです。昔は、一病原体一疾患説でした。肺炎を起こす病原体だから肺炎菌、顕微鏡で見ると丸く見えるから球菌で肺炎球菌と名前が付けられました。髄膜炎を起こすから髄膜炎菌という具合です。まだウイルスというものの存在がわかっていないので、インフルエンザと病気の名前を付けた患者さんから菌が得られて、病原体と考えてインフルエンザ菌と名前を付けたのです。後年、インフルエンザの病原体はウイルスであるとわかりましたが、名前を付けてしまったので、インフルエンザとは関係ないのに、インフルエンザ菌という名前を変えていないので、その仲間のb型が重症な喉頭蓋炎を起こしたり髄膜炎を起こすのでワクチンを作成したのがヒブワクチンなのです。肺炎球菌は肺炎しかおこさないのではありませんし、肺炎は肺炎球菌だけが病原体として起こる病気でもないので、肺炎と称される疾患群(症候群)は複数の病原体で起こるというのが正しい理解になっています。

 病原体をそのまま、ヒトに接種をすると当然ながら病気になります。牛痘と天然痘のような関係の病原体は、実際には稀なのです。では、病原体の病原性をなくして、それを接種をすれば、うまくいけば免疫が得られると考えたのが、種痘の次のステップのワクチンです。菌がいきたまま、病原性を失わせるというのはなかなかできません。尤も簡単なのは、何らかの方法で病原体を殺すことです。それで出来たのが百日咳菌ワクチンです。破傷風やジフテリアは菌が作る毒素が病原性の源であるとわかりました。では菌を使うより、毒素(トキシン)を無毒化して(トキソイドをつくる)ワクチンにしました。サルモネラ菌の仲間であるチフス、パラチフスも怖い病気の病原体でした。それを殺して、ワクチンとして日本でも導入されました。私は、小学校時代に受けた覚えがあります。効果が得られなかったので日本では廃止になりましたが、韓国は全く同じものではありませんが定期接種に入れていますし、世界的には使っている国もあります。

 どうも免疫反応には、抗体が病原体を抑制するだけではなく、細胞そのものが働いて病原体を抑制する反応もあるということが、わかってきました。それで、体液が働く液性免疫と細胞が働く細胞免疫があるということが経験的にわかってきました。新型コロナウイルスワクチンも両方の免疫が出来ると説明をされていましたから、お分かりだと思います。自然感染だと液性免疫の獲得が弱い、細胞性免疫の獲得も弱いので、再度罹患したり再感染の時にも重症になる可能性がワクチン接種者の場合よりも高いと今でも言われています。

ワクチンに関係して免疫の話(1)

新型コロナウイルスの感染を予防する、感染してもサイトカインストームに至らせないそのために重要な役割を持つのがワクチンです。ワクチンを接種をすると。接種を受けた人の免疫の状態が変わります。ワクチンの効果を理化するには、少し、免疫の仕組みを知っておく必要がありますよね。もともと、免疫という言葉は、疫病を免れる~一度かかった病気にかからない~2度なしを源にして由来した言葉です。尤も、麻疹に一度かかると2度は罹らないと思ったのは多くの人では、そうであったが、一生に2度かかる人もいる、何度もかかるがかかるたびに軽くなっていく病気もあるなど、2度なしはそんなに完全ではありません。なぜ、2度かからないのかを研究し始めたのが免疫学の始まりです。天然痘という病気が、重症でヒトの生命を奪う病気であるのが、牛痘に罹った人は、天然痘に罹らないか発病しても軽いというのは、ジェンナーが種痘をあみだす数世紀前からわかっていて、わざと罹患するために病人が着用していた衣類をわざと着るなどは中国でも古くから行われていて、それがトルコあたりを経て西洋に伝わって、ジェンナーが積極的に皮膚に傷つけて植えるということにつながったのです。水痘が子どもの時期に発病すると軽い病気だけど、大人になってかかると重症になることを経験的に多くの国で知られていました。それで、子どもが水痘に罹ると近所の子どもを持つ親に連絡をしてパーティを開いてわざと罹らせるということをやっている地方は今でもあります。ドイツは水痘ワクチンの定期接種を行っているのに、オランダは行わず、水痘パーティを行っている。ドイツとオランダの国境は接している地域が広いので、水痘がオランダから流行してくるとドイツが苦情を言っていたのはそんな昔ではありません。幼いときに罹ると軽症で大人になると何故重症なのか?罹ることで、なぜそれ以後に防御的な能力が身につくのか?どうやら生まれつきに防御力を持てない異常を持った人がいて、その人はほかの人なら軽く済むはずの病気でも重症になり生命さえ失うし何度もかかる(先天性免疫不全症候群)などを経験的に知ることになり、積極的に無傷で免疫能を獲得しようとしたのが、ワクチンなのです。

新型コロナウイルス感染を考える(2)

 ウイルスが増殖した細胞が死ぬというと、感染による症状はそのために起こるとお考えになる方が多いようですが、実はそれは違うのです。体がだるい、熱が出るなどの症状はヒトの体が持っている防御機能が起こすと考えられています。熱が出る、体の節々が痛むなどの炎症が起こるのもヒトの免疫系が活発に働くからである、病原体をやっつけてくれる時の副反応のようなものだと考えられています。ウイルスの成分にそのような反応を起こさせる成分があるわけではないのです。感染をした部位にあるヒトの免疫系の細胞がを感知して、変な奴が来たぞと信号を出すのです。それはサイトカイン、ケモカインと呼ばれる物質なのです。サイトカインは一つのサイトカインが必ず複数の効果を持っています。体温を上げるように働くサイトカインが今は少なくとも5つあるとわかっています。脳の視床下部という部位にあるヒトの体温調節の中枢があり、その働きでヒトは、37.5~37.8℃に体温を保つようになっていますが、その設定温度をセットポイントお言うのですが、それを上げさせるように発熱サイトカインは働きます。例えばインターロイキンー1というサイトカインがあり、子のサイトカインは発熱サイトカインの代表ですが、同時に免疫系の細胞を活性化したり獲得免疫系の活動を活発化する効果も持っています。セットポイントが例えば、39℃に上がると、体は脳の指令に従って体温上昇に働くのです。熱を失わないように皮膚の表面を流れる血管を収縮させます。手足は冷たくなり、皮膚は青ざめます。それでも、脳の指令に達しない場合には筋肉を収縮させ震わせます、そして熱を作るのです。それが悪寒戦慄と言われる状態です。体温が高い方がウイルスの増殖には不利なのです。体温が上がるのも防御反応の一つと言えます。鼻水がでるのは、これ以上病原体が入ってこないための防御反応と理解できます。症状が出なくとも、ヒトの体ではこのような変化は起こっていて、自然免疫でウイルスが排除されれば、感染していても無症状で終わるということもあり得るわけです。ところが、ウイルスが増える、全身に広がると、それも運んでいるのはヒト側なのですが、サイトカインが局所で作られ、それが全身に広がるなどが大規規模になり、ウイルス、ウイルスが増えている細胞もヒトには異物なので免疫反応が起こります。その結果でも炎症を起こすサイトカインが作られますが、それが度を越して過剰賛成されるとそのことでの反応が起こります。血液が凝固しやすくなることが起こると血管内で血が固まり、そこから先に血液が流れにくくなります。多臓器不全の原因にもなります。新型コロナ感染は、このように、単なる感染ということと、暴走というべきサイトカインの大規模の暴走を促すという二つの面があるのです。私が、感染したのは多分、9月9日から10日の学会に参加した時だと思います。11日に発病しました。発熱、寒気、倦怠感、鼻汁などはウイルスの感染に私の体が反応したからでしょう。発熱をして8時間くらいで、血液中の酸素飽和度が低下していました。咳がひどいわけでも、呼吸困難などは自覚していませんでした。私は、マスクをしないでみなとみらいのホテルから駅まで歩いているときにマスクを外していたので、大きく幾を吸いウイルスを肺まで吸い込んでいたのではないかと考えています。ACE2受容体は気管支の細胞にもあるので、そこでウイルスが増えて最初の免疫反応が起こったのだと思います。ところが、ワクチンを6回接種していて細胞免疫も含めて獲得免疫ができていて、ウイルスの増殖を抑えて、重症化しなかったのだと考えています。免疫はあっても受容体を持った細胞は露出している部位では感染は起こるのだと思います。サイトカイン暴走はサイトカインストームと言いますが、それが起こる仕組みはまだわかっていません。それを起こすことが重症になるのであり、それを予防すれば軽症で終わるということがわかっているところです。

新型コロナウイルス感染を考える(1)

 現在のCOVID-19が登場するまでは、コロナウイルスは6つが知られていました。一つはサーズと言われて、中国の南の方で流行しました。もう一つはマースと言われて地中海沿岸で流行しました。あとの4つは古くから知られていて、大体,風邪(普通感冒)の15%くらいが、コロナウイルスの4つのうちのどれか一つの感染で占められていると言われています。最初の二つは、今のCOVID-19よりも死亡率も高くて、これがパンデミックになると大変でしたが、幸いに日本に上陸することはなく経過をしています。コロナウイルスは動物で感染所を起こす病原体としては有名で、獣医さんは自分たちが診療を行う動物の重要な病気で、知識は獣医さん方が豊富でした。普通感冒は時として重症になる方はおられますが、多くは軽い病気と目されていますので、ヒトのコロナウイルス感染について詳細な研究をしている学者は少ないのです。臨床医でも、普通感冒と考えると、その原因になるウイルスは多数あるのに、どれも同じように考えて,「風邪ですね」で終わってしまう医師も少なくありません。普通感冒の原因になるウイルスは、多数ありまして、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルスは一度感染しても2度かからないような免疫はできないかでき難いと教科書的には書かれていました。実際に、何度もり患します。他にエンテロウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニュウモウイルス、ボカウイルス、インフルエンザも軽症であれば風邪のようにして終わります。

 ウイルスは、細菌と違って細胞をもっていません。自分だけで増殖ができません。もちろん、自分で移動することもできません。

ヒトに感染をすには、ヒトの細胞にくっついて、ヒトの細胞に入り、ヒトの細胞の仕組みを利用して自分の遺伝情報とたんぱく質を作らせます。遺伝情報を載せているのはデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)です。遺伝情報(ゲノム)としてデオキシリボ核酸をもったウイルスをDNAウイルス、リボ核酸を遺伝情報(ゲノム)を持ったウイルスをRNAウイルスと言います。DNAウイルスには、アデノウイルスやヘルペス族に入る水痘ウイルス、ヘルぺスウイルス、サイトメガロウイルス、エプシュタイン・バーウイルス(EBウイルス)、突発性発疹の原因になるヒトヘルペスウイルス6型、7型などがあります。コロナウイルスもRNAウイルスですが、麻疹、風疹、おたふくかぜ、インフルエンザ、ライノウイルス、ヒト免疫抑制ウイルス、などたくさんのウイルスがRNAウイルスです。

 ウイルスがヒトに感染をするということは、ウイルスがヒトの細胞にくっついて、細胞の中に入る必要があると申しましたが、新型ころウイルスの場合には、ウイルスの表面にとげのようにとびでているスパイクタンパクという蛋白(S蛋白)がヒトの細胞にあるその蛋白と結合する受容体(レセプター)と呼ばれる蛋白で、アンギオテンシン変換酵素ー2(ACE2)であることがわかっていますが、それに結合して複雑な変化をしながらウイルスが細胞の中に入ります。ウイルスはエンベロープという薄い膜につつまれていたのですが、それから自分のRNAの情報を使って、ヒトの細胞にRNAを作らせたり、S蛋白のような蛋白を細胞のリボゾームという細胞内の装置で作らせます。作ったRNAや蛋白質をもとの構造と同じようにつくり、エンベロープで包んで細胞外に放出します。この過程は、ヒトsw実際に観察をすべてできるわけではありませんが、ウイルスが増殖できる細胞を培養して試験管内で、行う、実験動物にウイルスを感染させて行う、実際の人の感染はそれぞれに増えるウイルスの数や速度などは異なりますが、ウイルスは一つの細胞に感染すると100万倍にもなることもあると考えられています。ウイルスが感染した細胞は、ウイルスを複製したことで細胞としての機能を失い死滅する、抗体ができたり、細胞免疫と言われますがウイルスが感染した細胞を人の免疫細胞が殺すことでも死滅します。ウイルスの種類によっては細胞は死なないでウイルスを作り続けるという場合もあります。

細胞にウイルスが入り、ウイルスが作られて細胞外に出たウイルスがほかの細胞に入る。これが感染をしたということなのです。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>