怪談サークル とうもろこしの会 -349ページ目

ゴーストバスターズとフライトナイト


歳のせいだろうか。
最近、子供の頃に見た映画を見返すクセがついてしまった。
よく言われることだが、小さい時には分からなかったディテールが、大人の今には感じ取れるようになっているのだ。
ここ立て続けに見たのが『フライトナイト』と『ゴーストバスターズ』。
この二本、公開した時期もほぼ同じ、内容もバンパイアやゴーストを倒すという似通ったもの。
ゴーストバスターズのゴースト人形(たぶんタクシー運転してたやつ)のお古を、フライトナイトで買い取って使ったりもしているらしい。
だが、そんな共通点は別にどうでもいい。
他に、かなり衝撃的な、しかし少年時代には気付かなかったポイントがあったのだ。
それはずばり
「ヒロインが、敵にヤラれちゃう」
である。
しかも、主人公とヒロインがまだ甘酸っぱい、ちゃんと恋人な関係になる直前の段階の時に、だ。
これ、ちょっと痛くないか。
二本とも割とあっさり描かれているのだが、ホラー映画を作るような自意識過剰でハイスクール時代にモテた経験が一度も無いような人間たちが、そこんとこを気にしない訳がない。
そしてまた共通する点として、ヒロインが敵にヤラれてることを主人公はおそらく気づいていない、というのも挙げられる。
何だろう。
何かの悪意のようなものを感じはしないだろうか。
ホラー映画を作るような、ハイスクール時代に何の面白みもない学園生活を過ごし、アメフト部のイケメンとチアガール部のマドンナがいちゃいちゃしてるのを鬱屈した横目で見ながら、車も持ってないカビが生えそうな童貞たちだけでツルんでゲーセンに入り浸って、「イビサ島は性の楽園らしいぞ!」という情報をキャッチして意気込んで行ってみるもクラブ系の人たちと全く話が合わずションボリして帰ってきて「この旅行代金があったら、どれだけ色んな物が買えたろう」と後悔するような灰色で灰まみれの青春を送ってきたような連中が、そこんとこを軽い気持ちで描く訳がない。訳がない!
まあゴーストバスターズの方はちょっと違うけど、フライトナイトなんか、完全にバンパイアの方を魅力ある大人の男みたいな感じで描いていて、もうモンスターどうこう別にしたって単なる高校生なんかでは太刀打ちするのは難しく、やっぱり彼女の方だってなんやかんや言いながら大人の男がいいんでしょ?そりゃあまだ何者でもない若造より社会的地位を築いてる奴の方が甲斐性はあるし余裕もあるよな、幾らでも奢ってくれるしエスコートもちゃんとしてるだろうよ、でもそれ言い出したら一切勝ち目がなくない?それに相手は遊びのつもりだけどいいの?ってこっちはジクジク思ってるけど、実は女は女の方で、相手の大人男が遊びのつもりでいるのもちゃんと分かっててソレでもいいっつうかソレがいい感じだなってな感じで軽く付き合って、で、まあ自分が飽きるか大人男が次のガールを見つけたらアッサリ別れて、何事も無かったかのように若造の方と元サヤに収まる、と!何事もなかったように!収まる、と!そういうことか!
そういうことなんだよ。
世の中そうだからなって事を言いたかったんでしょ?この映画のスタッフの人たちは。
それはもう仕方ないから、とりあえず主人公みたいに気付かないのが幸せなんだよ、ってテーマなんだよ。
もしくは、自分がそういう事態になった時にテンパらないように予習して覚悟しておけよ、ってメッセージなんだよ。
よく分かった。よーく分かった。噛み締めて謹んでご教授承りますですよ。
あと、神津島は性の楽園なんかじゃなかったから!それ目的でうっかり行くなよ!



僕は怖い 2009年3月13日

「遠景3 交差点」
「マタギ」

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僕は怖くない 第3回 その2


「お墓はうさんくさい」その2

を更新しました。