「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」無料公開です。
入院・手術などが重なっているので、毎週月曜日に自動更新していきますね。
何かあったら、その合間に記事書きます(^-^)
第1章「旅の始まり」
第2章「三つの存在」
第3章「恐れ」
第4章「エゴ」(いまここ)
もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。
最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。
本で読みたい方は。
㉖毒キノコ
「何でお前たちのことが分かったか? 不思議じゃろ」
クーヨはそう言うと、大きな目をいたずらっぽくクリクリとさせた。
「はい…」
「ふふふ…。ワシにもよくわからんが、ワシには見えてしまうんじゃ」
「見えてしまう……」
「そうじゃ。ワシには遠くの物事が見えるのじゃ。目をつぶって集中すると、頭の中にその光景が浮かんできてしまうのじゃ」
「本当か…?」
ガジョが疑い深く聞き返した。
「では、なぜワシがおんしたちのことが分かったと思うのじゃ?」
「私たちのことを客人と言ったな、なぜだ?」
ガジョがクーヨに聞いた。
「さっきも言ったじゃろ。ワシはハイランドへの道案内じゃ。ハイランドへ向かう者たちはワシにとって皆、客人じゃ」
「ジョンは確かにそうだが、私は違う。私はハイランドへ行かない」
ガジョは冷たく言い放った。
クーヨはガジョをしっかりと見つめ、きっぱりと言った。
「いいや、おんしは行く」
「行かない。いいや、行けない。私にはハイランドへ行く資格などない」
「ほぅ、資格…。それでは聞くがハイランドへ行く資格とはいかなるものじゃ」
「う…それは…」
ガジョは言葉に詰まったが、しばらく考えた後で言った。
「どんな資格かは分からない。が、私が行けない資格ならある」
「ほぅ、どんな資格なんじゃ」
「私は生きている資格すらない役立たずだ。私は恐怖に、臆病風に吹かれ、部下を置いて逃げた。
部下が殺され、食われている間に私は逃げた。
私は全てを捨てて、ひたすら逃げた。
私は臆病者で、卑怯者で、情けない弱虫で、生き恥をさらす罪人だ。
そんな者がハイランドへなど行けるはずがなかろう」
「ほぅ、臆病者で、卑怯者で、情けない弱虫で、生き恥をさらす役立たずの罪人は、どうしてハイランドへ行けないのじゃ?」
「う…、そ…それは…」
「ハイランドへ行く資格、そんなものはありゃせん。おのれの『魂の声』を聴き、それにしたがって生きる者、それがハイランドへ行く資格と言えば、資格なのじゃ」
「『魂の声』…」
ガジョは、それでも負けていなかった。
「いまの私は『魂の声』は聞こえない。全く聞こえない。
もう、二度と聞こえない。だから、やっぱり私が行けるはずがない。
いや、絶対に行けない。
いやちがう、私などが行ってはならないのだ」
ガジョは顔を上げ、クーヨを睨みながら大きな声で叫んだ。
「そうだ、そもそも、もう、私はもう、ハイランドなんて行きたくないんだ!!」
「ほう、行きたくない…。ガジョよ、本当にそうかな?」
「そうだ! 私は行きたくないんだ!
私は早く終わらせたいんだ!
もう、生きていくのはうんざりなんだ!
この苦しみを終わらせたいんだ!
私など、生きていてはいけないんだ!
私は―…、私は、死にたいのだ!」
最後の言葉は、絶叫だった。
僕は、ガジョの心の傷から、真っ赤な血が火山の噴火のように噴き出しているのが見えた。
でも、それはほんとうは、助けを求めて叫んでいるようにも、感じた。
「苦しいとな…。苦しみとは、いま目の前に起きている体験を受け入れないということじゃ。
目の前に展開する現実に抵抗しているという事じゃ。
ガジョよ、おんしはなにを拒んでおるんじゃ?
何に抵抗しておるのじゃ?」
「うるさい! もう私のことなんか、ほうっておいてくれ! そして、早く死なせてくれ!」
「そうか、死にたいのか…」
クーヨは、ゆっくりとうなずいた。
「よし、分かった。では、例のものを!」
クーヨが洞穴の奥に声をかけると、ネズミたちが赤と黒と黄色の毒々しいキノコを慎重に運んできた。
僕とガジョは、目の前に置かれたそのキノコを見つめた。
「お分かりの通り、これは毒キノコじゃ。
ひと口食べればあの世行きじゃ。
少々苦しいがの」
クーヨは、ガジョの目を覗き込んだ。
「さあ、ガジョよ、遠慮なく食べるのじゃ。おんしの望み通り、いま、ここで終わりにしよう」
㉗へ続く
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