板橋区立美術館で「館蔵品展 狩野派学習帳 今こそ江戸絵画の正統に学ぼう」を観てきました。全点、写真撮影可能でした。8月10日まで、会期は終了しました。
つい先日、朝日新聞の「美の履歴書」で、狩野典信の「大黒図」が取り上げられていました。
過去に板橋区立美術館で、狩野派関連の展覧会を観たのは、以下の3件でした。
板橋区立美術館で「探幽3兄弟展 狩野探幽・尚信・安信」を観た!
板橋区立美術館で「狩野派SAIKO!~再興!最高!再考?狩野派再点検~」を観た!
狩野派についての展覧会は、最近では出光美術館の「狩野派 画壇を制した眼と手」を思い出したした。そして「長谷川等伯と狩野派」を。
そしてまた、栃木県立博物館でも、「狩野派」、観ましたね。わざわざ行きました、宇都宮まで。大規模な展覧会でした。
狩野派の学習帳
絵師は、和漢の古画を倣うことで定型化された作風・画法を身につけてきました。特に狩野派では、木挽町狩野派に学んだ橋本雅邦が「臨写を以て初め臨写を以て終る」と語ったように、古画をはじめとする模写が教育の基調を成していたことが知られています。絵師として独立した後も、様々な依頼に応えるためにh、古画学習を深めることは大変重要でした。
本展出品の安信筆「人物花鳥画帖」や養信筆「唐画帖」のように、いわば狩野派の学習帳(帖)とでも言うべき、古画に倣った作品は数多く制作されました。大きな仕事を手掛ける狩野派としては小品ですが、これらからは模写を重ね伝統を守り抜く「学画」の跡と、自らの作品の発展の手懸りを掴もうとした絵師の息遣いが伝わります。
屛風関連以外の作品
ここでは以下に、展示されていた33点のうち、屏風関連9点以外を載せておきます。(写真写りの悪いものは除外)
館蔵品展 狩野派学習帳
今こそ江戸絵画の正統に学ぼう
近年、奇想天外で刺激的な画風の江戸絵画がますます人気を集めています。しかし、幕府や諸大名の御用として圧倒的に支持され、江戸絵画の正統であり続けたのは「狩野派」でした。
狩野派とは、室町時代から幕末まで実に400年にわたり、血縁関係でつながり幕府の仕事を行ってきた絵師の専門集団です。江戸時代には、徳川幕府に仕えるため京都から江戸へ活動の本拠地を移した狩野探幽(1602~1674)が、狩野派の活動を一層堅固なものにしました。新たな時代様式をつくった探幽をはじめ、その一門は「江戸狩野派」と呼ばれています。
狩野派は、個人の才能による「質画」よりも、模写を重ね伝統を守り伝える「学画」を重視し、和漢の古典を学び画風の継承につとめてきました。そのため、江戸狩野派の作品は、強烈な個性や目新しさを競うのではなく、確かな実力を蓄えた安定感のある筆づかいに特徴があります。その一方、時代の変化や好みに寄り添い変容して発展してきました。
本展では、たっぷりの余白と軽妙な筆致による作品の探幽をはじめ、力強い輪郭線により狩野派の原点を示した典信や、水墨表現から細密描写まで幅広い画技に長けた栄信や養信、さらに近年注目が集まる女性絵師の清原雪信や幕末に活躍した逸見一信まで、江戸狩野派の魅力をご紹介し学べる機会とします。また、近年収蔵した江戸絵画も初お披露目します。
「板橋区立美術館」ホームページ
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/
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板橋美術館で購入した図録
板橋区立美術館所蔵
狩野派以外全図録
発行日:2013年2月23日
編集・発行:板橋区立美術館
小冊子
板橋区立美術館と村田政眞
2019年6月29日発行
編集・発行:板橋区立美術館