大倉集古館で「爽やかな日本美術」展を観た!
「大倉集古館」の年間スケジュールは、以下の通り。
2010年
4月1日(木)~6月6日(日)
館蔵品展「さわやかな日本美術~風・流れ・涼の表現」
6月13日(日)~7月25日(日)
特別展「伝統美と巧みの世界―新作日本刀・刀職技術展覧会」
8月1日(日)~9月26日(日)
「欣求浄土~ピュア・ランドを求めて―大蔵コレクション 仏教美術名品展―」
10月2日(土)~12月19日(日)
特別展開窯300年「マイセン 西洋磁器の誕生」
2011年
1月2日(日)~3月21日(月・祝)
「煌きの近代~美術からみたその時代」
大倉集古館、今回のテーマは「さわやかな日本美術~風・流れ・涼の表現」です。四季の変化に恵まれたわが日本、春から初夏に移るこの季節に、一服の清涼を感じていただければ、とあります。観に行ったのは6月3日、最終日の3日前でした。まさに「春から初夏に移るこの季節」でした。
もう最初から英一蝶「大井川富士山図」や、川合玉堂「高嶺の雲」、谷文晁「夏景山水図」、菱田春草「雨後」などが続々出てきます。ここでは江戸時代のお皿を2つ、まず「青磁染付宝尽文大皿」、そして兄弟でタッグを組んだ作品、光琳画・乾山作の「銹絵 寿老図六角皿」を取り上げました。速水御舟「鯉魚」は(たぶん)僕は始めて観ましたが、モノトーンのようなそうでないような微妙な色合い、鯉がまるで生きているよう、とは我ながら通俗な表現ですが、右上の白い花(百合か?)と絶妙の対比をなしています。
宇田萩邨の「淀の水車」、これも僕は初めて観ました。四角い画面に竹ひごが絡まっているような図柄、、チラシだけでは水車があまりにも華奢(きゃしゃ)で、なんの絵なのかよく分かりませんでした。画面左に位置する2羽の「白鷺?」、これが柔らかくふわっと描かれていて素晴らしい。前田青邨の「洞窟の頼朝」、もう何度も観ていますが、さすがは青邨の代表作、戦場へ向かう頼朝たちの決死の表情がよく出ています。たしか「重要文化財」に指定されたばかりだとか?
おっと、忘れるところでしたが、今回浮世絵が4点、出されていました。「各所江戸百景之内 撰出江戸四十八景(初代一立齋広重翁筆)」の4点です。「亀戸天神境内」「水道橋駿河台」「王子不動之瀧」「両国花火」、まさに今の季節にぴったりなものばかりでした。
四季の彩り溢れる変化に恵まれた私達は、豊かな自然に囲まれて生活し、それらを愛し慈しむことに古くから馴染んできました。そこで育まれた感性は、様々な日本美の形象を生み出してきたといえるでしょう。ここでは英一蝶「大井川富士山図」や川合玉堂「高嶺の雲」など近世近代の諸作品により、山景や滝、川の流れなどに表わされた爽快な趣向を選び展示を構成いたしました。大倉集古館の広範なコレクションを通し、春から初夏に移るこの季節に、一服の清涼を感じて頂ければと存じます。
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