都知事選告示 暮らしの未来図を競え | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の東京新聞社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

 東京都知事選が告示され、史上最多の56人が立候補した。ただ、主要候補者の公約は発表が遅れ、出そろったばかり。政策の狙いと効果を丁寧に説明し、暮らしの未来図を競い合ってほしい。

 

 争点の一つは、3選を目指す小池百合子知事による都政継続の是非。コロナ禍にあった前回都知事選は、混乱を避けたい有権者の意識が現職有利に働いたとされる。今回は小池氏の8年間の実績を冷静に見極める機会でもある。

 

 都政刷新を目指す新人は、蓮舫前参院議員や石丸伸二前広島県安芸高田市長、田母神俊雄元航空幕僚長ら多彩な顔触れが並ぶ。

 

 主要政党は公認や推薦をせず政党色を薄めているが、自民、公明両党と国民民主党都連が小池氏、立憲民主、共産、社民3党が蓮舫氏をそれぞれ支援し、国政の与野党がぶつかる構図。岸田文雄首相の政権運営に対する評価も投票行動を左右する要因となろう。

 

 注目したいのは各候補の少子化対策。都には20~30代の計360万人超が暮らすが、合計特殊出生率は0・99と全国一低い。

 

 安心して出産、子育てができる環境の整備は都政の重要課題であり、小池氏は無痛分娩(ぶんべん)の費用助成や保育無償化の対象拡大▽蓮舫氏は多子世帯への家賃補助や都の契約企業従業員の待遇改善▽石丸氏は人口集中や過密の是正▽田母神氏は子どもの数に応じた大胆な現金給付-をそれぞれ訴えた。

 

 また、樹木伐採に批判が集まる神宮外苑の再開発を巡り、小池、石丸両氏は都の対応を是認する立場なのに対し、蓮舫、田母神両氏は見直しや保全を掲げる。

 

 このほか高齢社会への対応など身近な暮らしの課題が山積しており、活発な論戦を期待したい。

 

 気になったのは主要候補者の公約発表の遅さ。小池、蓮舫両氏は告示2日前にずれ込んだ。公約を吟味する時間が乏しければ、議論や批判は封じられる。選挙期間中も共同会見や討論会に応じるなど堂々と論戦を展開してほしい。

 

 立候補者が多ければ有権者の選択肢が広がり、歓迎すべきだが、一つの政治団体から何人も立候補する事例もある。民主主義の根幹である選挙制度を売名目的で損ねれば、対応が必要となろう。

 

 どの候補が次の都知事にふさわしいか。選挙戦術やパフォーマンスに惑わされず、人物と公約が信頼に足るか否かを見極めたい。