1930ローマ展開催90年
ローマ展出品の近代日本絵画
喜八郎の長男喜七郎は、同時代の新しい日本の芸術を擁護し、欧米にその魅力を知らしめたいと考え、昭和5年(1930)にイタリアのローマで「ローマ開催日本美術展」の開催を実現しました。当代一流の日本画家80名による約200点の作品に加え、工匠、表具師、生花師範まで同行して日本の空間を造り上げ、日本の美を世界に紹介する一大プロジェクトでした。実際の運営と作者選定を日本美術院を牽引していた横山大観が日本美術使節団長として担い、川合玉堂が官展系東京画壇、竹内栖鳳が官展系京都画壇のとりまとめをたすけました。
ローマ展に出品した画家たちの意気込みも強く、日本の美意識を披露するとともに、新しい芸術性を世界に訴えるという使命に応えようと、伝統と革新を探求した作品を提供しました。現在その作家の代表作と評されている作品も少なくありません。このローマ展出品作品を中心にした、大倉集古館収蔵の近代日本画には、日本美術の発展をめざした喜七郎と当時の日本画家たちの清新なこころざしを感じることができます。
「近代日本画の華―ローマ開催日本美術展覧会を中心に―」
2020年8月1日(土)~9月27日(日)
明治以降、横山大観、菱田春草、下村観山らは、日本美術の新たな道を求めた岡倉天心が結成した日本美術院で研鑽を積みつつ、日本画の革新に取り組みました。師の没後、大観がその遺志を継いで、対外的な活動を休止していた美術院を大正3年に再興しました。大観のパトロンでもあった大倉喜七郎の全面的な支援を受けて、昭和5年(1930)にローマで開催された「日本美術展覧会」は、団長を務めた大観を筆頭とする院展(再興日本美術院)系の画家のみならず、河合玉堂、竹内栖鳳ら官展系の画家たちも含む総勢80名が参加した。当時の日本画壇における一大プロジェクトでした。本展では、ローマ展開催90年を記念して、大観、春草ら日本の近代を彩った画家たちの作品を、同展出品作を中心に展観いたします。
「大倉集古館」ホームページ
「大倉集古館の名品」
2012年12月1日発行
編集:山梨県立美術館
大倉集古館
発行:大倉集古館
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