それはワクチンについて「まだよく知られていない」という現状、特に日本では正確なワクチンの情報が行き届いていない事が原因の1つかと思われます。故に医師の立場として、もっとワクチンの「正確な情報」を伝えていこうと考え、このブログを立ち上げた所存でございます。
子育て中のパパママ目線から、また医師や医療関係者目線からと、あらゆる角度から予防接種について記載していきます。それに対する皆さまからの疑問や質問、また医師、医療関係者の方からのコメントが行き交う「交流の場」となることを胸に描いてこのブログを進めていきたいと思います。
新しいインフルエンザワクチンをどのように考えるか?
今年からアメリカからフルミストというインフルエンザウイルスの生ワクチンが入ってきました。鼻腔に噴霧をして1年に1回で良い、というので痛くないワクチンとして子どもに用いられていました。個人輸入で接種をして医師はかなり居られました。高齢者には不適とされています。今年から、日本で購入できるようになりました。
私は、自分のクリニックでどうするかというと、導入をしていません。とくにケチをつける意図もありませんが、個人輸入をする時代は話に乗りませんでした。それはワクチンの保存がどれくらい確実に行われているかの保証がなかったからです。今後はそれは保障されると考えます。
論文を読むと、注射によるワクチンとの間に効果の差がないこと、値段が高いことです。生ワクチンも毎年接種を勧められています。1年に1回だから奮発して高いワクチンを接種するか?それもありかもしれません。効果が同じなら安い方がいいじゃん!1年に1回くらい痛いのを我慢してよ。針を細くして素早く接種をすると痛みは軽減できるので実行しています。私は、だから、こちらからは勧めないで、希望をする人が多ければ考えるとしたのです。
不活化ワクチンも13歳未満は2回接種としたのは、じつは定期接種の時代の話なのです。今はインフルエンザの定期接種といえば高齢者の方が対象で、小児は任意接種です。今は、子どもへの注射をする量もかわっています。生まれて初めて接種をする年は2回接種を勧めますが、毎年接種を受けている人は、1回接種でOKです。2回接種をしている国は余りないのです。不活化ワクチンも1年に1回で良いので、私の施設では2回接種は初年度だけです。
定期接種ではないので、2回を1回にしようという大きな動きはありません。逆に1回接種での効果についての論文は出ています。よく論文読んでいる医師は、私の進める方法と同じの様です。どうしても2回接種をしたいという人には、断りはしませんが、勧めてはいないだけです。
今後、日本でも不活化ワクチンで点鼻というのも出て来るし、新型コロナのようにmRNAワクチンというのも出てくると思います。効果は多分その方がよさそうです。今後は変わるので、それはその時に考えます。
新型コロナウイルスワクチン、インフルエンザワクチン定期接種始まりました!
10月1日から始まりました。ここでの定期接種は子どもではありません。前者が65歳以上の方、後者も従来行われている高齢者の方で、成人の方が対象のお話です。
マスコミが、今日はどこで何人患者発生と告げていた時と異なり、今は定点になった医療機関が毎週、その週の患者の内容を報告するのでマスコミが情報を把握するのにタイムラグがあり、その数も放送で言わなくなったので、もう流行はしていないと思われたり過去の問題だと思われている方も居られるようです。今も、患者発生は続いていて、入院、重症の方も出ています。
ワクチンは今年は、5つの種類が出ています。メッセンジャーRNAワクチンは、ファイザー社、モデルナ社からのワクチンが出ていましたが、新たに出たワクチンもあり5社になりました。それぞれの会社が情報発信をしていますし、医療機関側も情報発信をしていますので、どれの接種を受けたらよいのか、お考えになることでしょう。
そこに反ワクチンの方々の、接種を受けるなコールが発せられています。医療機関として、全部を用意するのか?自分の考えや都合で選ぶのかがあります。私どもが選ぶのは、治験といってワクチンの効果や副反応を確認するために行われて、公表されているものを読みます。元々、著しく劣ったデータであれば、認可がおりませんから、大きな問題はないのは分かります。もう発売されて用いられてきたワクチンだとその実績が出てくるのでそれも参考にします。データが豊富で、自分も接種慣れているのがまず第一候補になります。
さらに経済的な背景を考えます。実際に使うときには、購入額がどうか、ワクチン接種により得られる報酬はいくらか?ワクチン接種にはマンパワーが必要で働いてくださる方の時給と得られる単位時間当たりの収入も計算をすることになります。新型コロナワクチンは今まではというより旧制度のときは、ワクチンを私どもは購入していませんでした。無料で届けられました。接種費用は2000円頂いていました。ファイザーのワクチンは一人1バイアルではありませんし、モデルナは10人分で1バイアルでした。残れば捨てていたのです。予約をされていてもキャンセルが結構多かったのです。こんどはそうはいきません。ワクチンの一人当たりの金額は高額です。購入をするのに費用を払うわけですから、余ったから捨てる、わけにはゆきません。それも考えて、いるわけです。
皆が一社に偏ると、ワクチン不足が起こります。高齢者はワクチンを接種をされた方が良いのは間違いありません。ぜひ、該当される方は接種をお勧めします。私は、ファイザー社を選んでスタートします。製品不足にもしなれば変更せざるを得ないだろうと覚悟はしています。インフルエンザはアメリカから生ワクチンのフルミストという製品が入ってきました。両側の鼻腔に噴霧をします。痛くないのはメリットですが、高齢者には認められていませんので使いません。子どもは任意接種ですが、高額である、効果は注射による枠心を上回るとは言えないを知っていますので、積極的にお勧めはしません。とりあえず購入を予定していません。
ワクチンと免疫の話(3
ワクチン接種って免疫学的記憶をつけることが基本なんだよ。エッ抗体を作らせることじゃあないんですか?、まぁそう慌てないで、いまゆっくり話すからさ ってとこなんです。
病気にかかる、ワクチンを接種すると二度と罹らない、かからない効果が長い時間継続するということは自然に会得したようなんです。中国では3~4世紀の頃に、天然痘は一度罹れば二度かからない、一度目が軽ければ一生楽になると知っていて、患者が来ていた衣類をわざと着せて軽く罹り免疫をつけさせようとしたことが記録に残っているそうです。地中海のファラオ島というところで60年ぶりに麻疹が流行したときに、前に罹った人は罹らなかった、つまり、免疫は60年はもつということが記録にあるそうです。中世期にヨーロッパでコレラが流行した時に、一度これらに罹った人を看病させたという記録もあるそうです。子どもの時に罹ると軽く済んでも、大人になって罹ると酷い病気ってありますよね。水疱瘡(水痘)がそうですが、オランダでは子どもが水痘に罹ると、近所に知らせて子どもを集めてパーティを開くそうです。子どもも免疫機能の低下があるヒトが罹患すると致死的な経過を取ることがあるので危険な行為なのですが、オランダでは今もそうなのだそうです。風疹は妊娠中のママが罹患すると胎内感染で子どもに心臓病、難聴、弱視の先天風疹をおこす。水痘も妊婦さんがかかると小頭症、弱視の先天水痘と呼んでも良い異常を起こすことが知られています。おたふくも、すべての年齢で難聴を起こす可能性がありますが、年齢を長ずると精巣炎、卵巣炎をおこすことが知られています。どうせワクチン接種をするのなら大人になるまで免疫を維持させたいですね。病原体、わくちんによって、どれくらい免疫が維持されるかは異なるのです。罹患する、ワクチンを接種するとまず自然免疫が作動して、獲得免疫が動き出して、Tリンパ球、Bリンパ球が働いて、抗体が産生され、細胞免疫が働くのですがリンパ球はまもなく死滅します。ところがメモリーリンパ球が少数生き続けるのです。そのリンパ球は再度抗原に出会うと、自然免疫の働きをなくして、直ぐに働くので短時間に効果的に働いて発病を阻止できるのです。この働きを利用しない手はないでしょう?だからワクチンは間隔をあけて回数を複数回にするのです。パパやママにお願いです。免疫学的記憶はお子様を長期に守る仕組みなのだということをメンタルインテリジェンスとして記憶してくださいね。階層鵜を重ねる意味を知って、忘れないでね。お願いです。
ワクチンと免疫の話(2)
ワクチンを接種すると、接種を受けた人が一定の期間を経過した後で、病原体に対して抵抗力を獲得する。それが良く理解されてからワクチン接種が行われるようになったわけではありません。種痘は、牛痘ウイルスの入っている皮膚の分泌物を人に接種をしたら、天然痘(人痘)に罹患しないか、罹患しても軽症で終わることを知って始められています。理論より効果の確認が優先されています。接種を受けた人の体液、最も簡単に採取できるのは血液ですが、その中に病原体を働かせないようにする物質があるというのを、いろいろな現象を介して証明をして抗体ができているのだということがわかりました。細菌は病原体として捉えられて培養が出来るようになったのは、歴史的には古く、日本に知識や技術が入ってきたのは明治になり近代医学が入ってきてからです。昔は、一病原体一疾患説でした。肺炎を起こす病原体だから肺炎菌、顕微鏡で見ると丸く見えるから球菌で肺炎球菌と名前が付けられました。髄膜炎を起こすから髄膜炎菌という具合です。まだウイルスというものの存在がわかっていないので、インフルエンザと病気の名前を付けた患者さんから菌が得られて、病原体と考えてインフルエンザ菌と名前を付けたのです。後年、インフルエンザの病原体はウイルスであるとわかりましたが、名前を付けてしまったので、インフルエンザとは関係ないのに、インフルエンザ菌という名前を変えていないので、その仲間のb型が重症な喉頭蓋炎を起こしたり髄膜炎を起こすのでワクチンを作成したのがヒブワクチンなのです。肺炎球菌は肺炎しかおこさないのではありませんし、肺炎は肺炎球菌だけが病原体として起こる病気でもないので、肺炎と称される疾患群(症候群)は複数の病原体で起こるというのが正しい理解になっています。
病原体をそのまま、ヒトに接種をすると当然ながら病気になります。牛痘と天然痘のような関係の病原体は、実際には稀なのです。では、病原体の病原性をなくして、それを接種をすれば、うまくいけば免疫が得られると考えたのが、種痘の次のステップのワクチンです。菌がいきたまま、病原性を失わせるというのはなかなかできません。尤も簡単なのは、何らかの方法で病原体を殺すことです。それで出来たのが百日咳菌ワクチンです。破傷風やジフテリアは菌が作る毒素が病原性の源であるとわかりました。では菌を使うより、毒素(トキシン)を無毒化して(トキソイドをつくる)ワクチンにしました。サルモネラ菌の仲間であるチフス、パラチフスも怖い病気の病原体でした。それを殺して、ワクチンとして日本でも導入されました。私は、小学校時代に受けた覚えがあります。効果が得られなかったので日本では廃止になりましたが、韓国は全く同じものではありませんが定期接種に入れていますし、世界的には使っている国もあります。
どうも免疫反応には、抗体が病原体を抑制するだけではなく、細胞そのものが働いて病原体を抑制する反応もあるということが、わかってきました。それで、体液が働く液性免疫と細胞が働く細胞免疫があるということが経験的にわかってきました。新型コロナウイルスワクチンも両方の免疫が出来ると説明をされていましたから、お分かりだと思います。自然感染だと液性免疫の獲得が弱い、細胞性免疫の獲得も弱いので、再度罹患したり再感染の時にも重症になる可能性がワクチン接種者の場合よりも高いと今でも言われています。
ワクチンに関係して免疫の話(1)
新型コロナウイルスの感染を予防する、感染してもサイトカインストームに至らせないそのために重要な役割を持つのがワクチンです。ワクチンを接種をすると。接種を受けた人の免疫の状態が変わります。ワクチンの効果を理化するには、少し、免疫の仕組みを知っておく必要がありますよね。もともと、免疫という言葉は、疫病を免れる~一度かかった病気にかからない~2度なしを源にして由来した言葉です。尤も、麻疹に一度かかると2度は罹らないと思ったのは多くの人では、そうであったが、一生に2度かかる人もいる、何度もかかるがかかるたびに軽くなっていく病気もあるなど、2度なしはそんなに完全ではありません。なぜ、2度かからないのかを研究し始めたのが免疫学の始まりです。天然痘という病気が、重症でヒトの生命を奪う病気であるのが、牛痘に罹った人は、天然痘に罹らないか発病しても軽いというのは、ジェンナーが種痘をあみだす数世紀前からわかっていて、わざと罹患するために病人が着用していた衣類をわざと着るなどは中国でも古くから行われていて、それがトルコあたりを経て西洋に伝わって、ジェンナーが積極的に皮膚に傷つけて植えるということにつながったのです。水痘が子どもの時期に発病すると軽い病気だけど、大人になってかかると重症になることを経験的に多くの国で知られていました。それで、子どもが水痘に罹ると近所の子どもを持つ親に連絡をしてパーティを開いてわざと罹らせるということをやっている地方は今でもあります。ドイツは水痘ワクチンの定期接種を行っているのに、オランダは行わず、水痘パーティを行っている。ドイツとオランダの国境は接している地域が広いので、水痘がオランダから流行してくるとドイツが苦情を言っていたのはそんな昔ではありません。幼いときに罹ると軽症で大人になると何故重症なのか?罹ることで、なぜそれ以後に防御的な能力が身につくのか?どうやら生まれつきに防御力を持てない異常を持った人がいて、その人はほかの人なら軽く済むはずの病気でも重症になり生命さえ失うし何度もかかる(先天性免疫不全症候群)などを経験的に知ることになり、積極的に無傷で免疫能を獲得しようとしたのが、ワクチンなのです。