ワクチン広場
ワクチンに対する「不安」・「疑問」の声をよく耳にします。
それはワクチンについて「まだよく知られていない」という現状、特に日本では正確なワクチンの情報が行き届いていない事が原因の1つかと思われます。故に医師の立場として、もっとワクチンの「正確な情報」を伝えていこうと考え、このブログを立ち上げた所存でございます。
子育て中のパパママ目線から、また医師や医療関係者目線からと、あらゆる角度から予防接種について記載していきます。それに対する皆さまからの疑問や質問、また医師、医療関係者の方からのコメントが行き交う「交流の場」となることを胸に描いてこのブログを進めていきたいと思います。
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9価ヒトパピローマウイルスワクチン発売されました

ヒトパピローマウイルスワクチンは現在までは日本では、4価ワクチンが定期接種に作用されていましたが、此の度、24日より9価ワクチンが発売されました。今や、世界の常識は9価ワクチンです。それが日本でも個人輸入ではなく接種が出来るようになりました。まだ、定期接種に作用されていませんので、任意接種になります。定期接種になるには2年くらいがかかる可能性がありますが、一歩前進です。高校2年生以上の方は、定期接種では接種対象外ですが、予防を考えると、絶対に9価のワクチンでの接種をお勧めします。4価のワクチンが現在のところ、国の施策では強く勧めるにはなっていませんので接種者が少ないのですが、外国では9価で明らかに子宮頸がんが減少していますので、定期接種を受けていない方には、どうせ任意接種ですし9価のワクチンの接種をお勧めいたします。副反応をチェックする必要から、接種医療機関も接種を受けられる方も登録をして、結果を明らかにしつつ接種を進めることになっています。少しややこしいのですが、ご希望の方は是非、新しい制度にのっとって受けられることをお願いします。登録医療機関はネットでわかりますので、お問い合わせをして予約をして接種日を決めることになります。私も、早速登録をしました。第1号は何時かな?お待ちしています。高校卒業、大学入学、卒業記念に接種を御受けになりませんか?

抗体があればよいという訳ではない

中和抗体があれば有利というのは解って頂けましたね。ある蛋白に抗体が出来ました。そのようなヒトにウイルスが入ってきました。樹状細胞という免疫に関与する細胞に抗体がくっついてそこにウイルスが区Þtクト樹状細胞が反応して炎症を起こすサイトカインを大量に作る場合があります。ネコのコロナウイルス感染で証明されていますし、人のデング熱というウイルスによる伝染病は型が4つあるのですがうち2つで証明されています。新型コロナウイルスでもそのような現象の結果、肺炎や重篤な状態になるのではないかと推測されていました。完全に否定した結果はまだ見ていません。抗体依存性炎症反応と呼ばれています。少し、お分かりいただいたでしょうか?ワクチンで免疫をつけるとしたら中和抗体だけを作らせるワクチンが好いということになります。生ワクチンはウイルスが活きているので感染した場合と同じように免疫を作ることが出来ると言われます。一度罹患すれば二度と罹患しないと考えられた麻疹などは生ワクチンが好かった例です。でも、複数の蛋白に対する抗体を作らせることにもなります。不活化ワクチンはウイルスを殺すことで変質を加えることになり、抗原が変質を起こすのと、不要の成分に対する抗体も作らせる可能性があります。生ワクチンもウイルスの弱毒化の過程でウイルスに変異を起こさせるので、野外ウイルスとワクチンウイルスでヒトの細胞の受容体が違ったりする場合も出てきています。免疫反応の中には、ウイルスを中和する反応だけでなく、他の免疫反応も有ります。組織免疫と呼ばれる反応があります。ロタウイルスワクチンは生ワクチンですが、小腸での感染を防ぐのに組織免疫を誘導しています。中和抗体を造り、組織免疫を誘導し、抗体依存性炎症反応を起こさない、ワクチンが理想のワクチンです。そのためには病原体を用いた生ワクチン、不活化ワクチンではないワクチンが求められていたのです。日本は百日咳ワクチンで1980年代にそれを工夫して作りました。ワクチンの成分を調整したのです。

日本脳炎ウイルスワクチン、インフルエンザウイルスワクチンもそうです。有用な成分だけを使うワクチンです。次に、中和抗体を作らせる成分だけを外部で作りワクチンにしたものがB型肝炎ワクチンとヒトパピローマウイルスワクチンです。更に、それを外部ではなく接種された人自身に作らせるというのが新しく登場した新型コロナウイルスワクチンです。如何に、人の細胞の中にその遺伝情報を送り込むか?mRNA

にしたり、DNAにしたり工夫を各社凝らしているのです。次世代のワクチンとして教科書にも出ていた方法です。異物ですから自然免疫系は先ず動きますので宿主側が反応して症状が出ますが、それは反応している証拠なので、効くよという前触れでもあります。今後のワクチンの主役になる方法かもしれません。また、今までのワクチンも変更されるかもしれません。或る意味、待たれていた製法でもあるのです。

少しわかって頂けたかなと思うのですが如何でしょう?

ウイルスが細胞に入ると何が起こるのか?(2)

ウイルスが細胞に入って、核酸にある情報で必要な酵素を作ったり、作動させたり。その働きを停止したりしながら、ウイルス粒子のパーツをつくり、繋ぎ、最終的にはウイルス粒子に仕立て上げ、殻を被ってウイルスを細胞外に出します。その過程は、通常の細胞の働きとは異なるのですから、細胞自身を細胞の持ち主側の免疫系が異物だと認識するとその排除に向かいます。最初動いた自然免疫系が獲得免疫系を動かし始めます。持ち主は宿主、今の場合はヒトと考えますと、ウイルスが異物と認識すれば獲得免疫系も排除に働きます。ここまでの過程でもサイトカインが作られて働いています。症状の大半は、サイトカインの働きで生じたものです。完全なウイルスになったウイルス粒子は細胞を出てすぐ傍の細胞に入り複製を行うか、体液によって運ばれて離れた細胞に感染をすることもあるでしょう。このプロセスは迅速に行われます。ウイルスが感染した細胞が無傷で元に戻ることもあるかもしれませんが、異物と宿主側に認知されれば免疫系の働きで排除されることになります。そのプロセスも宿主側の症状を招きます。症状の多くはウイルスの感染が発端ではありますが、宿主側の反応なのです。反応を薬物で人為的に止めようとしても、素直に症状が消失するほどは効果はないのが普通です。ウイルスは単一の蛋白質のみしか持っていないというのは無いか稀です。ヒトの免疫系は、たんぱく質を抗原にして反応するので、一つのウイルスの感染で複数の免疫反応が起こります。新型コロナウイルス流行の初期に、検査キットで抗体が陽性に出るというニュースで、テレビ番組に解説者として登場していた女性が、その人はもう働けますなどと言っていました。ウイルスの何に対する抗体かは解っていないのになんと乱暴な専門家だと思ったものです。抗体が出来れば有利かというと必ずしもそうではありません。或る蛋白質に対する抗体が出来て、その抗体があればウイルスは感染力を失い細胞に入らなくなる抗体は有利です。ウイルスの毒性を中和するという意味で中和抗体と呼ばれます。中和抗体があれば、ウイルスを殺してくれるので、発病しないか、感染が局所で起こったとしても重症化はしないと考えられます。従来は、このウイルスはある細胞に感染させると細胞が病的状態になるという組み合わせを見つけて、被検者の血清を加えるとその阻止が証明できるという方法で測定していました。その為には、ウイルスに感受性の良い細胞が必ず必要です。例えば麻疹の中和抗体は、ミドリ猿の初代腎臓細胞を使います。中和抗体を測定する為にミドリ猿に死んでもらう必要があるので、感染した証明なら他の方法でも可能なので、そちらの方法を選んでいます。麻疹ウイルスはミドリ猿の赤血球を凝集する作用があります。抗体があれば凝集する効果が落ちるはずですから、赤血球凝集阻止効果を指標にして抗体を測定できます。赤血球の利用は猿を殺すことにはならないので、用いられていました。多くの場合には、この抗体があれば中和抗体もあるだろうと考えられるのです。ところが、昔、麻疹ワクチンに今のような高度弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンを使っていた時代に、ワクチンを受けていた人が麻疹に感染して、胸水が溜まったり通常の麻疹と異なる病状を呈し、異型麻疹と呼ばれる状態になりました。そのときにその患者さんは赤血球凝集阻止抗体が異常に高い値を示しているのがわかりました。中和抗体と乖離をしていることがあることの証明です。ある人が麻疹に罹患しないだろうという証明をするには中和抗体の検査が重要ということです。中和抗体が測定できないウイルスも有ります。水痘がそうです。風疹ウイルスも特別なプラーク法という方法を使えば測定できますが、大量の検体を短い時間で行うには向かない方法なので研究的以外にはおこなわれていません。B型肝炎ウイルスではS抗原、e抗原、C抗原があることが判っています。感染を阻止できる抗体はS抗原に対する抗体だけです。新型コロナウイルスではS抗体のみが感染を阻止する抗体なのです。

 

ウイルスが感染するということは何が起こるのか?

ウイルスは基本的には、中に核酸があり、それを殻が包んだ構造をしています。中の核酸の種類によって、RNAウイルスとDNAウイルスに分けられます。ヘルペスウイルス、水痘、アデノウイルスなどはDNAウイルスですし、麻疹、風疹、おたふくかぜ、インフルエンザなどはRNAウイルスです。ウイルスは存在するだけでは自分を複製することはできません。ウイルス自体は細胞ではないので存在するだけで内部で代謝が起こる訳ではありません。生きている細胞の中に入って、その細胞の代謝系に自分の持っている核酸の情報をもとにして自分を複製させるのです。自分の複製が完成するまでは、細胞に死なれると自分の複製がストップになりますから、細胞の中に入るとその細胞を直ぐには殺さないのです。多くの人が、細胞の中にウイルスが入ると細胞が死ぬから病気が起こると思っていらっしゃるかもしれませんが、そうではないのです。ウイルスがヒトの体に入る経路は色々あります。鼻粘膜や上気道の細胞に感染をするウイルスは、空気を吸うとウイルスが気道に入り直ぐに細胞に接触をします。消化管から入るウイルスもそうでしょう。血液や体液に入るウイルスは自分が入る細胞に直ぐに出会うとは限りません。ウイルスにはウイルスを包んでいるエンベロープと呼ばれる蛋白質の殻や色々な基本的なたんぱく質を持っています。自分を複製させるために働く遺伝情報も酵素を作らせてその酵素の働きを使っている場合には複製の途中でたんぱく質を細胞内で作ります。其れの情報もウイルスが持っているのです。自分の複製に都合の良いような情報を持っているだけでなく、人には自然免疫と呼ばれる仕組みがあって、それは感染を経験して出来る獲得免疫と違って、多くの人が共通に持っている仕組みです。それがウイルスに働いて、ウイルスを排除するように働く可能性があるのですが、それを邪魔する、例えばそのように働くサイトカインを抑えるように働くものを作る情報を持っているウイルスもあるのです。ヒト側にはウイルスが持っている蛋白質の鍵の相手となる錠前の働きをする蛋白質があります。新型コロナウイルスではS蛋白とよばれるもので、ヒト側はアンギオテンシン変換酵素2と呼ばれるたんぱく質です。全てのウイルスに就いて,鍵と錠前がわかっている訳ではありません。鍵と錠前がくっついてもそれだけでウイルスが細胞の中に入れる訳ではなく、エンベロープの蛋白をどのようにして脱ぐか、何時脱ぐか、核酸の遺伝情報は一挙にすべて働くわけではなく、必要な時期に働き、必要な時期に終わる仕組みも情報として持っているのです。ウイルス感染は異物の侵入を意味します、ウイルスもしたたかですが人もしたたかで、抗体ができてから初めてそのウイルスを排除するのでは、自分の身を護るには時間がかかりすぎます。自然免疫という仕組みが、先ず、自分を護る仕組みなのです。それはウイルスが体内に入ると局所的、全身的に反応し始めているのです。ヒトには錠前の働きに関与する蛋白質が細胞の表面に在ったりします。それが男性ホルモンとにたような構造をしているものがあり、すると男女差があったりするのです。ウイルスが細胞に入るにも攻防があるのです。このような仕組みを少しわかると、ワクチンの働きを考える時に役に立ちます。一杯情報はネット社会にもあふれているので、自分の基礎的な知識で理解できる情報を探して診ましょう。

 

ワクチン談義の前に少しだけ理解を拡げませんか?

新型コロナウイルスワクチンが効くのか、効かないのか、副作用があるのかないのか、談義が弾んでいますが、本当の処は解っていないことが多いのです。推測で論じても仕方がないと思いながら観ています。何故、ワクチンが必要なのか?どのようなワクチンが好いのか?

ワクチンのことも大事ですが、先ず病気の内容も理解が必要だと思います。

 ウイルスの数は実に沢山あり、その全てに共通のこともあれば、共通ではなくそのウイルス独特のものもあります。病気をおこすものもあればそうでないものもあります。人間にとって脅威となるものについては研究者が多いのですが、そうではないものには研究者は少ないのは世の常でしょう。以前から存在は知られていて、いわゆる風邪の病原体であることが知られていたのにコロナウイルスがあります。型が4つ知られていました。コロナウイルスはアルファ、ベータ、ガンマー、デルターに分類されていて、人に感染して風邪の病原体になると考えられているのは、2つはアルファ、2つがベータです。ちなみに、新型はベータです。中国の南の方や地中海沿岸で流行したサーズ、マースと呼ばれた呼吸器の重症疾患を招く病原体もコロナウイルスです。

 サーズもマースも日本での流行が無く、そのために、今回、経験がある医師は流行した当時に海外で活動された方々だけでした。従って少数の方です。

 他方、風邪の診療にあたっている医師は沢山います。鼻汁、咳嗽、軽度の発熱、咽頭痛、倦怠感などを伴う状態が風邪と呼ばれています。英語では、Common coldと言います。この風邪の原因になる病原体は、圧倒的にウイルスである場合が多いことが知られています。RSウイルス(型は1つ)、パラインフルエンザウイルス(型は4つ)、コロナウイルス(型は4つ)は免疫ができない、できにくいウイルスとして挙げられていて、生涯に何度も罹るとされています。

 免疫は出来るかも知れないが、頻度の高いウイルスとしてエンテロウイルス(型は68)、アデノウイルス(型は80)、ライノウイルス(型は100以上、約200という本もある)、ヒトメタニュウモウイルス(型は1つ)、ボカウイルス(型は3つ)、があげられていて、インフルエンザウイルス(型は4つ)も軽症だと風邪と区別がつかないといわれています。

 教科書の各ウイルスの感染症の処を読むと、その特徴が書かれています。主な症状を書きだすと風邪の特徴とされている症状になりますが、夫々に経過は特徴的だと言えます。私は患者さんを診察するときに、患者さんの発症後の時間的経過と症状所見から可及的に病原体素推測するようにしています。同じ地域、同じ施設で多発すると病源体が推測が出来るように思います。それを実際に検査で診断をしている論文があります。それは、個々のウイルスについてのPCR検査を同時に行うのです。すると感染しているウイルスがわかり、2種類、3種類のウイルスに同時感染している場合も有ります。年齢、地域、季節、気象条件での変化がわかります。残念ながら日本にはこの種の研究論文が少ないのです。重篤な病気を起こすウイルスや悪性腫瘍に絡む研究には研究費が出ても、ありふれた病気の研究には研究費が少ないからです。それは、そのような研究には研究費が出されてい報告されていれば、患者さんの症状所見経過から病原体を推測する、ことが可能になる筈です。病原体の同定には最近ならば細菌培養、ウイルスならウイルス分離が基本でしたが、その新しい方法はPCRをうまく使うことなのです。日常の疾病の診断の臨床、研究に基本にしていれば、流行が起こった時に対応が早くできたのではないかと思います。何の研究に研究費を使うかも含めて再考を迫られていると思います。現代の風邪博士の登場を期待します。

 

 

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