中上健次原作、若松孝二監督の「千年の愉楽」を観た! | とんとん・にっき

中上健次原作、若松孝二監督の「千年の愉楽」を観た!

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この映画「千年の愉楽」の監督、若松孝二は1912年10月、交通事故で亡くなりました。76歳でした。「千年の愉楽」が最後の作品となりました。原作の「千年の愉楽」は1982年、中上健次36歳の作品です。小説は6篇からなるオムニバス形式です。それから10年、中上健次は46歳で亡くなります。


三重の美しい尾鷲湾を見下ろす山間の路地がめぐる、小さな集落がこの映画の舞台です。老産婆オリュウノオバが語り映す、中本一統の若衆連の物語です。中本の血を引く男たちはかつて高貴な一族だったといい、今はこの地で不遇をかこつが、皆、周囲の女が放っておかないほどの美しい顔立ちです。それ故に、代々、淫蕩な性に身を投げ、女たちに身を滅ぼされてきました。


半蔵は後家の家に入り浸り、男に刺され、血を吹き死んだ。三好はヒロポン中毒で鳥目を患い死んだ。三好の背中に彫られた龍は天上に舞い上がる。半蔵の従弟の達男は路地から旅立つが、叩きのめされて帰ってくる。しかし、彼らが道を外れても、産婆のオリュウノオバは彼らを認め続け、「生きよ、生きよ、お前はお前のまま、生きよ」と祈り続けます。


死期が迫ったオバは遺影の夫、佐野史郎に語りかけます。2人はユーモラスな対話を交わし、想い出は膨らみます。オバの脳裏には誕生から死までを見つめ続けてきた、路地の男たちの姿が浮かんでいます。寺島しのぶの表情は、慈愛に満ちた観音さまのようです。脱がない寺島しのぶ、新境地です。


以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。


チェック:昭和の作家・中上健次が故郷・和歌山を舞台に書いた小説を、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』『キャタピラー』の若松孝二監督が映画化した人間ドラマ。若い男たちの奔放ながらも悲しい生と性(さが)を、この地で見つめ続けた老女の視点で描き出す。出演者は、『キャタピラー』の寺島しのぶのほか、高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太など実力派俳優たちが顔をそろえる。常に衝撃的な作品を発表する若松監督だけに、ストーリーはもちろん俳優たちの見せる新たな一面にも期待が持てる。

ストーリー:年老いたオリュウノオバ(寺島しのぶ)の脳裏に、この紀州の路地で生まれ、女たちに愉楽を与え、散っていった男たちの思い出が駆け巡る。自らの美ぼうをのろうように生きた中本半蔵、生きることを強く望んだ田口三好、北の地でもがいた中本達男。彼らの誕生から死までを、助産師をしていたオリュウノオバは見つめ続けていたのだった。


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「千年の愉楽」公式サイト

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「文藝別冊 中上健次(増補新版)」

2002年8月30日初版発行

2011年5月30日増補新版初版発行

発行所:河出書房新社








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