掲題の今朝の読売社説。
問題なしとしない。
今朝5時のNHKニュースと同様に、
認証試験制度そのものが時代に即していないかのように、
責任転嫁を図るものとの誹りを免れまい。
EV時代であれば、どのような認証試験制度が必要であり、
今回の認証不正の問題は、
何が、
どのように、
なぜ時代に即していないと主張できるのか、
同社説は少しも説明責任を果たしていないと言わざるを得ない。
いずれにしても、単に謝罪するばかりで、
責任を問われない企業経営者が統治するかぎり、
モラルハザード(倫理弛緩)は日本企業を蝕んでいくだけだろう。
責任を問われない日本の政治や企業のガバナンス。
それを安易に許すだけの我が国の主要メデイア。
このままでは、失われた30年は、
失われる60年となることさえ必至とみざるをえまい。
自動車の認証試験を巡る不正は、業界の盟主であるトヨタ自動車など、多くの主要メーカーにまで拡大した。原因を徹底究明して不正を根絶し、信頼回復を急がねばならない。
国土交通省は、車や二輪車の量産に必要な「型式指定」を巡り、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の5社で、安全・環境性能に関わる不正行為が確認されたと発表した。
不正は計38車種にわたる。現在生産中であるトヨタの「カローラフィールダー」などの6車種は、出荷の停止を指示した。
認証試験の不正は、昨年、トヨタグループのダイハツ工業や豊田自動織機で発覚した。これを受け、国交省は、自動車関連の85社に、過去10年間の不正の有無を調べ、報告するように求めていた。
主要メーカーに不正が広がった衝撃は大きい。自動車は関連企業を含めて550万人の雇用を支えている。高い品質を武器に世界で顧客を獲得してきた日本車の信頼を大きく傷つけた。
国交省は4日、道路運送車両法に基づき、トヨタ本社に立ち入り検査に入った。残る4社にも実施する方針だ。再発防止に向け、実態解明を進めてもらいたい。
型式指定は、車の販売前に、安全性能などが基準を満たしているかどうかを国が審査する制度だ。指定を受ければ、国による1台ごとの検査を省けるようになる。
ただし、メーカーが適正な試験を行うことが前提である。不正な試験を行えば、制度そのものの根幹が揺らいでしまう。
メーカー側は不正を認めながら、なぜ安全性に問題がないと言えるのか。認証試験の基準はなぜ守られないのか。政府と自動車業界は背景を解明するべきだ。
認証不正は、三菱自動車で8年前に発覚して以降、絶えない。不正の類型は多様化している。
エンジンの出力データを書き換えた例が目立った一方、トヨタは、1・1トンの評価用台車を衝突させて安全性を確かめる試験で、より重い1・8トンの台車を使っていた。開発段階のデータを認証試験に流用していたという。
メーカー側は、基準より厳しい試験と釈明するが、新車開発の競争が激しくなり、法規で定められた手順を省いたのではないか。
自動車産業は電気自動車への転換など大きな変革期にある。開発が複雑化し、認証試験の制度が時代に即していないとの指摘もある。国際競争力の低下を招かぬよう制度の再考も課題になろう。