掲題の今朝の朝日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
東京都知事選が20日告示され、来月7日の投開票に向けた選挙戦が始まった。
首都の選択は他の都市の政策にも影響を与える。事実上与野党が対決する構図は今後の国政を占う。有権者はもちろん、都外に住む人を含め、17日間の論戦に注目したい。
2期8年の小池百合子知事の都政に評価がくだる。特に東京五輪・パラリンピックの総括は重要だ。大会経費は招致段階で公表された額の倍近くに膨らみ、競技施設の活用や維持コストの課題も残る。
組織委員会では、招致に関する金の流れの仏当局による捜査を受けて幹部が退任。スポンサー選定にからんで元理事らが受託収賄罪で起訴された。だが都は自ら実態を解明したといえず、祭典の「負のレガシー」も審判されよう。
都の予算は一般会計と特別会計などを合わせ16兆円を超え、スウェーデンの国家予算に匹敵する。一極集中や少子高齢化といった課題が山積するなか、適切に使われているかも大切な争点だ。
小池氏は18日発表した公約で保育料無償化の拡大や無痛分娩(ぶんべん)の助成制度のほか、少子高齢化、女性活躍策を訴え、高齢化に備えた認知症専門病院の設置や介護職員の昇給などを明らかにした。
これまでに18歳以下への月5千円の給付や、物価高対策で1万円分の商品券などの配布も発表している。盛りだくさんだが、「ばらまき」「人気取り」といった批判は避けられず、どういう優先順位で取り組むのか、さらなる具体性が問われそうだ。
一方、対抗馬の蓮舫氏は現役世代の手取り収入増が「本物の少子化対策」などとする公約を発表。非正規で働く人の待遇改善のほか、「行政事業レビュー」で全事業の透明化に力を入れるとした。
実現可能な案として共感を呼び起こせるか。参院議員の経験をふまえ都政をどう変えたいのか。インパクトのある訴えが求められるだろう。
残念なのは主要候補の出馬表明や政策発表が告示前に集中したことだ。陣営の戦略もあろうが、有権者が判断するには十分な時間があった方が良い。ムードに流されず、論争の中身にしっかりと耳を傾け、首都の未来を託そう。
4月の東京15区の衆院補欠選挙では、他候補の演説を妨害したとして「つばさの党」代表らが公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで逮捕・起訴された。街頭の訴えが中止されては判断の機会を奪われる。選挙は民主主義の根幹だ。表現の自由に配慮しつつ公正な選挙が守られるように目を光らせる必要がある。