高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼―油彩画誕生からマネまで」を読んだ! | とんとん・にっき

高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼―油彩画誕生からマネまで」を読んだ!

 

高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼―油彩画誕生からマネまで」(岩波新書:2023年5月19日 カラー版第1刷発行)を読みました。

 

累計82万部、50年以上ずっと読み継がれてきた

西洋美術史入門の大定番

15点の名画を大きくカラーにして、参考図版63点を新たに収載。

最新の研究成果を注で加えた決定版。

 

ゼフュロスの手がクロリスの身体に触れた瞬間、彼女の口から春の花が溢れ出てはらはらとこぼれ落ちる(ボッティチェルリ「春」)

 

フェルメールの世界は、まるで厚いガラスで隔てられているかのように、沈黙のなかに沈んでいる(フェルメール「絵画芸術」)

 

この裸婦くらい、発表された時に大きな騒ぎを惹き起こした作品は、西洋美術史の上ではちょっと他に例が少ない(マネ「オリンピア」)

 

名作はどのように生まれたのだろうか? 本書は、西洋絵画の本質について一歩進んで理解したいとする人びとの願いに応えて執筆された、西洋美術鑑賞の手引きである。一枚の絵に隠された芸術家の意図、精神性を探りながら歴史を一望する。Ⅰ巻では、油彩画の誕生からマネまで、一五人の画家と一五の名画を丁寧に解説する。

Ⅱ巻は6月に刊行される。

 

目次

Ⅰ ファン・アイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」
  ――徹底した写実主義
Ⅱ ボッティチェルリ「春」
  ――神話的幻想の装飾美
Ⅲ レオナルド「聖アンナと聖母子」
  ――天上の微笑
Ⅳ ラファエルロ「小椅子の聖母」
  ――完璧な構成
Ⅴ デューラー「メレンコリア・Ⅰ」
  ――光と闇の世界
Ⅵ ベラスケス「宮廷の侍女たち」
  ――筆触の魔術
Ⅶ レンブラント「フローラ」
  ――明暗のなかの女神
Ⅷ プーサン「サビニの女たちの掠奪」
  ――ダイナミックな群像
Ⅸ フェルメール「絵画芸術」
  ――象徴的室内空間
Ⅹ ワトー「シテール島の巡礼」
  ――描かれた演劇世界
ⅩⅠ ゴヤ「裸体のマハ」
  ――夢と現実の官能美
ⅩⅡ ドラクロワ「アルジェの女たち」
  ――輝く色彩
ⅩⅢ ターナー「国会議事堂の火災」
  ――火と水と空気
ⅩⅣ クールベ「画家のアトリエ」
  ――社会のなかの芸術家
ⅩⅤ マネ「オランピア」
  ――近代への序曲
 あとがき
 『カラー版 名画を見る眼Ⅰ』へのあとが

 

高階秀爾(タカシナ シュウジ):
1932(昭和7)年,東京に生まれる.53年,東京大学教養学部卒業,同大学大学院で美術史を専攻.54-59年,パリ大学附属美術研究所で近代美術史を専攻.国立西洋美術館主任研究官,文部技官などを経て,79年,東京大学教授.92年,国立西洋美術館館長(-2000年).現在,大原美術館館長.
著書『フィレンツェ』(中公新書,1966年)
   『芸術空間の系譜』(SD 選書,1967年)
   『 ルネッサンスの光と闇』(三彩社,1971年,中公文庫,全2 冊,2018年)
   『 近代絵画史』(中公新書,全 2冊,1975年,カラー増補版:2017年)
   『芸術のパトロンたち』(岩波新書,1997年)
    ほか多数.

 

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