池上俊一の「フィレンツェ―比類なき文化都市の歴史」を読んだ! | とんとん・にっき

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池上俊一の「フィレンツェ―比類なき文化都市の歴史」(岩波新書:2018年5月22日第1刷発行)を読みました。

 

東京都美術館で「ウフィッツィ美術館展」を観たときに、以下のように書きました。

 

辻邦生「春の戴冠(上下)」
新潮社:1977年5月25日発行

 

辻邦生の「春の戴冠」を読み、たまたまフィレンツェへ行く機会があり、ウフィツィ美術館でボッティチェリの「春」と「ヴィーナスの誕生」を観たときは、感動のあまり身体がふるえました。1990年夏のことです。その後、2004年冬にもウフィツィ美術館を訪れる機会があり、再度「春」と「ヴィーナスの誕生」を観ることができました。「春の戴冠」は何度も読み直そうとしているのですが、細かい活字で2段組みの分厚い本なので、なかなか読み直せないでいます。

東京都美術館で「ウフィツィ美術館展」を観た!

 

フィレンツェに関する本を探してみたら、3冊ありました。

 

高階秀爾著「フィレンツェ」
中公新書、1966年11月1日発行
 

宮下孝晴・佐藤幸三著「フィレンツェ美術散歩」
とんぼの本、1991年1月1日発行

 

高桑みどり著「フィレンツェ」
文藝春秋、1994年10月25日発行

 

やはり最初に読んだのはとんぼの本です。入門編ですね。その後に高階秀爾の中公新書「フィレンツェ」です。そしてイタリア美術の大御所、高桑みどりの「フィレンツェ」を読みました。

 

そして今回、池上俊一の「フィレンツェです。まさにこれはフィレンツェに関しての最良の「通史」、著者が言うところの、「頼りがいのある道標」です。やはり第一章「ローマの植民市・・・」、第二章「都市国家の誕生・・・」は、とっつきにくい。が、我慢して読めば、第三章「中世の文化」に入り、第四章からはおなじみの「ルネサンスに入り、絵画や彫刻、そして建築の話になり、どんどん読み進むことができます。フィレンツェ史において中世とルネサンスを分けて語ることの不可能性、無意味さであるとし、それを著者は「歴史の重層性」と言う。

 

最後に出てきた「マッキャイオーリ派」について、以前、東京都庭園美術館で観た「イタリアの印象派 マッキアイオーリ」を思い出しました。

東京都庭園美術館で「マッキアイオーリ 光を描いた近代画家たち」展を観た!

 

岩波書店の案内には、以下のようにあります。

 

ローマの植民市として出発した古代,有力家門が鎬(しのぎ)を削った中世,「自由」が高らかに掲げられた共和制期,そしてメディチ王朝期――いつの時代も,人々は自らの名誉にかけ,この町を崇高なまでの美の都に仕立て上げた.ルネサンスにとどまらない「歴史の重層性」から,その魅力あふれる文化と芸術を活写する.(写真=大村次郷)〔口絵4頁〕 

 

目次

はじめに
第一章 ローマの植民市とキリスト教の普及――前六世紀から九世紀
第二章 都市国家の誕生と発展―― 一〇世紀から一四世紀半ば
第三章 中世の文化
第四章 ルネサンスの政治・経済・社会―― 一四世紀半ばから一六世紀初頭
第五章 教会と修道院・施療院
第六章 邸館とヴィラ
第七章 広場と街路
第八章 世界と人間に注がれる新たな視線
第九章 トスカーナ大公国時代―― 一五三二年から一八六〇年
第一〇章 近現代の苦悩と輝き―― 一八六一年から
あとがき
主要参考文献 

 

池上俊一(いけがみしゅんいち):
1956年,愛知県生まれ.
現在―東京大学大学院総合文化研究科教授.
専攻―西洋中世・ルネサンス史.
著書―『ヨーロッパの中世8 儀礼と象徴の中世』(岩波書店),『パスタでたどるイタリア史』『お菓子でたどるフランス史』『森と山と川でたどるドイツ史』『王様でたどるイギリス史』(以上,岩波ジュニア新書),『ロマネスク世界論』『ヨーロッパ中世の宗教運動』『公共善の彼方に――後期中世シエナの社会』(以上,名古屋大学出版会),『イタリア――建築の精神史』(大村次郷写真,山川出版社),『イタリア・ルネサンス再考――花の都とアルベルティ』(講談社学術文庫)ほか