攻撃的だった以前の面影は・・・ない。
鼻毛が伸びていたので 「鼻毛カッター」を手渡した。
以前 よく使っていた物。
先端を鼻の中に入れて使うもので 痛くも痒くも無いのだが・・・
スイッチを入れると 「ウイ~ン」 と音がするが そんなに大きい音でもない。
手鏡を持たせてみる。
しかし なかなか 鼻の入り口から 入れることが出来ない。
怖いらしい。
「私が、変わりにしてあげようか?」と言うが
されるくらいなら 自分でした方がいいようで、断ってきた。
「痛くないから、鼻の中に入れてごらん」
「うん」と言うが 自分で入れようとして
勝手に頭が のけ反ってしまい
無意識に 拒絶反応。
どうしても、出来ない。
「私がしてあげる」
というと、諦めて 私に託す。
鼻毛カッターが 顔に近づくだけで 意思に反して顔をそむける。
「そんなに 動いたら 出来ないじゃん」
っていうと、
旦那が
「コツン」
と 自分で持っていた手鏡で 自分の頭を叩いた。
「えっ 何で叩いたの
今
∑ヾ( ̄0 ̄;ノ」 っていうと
「いやぁ 何で 俺 逃げるのかな・・・と 思って。」
頭と体が うまく 働かないのか・・・
以前は、「出来ない人間」を罵っていた。
見下していた。
仕事が出来ない人や、トロイ人を
軽蔑するような男だった。
「何でこんな事も出来ないのよ」
って何度怒鳴られたか分からない。
子供たちにも 完璧を求める。
出来なくて当たり前の事を 出来て当然と思って接する。
瞬間湯沸かし器でキレてしまい、気長に待つ という事が出来ない男だった。
職人気質で 出来るまで 丹念に教えることも無理。
リハ中 自分でも 動かしたいのに 動かせない。
車椅子に うまく乗り移れない時
足が 思うように 動かない時
出来ない自分に イラつくのか・・・と思いきや
「すいません・・・」 と謝る 旦那。
仕方ないじゃないか・・・
謝るな・・・
自分を責めるな・・・
切なくなるから
今 きっと 出来るようになるから・・・