ワクチン広場 -2ページ目

COVID-19に罹っちゃいました

ずっと感染しないで来ていたのに、自分が罹ってしまいました。9月8~10日横浜で日本外来小児科学会が開催されました。会場はみなとみらい線みなとみらい駅下車、学会場で少し歩きます。小手指発元町中華街行きに乗ると乗り換えなしです。9日の朝、一般演題の座長を引き受けていたのと、10日にシンポジストになっていたので現地参加しました。移動中はマスクをしていたのですが,終了後会場から駅まで歩くときに地下道で一時マスクを外しました。11日夜に発熱、息子に明日は診療ができないと連絡をしたら、自宅に来てくれてPCR検査、陽性でした。酸素飽和度を測定したら下がっています。苦しくはないのですが、ウイルスの受容体は体中の細胞にあるので、深呼吸をしてウイルス交じりの空気を深く吸っていれば、最初から気道の奥の方で感染が成立しても不思議ではありません。発熱は入院して14日の午後から解熱、15日には酸素飽和度は98%以上になり、17日に退院しました。咳嗽も出ないので肺炎を起こしたのではないだろうと思いました。後遺症、Long covid19はありません。6回のワクチンのおかげでしょう。22日ウイルス抗原陰性になりましたので、22日午後から仕事始めています。抗体は途中で測定していて陽性でしたし、重症にならなかったのはその所為だと思うのですが、感染は免れ得ないと考えていたので、その通りでした。単なる風邪では酸素飽和度は落ちませんので、風邪とは異なります。免疫はT細胞依存性免疫も液性免疫も有効に働いたと思います。鎮咳剤は服用していません。解熱剤とウイルスのメッセンジャーRNAを抑える薬の服用だけでした。ますます、予防接種をお勧めすることを考えています。ぜひ、予防接種を受けて軽症化をより確実になさってください。

新型コロナウイルス感染症ってどんな感染症なのでしょうか?

 私は、小児科学と内科学の教科書は可及的に新しい本を購入するようにしてきました。日本語の教科書は改版スピードが遅くて内容が新しいとは言えません。特に英語が堪能なわけではなく、むしろ苦手だと思うのですが、ネルソンの小児科学、ルドルフの小児科学を購入してきました。ルドルフは暫く改版されなくてもう終わりかなと思っていたら先年、久しぶりに改版されました。内科学はハリソンとセシルの教科書を購入しています。もう、高齢者なのでいつまで臨床医でいるかわからないので迷いましたが、2019年からの改版の本を結局は臨床を行う以上は学ぶ責任があると考えて購入しました。また、プロトキンというワクチンでは大権威と目される人のワクチンという本を2版から購入してきて、今年、最新版を購入しました。このほかにアメリカ小児科学会が出版してる本がありまして、それも購入しています。私が一番多数拝見する患者さんは、いわゆる普通感冒、英語で言うCommon Cold,日本語で言う風邪の患者さんです。先年、出版社の依頼を受けて風邪について書くときに、改めて私が医師になった1960年時代のネルソンの8版から依頼を受けたときの20版までを読み直しましたが、並べてみると明らかに記載が各版で異なっていました。まず教科書を読み、教科書に引用されている文献をいくつか読むのを習慣にしています。普通感冒として原因ウイルスの一つにコロナウイルスがあり、その総説を読みました。ウイルスは核酸が中心にあり、その周りを構造物が囲んでいますが、細胞ではなくそれ自体では、増殖をすることもできませんしウイルスそのものでは生物とは言えないモノなのです。生きた細胞にくっつくと、細胞側が取り込みます。すると、ウイルスの核酸が持っている情報を活かして自分と同じものを複製するのです。そのときに入った細胞の代謝系を利用するのです。1個のウイルスが1個の細胞に感染した時にどれくらいの数のウイルスが出来上がるのか?生体内ではわかりませんが試験管の中に培養した細胞では、新型コロナでは1個が100万個になると報告されています。感染を受けた細胞はどうなるのか、細胞自身が生きていくのを邪魔されてひたすらウイルスを複製するので細胞としては死を迎えると考えられます。ほかのウイルスでは細胞も死なないでウイルスを複製し続けるのもあるようです。また、ウイルスが感染した細胞は通常の自分の細胞とは違った変化を起こしていると、免疫系の仕組みで排除されることが起こります。この場合も細胞は死にます。ウイルスの複製は常にうまくいくかとなると、途中でうまくいかなくなりウイルス複製が完遂できない場合もあり、ウイルスが完成しなくてとどまってしまう場合もあるようです。感染した細胞のRNA通りにウイルスが出来なくてアミノ酸レベルで他のアミノ酸に入れ替わったり、合成されるたんぱく質が少し変わることもあります。そのような小さな変化を起こしたウイルスはヒトが研究室でとらえるときに変化を起こしていると変異と呼ぼれますが、それはウイルスが何かの意思をもって起こすわけではありません。結果的にウイルス複製が容易であるウイルスが出るとそれは拡散しやすくなり、結果としてそのウイルスに感受性の高い人が多いとそのウイルスはより流行するということになります。ウイルス複製の仕組みがわかると、その仕組みのある段階でその代謝経路を止めれば、あるいは他のものを作らせてウイルス複製の流れを変えることができればウイルスは複製されないことになりますので、それが抗ウイルス製剤と呼ばれます。細胞内に容易に取り込まれること、そしてウイルス複製の仕組みにのみ働き、作用としても物としても、ヒトが生きるのに不利にならないことが製剤としての条件になります。ウイルス複製の仕組みの解明が抗ウイルス製剤の作成には必要ですし、ヒトに不利な条件にならない物質であることが重要な要因であることもわかりいただけるでしょうか・

私が読んだのは2019年の初秋でした。総説には300以上の論文が引用されていました。その引用された論文一覧をみると日本人が書いた論文は極めて少なく、日本には世界に通じるコロナウイルス研究者はいないか少ないのだと思いました。東大医科学研究所の獣医さん方の論文が数編引用されていただけだったのです。また、ウイルス複製のプロセスでunknownと書かれた場所が非常に多くて、コロナウイルスにつていは不明な部分が多いのだと思いました。文末に、動物のウイルスが人に感染を起こすと人にはそのウイルスに対して感受性が高いのでパンデミックが起こる。もし今後起こるとしたらコロナウイルスによるだろうと書かれていました。コロナウイルスの研究者は次のパンデミックはコロナウイルスだと予測していたのです。この論文を読んで2019年の10月に中国の武漢で変な肺炎の患者が出て40人ほど入院したというニュースをネットで見つけました。「あっ、コロナの流行だ!」とその時に思いました。瞬く間に数は増えました。すぐに、コロナだろうというニュースも出てきました。2019年の12月末に入院した、コロナの患者さんの気道分泌物を調べたらコロナウイルスと同じ核酸の配列をしていた。サーズの核酸配列と86%高が同じで他が違う、既知の約20000のウイルスと比較したが同一のものがない、肺がんで手術して摘出した臓器から正常の人の肺の細胞を利用してウイルスを培養増殖したらウイルスがとれて、それは分泌物から直接採取したウイルスの核酸配列と同じであったという報告が論文としてNewengland Journal of medichine(NEJM)に掲載されたのは2020年の2月です。中国の武漢の研究所からで、共同研究者が役30人名前を連ねていました。ウイルスが細胞の中に入るには細胞のどこかにくっつく必要があります。それをレセプター(受容体)と言いますが、ヒトの細胞にあるアンギオテンシン変換酵素ー2というたんぱく質を受容体として、コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク(Sタンパク)がくっ付くことで感染が成立していることもわかりました。ヒトでは受容体を持った細胞は気道だけでなく全身のいろいろな臓器にありますので、ウイルスが運ばれれば全身何処でも細胞に感染がおこることがわかりました。私共の体には自分を守るために、感染がおこると異物して認めてまず自然免疫の仕組みが茶道を開始します。樹状細胞などが情報を発信します。細胞が出す活性物質という意味でサイトカインというのですが、サイトカインは多数あることがわかっていますが、必ず一つのサイトカインは複数の機能を持っています。例えばIL-1(インターロイキンワン)というサイトカインは獲得免疫に関与する細胞の動員に働くとともに、脳の体温中枢に働き体温を一定に保つその温度を上げる働きをします。体温が高い方が感染したウイルス細菌などは増殖しがたいので体温を上げるのは防御反応の一つと考えられていますので、防御反応を起こしたと理解できます。いろいろなサイトカインは自分を守るために反応すると考えられるのですが、それが必要以上に反応してしまうことがあります。コロナの感染でも肺炎が起こったり、重症になるのはサイトカインの必要以上の反応 サイトカインストーム(サイトカインの嵐)が起こったと言われていますが、感染、発熱や気道の症状、さらに重症化の症状が出るのは、ウイルスのどの成分が悪さをしているというのではなく、ヒトの側が反応した結果症状が出ているのです。過剰の反応に対して副腎皮質ホルモンデキサメサゾンや抗炎症剤と呼ばれる薬がつかわれるのです。穏やかに完了するウイルス複製とサイトカインの反応との2段階で発病していて、なぜサイトカインストームが高齢者や高度肥満、糖尿病などの罹患者に起こりやすいのかは、十分解明されていません。風邪と同じような部分はあるものの風邪とは違うことが起こりますので、新型コロナは一筋縄ではいかない病気であるのです。

日本脳炎の予防接種は何故受けているのでしょうか?

私が子どものころ、昭和20年代ですが、九州の佐賀の農村で育ちました。日本脳炎に罹って亡くなられたということを生活の中で聞くことがありました。子ども心にも日本脳炎は怖い病気であることは知っていました。昭和39年にインターン(医師実地修練)に従事したのですが、そのときに日本脳炎の成人の方が入院されてましたが、その方は後遺症なく治癒されました。以後。私自身が日本脳炎の患者さんの主治医になったことはありません。罹患すると怖い病気であるというのは、自分の経験ではなく知識としての発言になります。子どものころには、豚舎はあちこちにありましたし、医師になってから広島県の呉共済病院に勤務した時(昭和40年6月)には病院が用意してくれた宿舎のアパートは豚小屋の隣にありました。私の叔母はその近くに住んでいたのですが、日本脳炎にり患し、後遺症なく治っていました。私も予防接種はしていませんでしたが、日本脳炎ウイルスの抗体を測定すると高値でしたので、不顕性感染を経験していたのだと思います。巷に患者さんが沢山出ているときには、亡くなる方があると怖いという印象は強く与えられることになりましょう。それは世代間を超えて語り伝えられるので、予防接種を受けて回避するということが定着するのでしょう。現在、日本脳炎の予防接種は2期で終わりです。成人では、自衛隊員以外の日本では予防接種はまずは受けている人はほぼゼロだと思います。日本脳炎の日本での発生数の減少は予防接種の効果なのかとなると、他の要因が大きいであろうと言われています。養豚業が昔は、小規模でも採算が取れましたが、今は小規模では採算が悪いことが明らかになっています。大規模化すると、土地が広く必要になり、地価の安いところでの仕事になりますし、住宅地では、広さの確保、豚のなきごえのうるささ、悪臭などのために、人家から離れます。豚から小型アカイエ蚊が媒介して人が感染するのですが、小型アカイエ蚊は2キロメートル以上は飛べないそうで、豚舎がはなれていれば人への感染がなくなります。また、小型アカイエ蚊が育つ環境が変化して蚊が育ちにくくなっていると言われます。成人の免疫が維持されていないのは患者さんの多くは成人であることからもわかります。アジアで予防接種をしていないのに患者発生がない国があります。インドネシアです。イスラム教の人がほとんどなので養豚業がありません。豚がいなければ、患者は出ないのです。日本も韓国も同じような事情で日本脳炎の患者発生が減っていると言われています。患者発生数が少ないということは罹患するリスクは減少していることを意味しますが、日本脳炎ワクチンは罹患するリスクは小さいけれどり患した時の危険度は高いので予防接種を受けるというワクチンであると言えます。果たして、接種を希望している方々はそれをご理解されているのでしょうか?接種を受けられる方になぜ接種を受けるかと理由をおたずねすると、必ずしも良く理解されているわけではありません。定期接種だから、国が命令しているとは思われないものの、やる価値があるから勧めているとはお考えの様です。皆が受けているからというのも多い回答ですが、これは色々の場面でよく使われます。ほかの人がどうしているかをつねづねウオッチングされているのでしょう。予防接種は推進する立場からすると、どのような意見であれ接種を受ける人が多いほど効果は良いのです。接種を受けてくださることが、他の方の行動を惹起させるのですから、接種をしてくださる方に感謝しています。

ワクチンの接種をするかしないかは、何を根拠に決めていますか?

新型コロナウイルスワクチンの接種をお勧めしても、実際にお受けになるお子さん方の数は少ないのです。私は、いろいろな予防接種についてはお勧めする立場をとっています。新型コロナウイルスワクチンも接種をお勧めしています。日本脳炎ワクチンを接種に来られる方に、新型コロナウイルスワクチンの接種をされてかどうかをお聞きすると、受けていないと答えられる方が多いのです。実は、日本脳炎ワクチンは、病気の特徴が多少、他のワクチンンお予防する病気と異なっているのです。ウイルスが病原体ですが、ヒトからヒトへの直接の感染は起こりません。ウイルス血症をおこしている豚を小型アカイエ蚊がさして豚の血を吸いそのときに蚊の唾液腺でウイルスが増殖し其の蚊が人を刺してヒトに感染がおこるのです。ヒトが他の人への感染源にはならないのです。コロナウイルスはヒトからヒトへ感染が拡大します。自分が感染すると誰か自分が関係を持った人に感染を及ぼす可能性があります。ここは、大きく違っている部分です。日本脳炎は感染した人の中で発病する率が低い病気です。書かれている書籍に拠って書かれている内容が違いますが25000人に1人などという書籍もあります。発病するとおよそ25%が死亡、25%が後遺症残して助かる、半分が後遺症なく治ると言われていて、治療法もないので怖い病気ではあります。予防が最も効率の良い方法でワクチン接種です。毎年、日本での患者数は10人以下くらいです。埼玉県はもう長いこと患者発生はみていません。それに対して新型コロナは、たくさん発病していますし、全年齢で言えば無症状か軽症が80%、中等症以上が15%、重症が5%と言われています。感染者数が多いので、実数は多く、子どもでも約50人近くの死亡者が出ています。子どもでは脳症をはじめ中枢神経系に異常を伴う頻度が大人よりも高いこともわかっています。家族内感染のキーパースンに子供がなっているのも事実です。それをなぜ接種を躊躇しているのか、お考えになってみませんか。

ヒトパピローマウイルスワクチン接種のおすすめ

4月から、九つの方のワクチンが登場し、ほぼ入れ替わりました。15歳未満は2回接種、15歳以上は3回接種になっています。実は、効果がよくて1回接種でも効果があるという論文が世界的に出ています。ヒトパピローマウイルスは型が沢山あります。いぼを作るウイルスと思っていただくとよいでしょう。そのうち、外陰部にいぼのようなものを作る、できた状態を尖形コンジローマと言いますが、その原因になるウイルスの型が二つ、子宮頸がんになる型で約70%近くなるのが型が二つあり、それが従来行われていたガーダシルというワクチンに入っていたのです。今は、その他に頻度は低いですが子宮頸がんの原因になる型を5つ入れたのがシルガードというワクチンです。国が強く勧めないとしたのが続きましたが、その根拠が乏しいことがわかっていましたので、遡って、接種を躊躇された人に公費で接種をすることになっているのです。3年の猶予期間がありますが、16歳から25歳までの方は未接種であれば公費で接種ができますので、接種を受けてください。このウイルスの感染は主にセクシャルな接触で感染がおこります。すでにセクシャルなパートナーができた人も居られるでしょうが、がんの原因になるすべての型に感染しているわけではないので、予防接種を受けることの意味はあり、26歳から47歳くらいまでの女性にも、ワクチン接種はおすすめされています。ウイルスに感染して、そのあと前がん状態といわれる状態を経てがんになりますので、局所の粘膜の変化を調べることで早期発見ができるのです。がんの検診を受けることで早期発見ができるがんでもありますので、検診はお勧めです。ワクチン接種と検診の組み合わせで子宮頸がんは撲滅に追い込めると言われています。オーストラリアがもうすぐゴール間近と言われています、日本もワクチン接種率低下の時期がありましたので、遅れますが、接種率が上がれば夢でなくなります。ぜひ、お考え下さい。