掲題の今朝の朝日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
肝心かなめの政治資金規正法改正案は、抜け穴をふさぐ手立てもせず、制度設計の多くを先送りしたまま。それに加え、3年前からたなざらしの議員特権見直しさえ、やりきれなければ、国民の政治不信は募る一方だろう。23日までの国会の会期を延長し、改革の実をあげるべきだ。
国会議員に月100万円が支払われる調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)は、使途公開の義務がなく、本来の目的から逸脱した使われ方が取りざたされてきた。
前回の衆院選後、与野党が透明化に向けた協議を始めたが、もっぱら自民党の消極姿勢で実現せぬまま今に至る。
岸田首相は規正法改正案の衆院採決にあたり、この問題に熱心な日本維新の会の賛同を得るため、馬場伸幸代表と交わした合意文書の筆頭に、「使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずる」ことを挙げた。
自民がうんと言いさえすれば、法改正は難なくできる。当然、今国会中と思いきや、自民党の浜田靖一国会対策委員長は「日程的に見ると厳しい」。首相もしれっと「具体的な実現時期は合意文書に記載されていない」。
期限を明記させなかった維新がぬかっていたといえばそれまでだが、自民の「約束」がいかに当座しのぎで、当てにならないかを如実に示すものだ。これでは、規正法の付則に加えられたもろもろの検討項目の実現性も疑わしい。
参院に移った規正法改正案の審議では、政策活動費をめぐる新たな抜け道も指摘された。そもそも、使途公開が10年後というのが、規正法がうたう政治資金の「不断の監視」にもとる。そのうえ、党から資金を受け取った幹部が、別の議員に配った場合、その議員が最終的に何に使ったのかは明らかにされない可能性があるというのだから、ブラックボックスの実態がどれほど改善するのか疑問だ。
政策活動費の公開が10年後だというのに、政治資金収支報告書そのものの保存・公開期間が3年のままであることとの齟齬(そご)も指摘されている。3年は紙での保存を念頭においたものだ。今回、オンライン提出が義務化されるのに併せ、報告書の公開期間も大幅に延長すべきだ。
政策活動費のチェックなどを担う第三者機関の設置は、今後に委ねられている。公明党や維新が改正法の施行日である「26年1月1日」に間に合わせるよう求めているのはもっともだ。首相は時期の明示を避けているが、期限を切って、早急に具体的な検討に入るべきである。