板橋区立美術館で「実況中継EDO」展を観た! | とんとん・にっき

板橋区立美術館で「実況中継EDO」展を観た!





板橋区立美術館で「実況中継EDO」展を観てきました。 板橋区立美術館は、ちょっと変わった企画を取り上げて、展覧会を催すことで(たぶん)よく知られています。思い出すままに「一蝶リターンズ」、「諸国畸人伝」、「浮世絵の死角」、等々、なかなか一筋縄ではいきません。毎回、こんな切り口があったのかと、驚かされました。が、しかし、今回はなにを意図したのか、焦点が定まりません。そもそも「江戸」がなぜ「EDO」なのか? また「実況中継」の意味が、いまひとつ分かりません。

江戸時代は、写生に対する関心が様々な形で高まった時代、としています。江戸時代以降は、狩野探幽をはじめとして現実に対する写実的な描写が試みられたこと、18世紀に入ると西洋や中国から写生画方が入ってきて、遠近法や陰影法を用いた写生画が追求されたこと。作品は、江戸期の写生の臨場感あふれる現場を伝えること、時代を超えて受け継がれた風景の記憶、描き手の視線を、江戸からの「実況中継」として提示すること、そして江戸時代の人々がどのような写生を求めたのか?


展覧会の構成は、以下の通りです。

スケッチと真景図

事件

博物趣味


たった3つです、つまり3章に分かれています。しかも、「事件」が不発に終わっています。大震災があった後なので、あまり刺激的な作品は、展示するのはよそうということになったようです。川藤永の「朝鮮通信使図」だけです、観られるのは。「スケッチと真景色図」と「博物趣味」は、意図がはっきりしているので、よく分かります。写生帖のようなものは、例えば、植物図のようなものは、まさに「写生図」「スケッチ」そのものです。


今回の展覧会の趣旨を最も体現しているのは2つです。ひとつは、伊能忠敬の「日本沿海輿地図(小図)」です。「小図」とはいえ、大画面で、よくぞここまで描いたと、信じられないほどの迫力があります。早い話が巨大な「測量図」なんですが、驚きです。もうひとつは、丸山応挙の六曲一双の「群獣図屏風」です。松の木の下に、動物が続々と出てきます。虎と鹿は圧巻です。いや、小さな犬たちも、なかなかなもの。他に、守住貫魚の「袋田滝図」、いわゆる「四度の滝」です。しぶきが凄い。拓本ではない、中島仰山の「うみがめノ図」は、今回のヒットでした。


スケッチと真景図





事件

博物趣味




「実況中継EDO」
スケッチと真景図と事件と図譜
……リアル・タイムな江戸からの視線
板橋区立美術館では、江戸文化に焦点をあてた近世絵画の企画展を「江戸文化シリーズ」として連続開催しています。27回目の今回は「実況中継EDO」と題し、〈江戸期の写生〉をテーマに展示します。江戸時代は写生に対する関心が様々な形で高まった時代です。江戸時代以降は、狩野探幽をはじめとして現実に対する写実的な描写が試みられていましたが、18世紀に入ると西洋や中国の写生画法が流入し、遠近法や陰影法を用いた写生画が追求されてゆきました。本展では〈スケッチと真景図〉〈事件〉〈博物趣味〉の3章により、40件余りの作品から〈江戸期の写生〉に対する感覚を概観します。伊能忠敬の巨大な日本地図や、国立科学博物館が所蔵する生々しい動物の写生図など、これまで美術作品と共に公開される機会の少なかった作品を一堂に展示することで、〈江戸期の写生〉の臨場感あふれる現場を伝えます。時代を超えて受け継がれた風景の記憶、描き手の視線を、江戸からの実況中継として提示することにより、江戸の人々がどのような写生を求めたのか、その一端を感じていただければ幸いです。


「板橋区立美術館」ホームページ

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