新型コロナウイルス感染を考える(2)
ウイルスが増殖した細胞が死ぬというと、感染による症状はそのために起こるとお考えになる方が多いようですが、実はそれは違うのです。体がだるい、熱が出るなどの症状はヒトの体が持っている防御機能が起こすと考えられています。熱が出る、体の節々が痛むなどの炎症が起こるのもヒトの免疫系が活発に働くからである、病原体をやっつけてくれる時の副反応のようなものだと考えられています。ウイルスの成分にそのような反応を起こさせる成分があるわけではないのです。感染をした部位にあるヒトの免疫系の細胞がを感知して、変な奴が来たぞと信号を出すのです。それはサイトカイン、ケモカインと呼ばれる物質なのです。サイトカインは一つのサイトカインが必ず複数の効果を持っています。体温を上げるように働くサイトカインが今は少なくとも5つあるとわかっています。脳の視床下部という部位にあるヒトの体温調節の中枢があり、その働きでヒトは、37.5~37.8℃に体温を保つようになっていますが、その設定温度をセットポイントお言うのですが、それを上げさせるように発熱サイトカインは働きます。例えばインターロイキンー1というサイトカインがあり、子のサイトカインは発熱サイトカインの代表ですが、同時に免疫系の細胞を活性化したり獲得免疫系の活動を活発化する効果も持っています。セットポイントが例えば、39℃に上がると、体は脳の指令に従って体温上昇に働くのです。熱を失わないように皮膚の表面を流れる血管を収縮させます。手足は冷たくなり、皮膚は青ざめます。それでも、脳の指令に達しない場合には筋肉を収縮させ震わせます、そして熱を作るのです。それが悪寒戦慄と言われる状態です。体温が高い方がウイルスの増殖には不利なのです。体温が上がるのも防御反応の一つと言えます。鼻水がでるのは、これ以上病原体が入ってこないための防御反応と理解できます。症状が出なくとも、ヒトの体ではこのような変化は起こっていて、自然免疫でウイルスが排除されれば、感染していても無症状で終わるということもあり得るわけです。ところが、ウイルスが増える、全身に広がると、それも運んでいるのはヒト側なのですが、サイトカインが局所で作られ、それが全身に広がるなどが大規規模になり、ウイルス、ウイルスが増えている細胞もヒトには異物なので免疫反応が起こります。その結果でも炎症を起こすサイトカインが作られますが、それが度を越して過剰賛成されるとそのことでの反応が起こります。血液が凝固しやすくなることが起こると血管内で血が固まり、そこから先に血液が流れにくくなります。多臓器不全の原因にもなります。新型コロナ感染は、このように、単なる感染ということと、暴走というべきサイトカインの大規模の暴走を促すという二つの面があるのです。私が、感染したのは多分、9月9日から10日の学会に参加した時だと思います。11日に発病しました。発熱、寒気、倦怠感、鼻汁などはウイルスの感染に私の体が反応したからでしょう。発熱をして8時間くらいで、血液中の酸素飽和度が低下していました。咳がひどいわけでも、呼吸困難などは自覚していませんでした。私は、マスクをしないでみなとみらいのホテルから駅まで歩いているときにマスクを外していたので、大きく幾を吸いウイルスを肺まで吸い込んでいたのではないかと考えています。ACE2受容体は気管支の細胞にもあるので、そこでウイルスが増えて最初の免疫反応が起こったのだと思います。ところが、ワクチンを6回接種していて細胞免疫も含めて獲得免疫ができていて、ウイルスの増殖を抑えて、重症化しなかったのだと考えています。免疫はあっても受容体を持った細胞は露出している部位では感染は起こるのだと思います。サイトカイン暴走はサイトカインストームと言いますが、それが起こる仕組みはまだわかっていません。それを起こすことが重症になるのであり、それを予防すれば軽症で終わるということがわかっているところです。