地方選での連敗 自民支持離れの深刻さ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の昨日の東京新聞社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 地方自治体の選挙で自民党系候補の敗北が相次いでいる。党総裁の岸田文雄首相、茂木敏充幹事長の地元首長選でも党推薦の新人が敗北した。派閥の裏金事件と政権の対応が支持層の離反を招いている。深刻な状況を直視すべきだ。

 

 地方選での自民系候補の不振は裏金事件への批判が強まった昨年末から顕著になった。今年5月には静岡県知事選、東京都目黒区都議補選、首相の地元・広島県の府中町長選で敗北した。6月には東京都港区長選、茂木氏の地元・栃木県の鹿沼市長選でも敗れた。

 

 各自治体の事情や争点があり、自民党が不戦敗も含め全敗した4月の衆院3補選と同列には論じられないにせよ、自民系敗北の流れは裏金事件に対する有権者の怒りの表れだとみるのが妥当だろう。

 

 ただ、一連の地方選の多くは低投票率だった。それぞれの地域で変革を望むうねりが野党系候補らを押し上げたとも言い難い。

 

 自民党にはこうした状況はより深刻である。低投票率は組織票を持つ自民党に有利という経験則が通用しなくなったからだ。底堅かった支持基盤が崩れ始めていると受け止めなければなるまい。

 

 横浜市連や長野県連など地方組織からは岸田首相に退陣を求める声が公然と出始めた。首相が総裁として主導した裏金の実態解明、処分、再発防止策はいずれも中途半端で、地方の批判は当然だ。

 

 だが、9月の総裁選で総裁を代えただけでは有権者の不信は解消できまい。自民党の金権体質そのものが問われているからだ。

 

 この間、80人以上の裏金議員の大半が職にとどまり、所得税の修正申告は一人もしていない。政治資金規正法改正に向けた党内論議では、政策活動費や企業・団体献金の廃止などの抜本改革を求める声はほとんど上がらなかった。

 

 自民党は金権体質を改めることなく、月内に国会を閉会。7月の東京都知事選後は総裁選に向けた動きが本格化する見通しだ。

 

 私たち有権者は党内の主導権争いに目を奪われることなく、自民党に引き続き政権を担う資格と能力があるのか、次の衆院選に向けて見極める必要がある。