掲題の今朝の産経社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
トヨタ自動車、ホンダなど国内自動車メーカー5社で自動車の量産に必要な「型式指定」の認証申請に関し不正行為があったことが明らかになった。
不正があったのは、すでに生産を終えている車種も含め合計38車種におよぶ。国土交通省はこのうち3社で現在も生産されている6車種について出荷停止を指示した。
不正を行っていたのはほかにマツダ、ヤマハ発動機、スズキの3社だ。日本経済を牽引(けんいん)してきた自動車大手が車の安全を揺るがす不正行為を行ってきたことに呆れるほかない。各社は不正が行われた根本的な原因を究明し、再発防止に取り組む必要がある。そのうえで経営責任を明確にすべきである。
国交省は4日、道路運送車両法に基づき、愛知県豊田市のトヨタ本社を立ち入り検査した。他社にも順次検査に入り、再発防止を求める是正命令などの行政処分を検討する。
型式指定を取得するには、決められた試験方法によって車両が安全・環境性能に適合していることをメーカー自らが確認し、国から認証を受ける必要がある。今回の5社は安全に関する試験で虚偽データを提出したり、決められた方法とは異なる試験を行ったりしていた。
例えば電子制御によって作動させなければならないエアバッグをタイマーで作動するようにしていた。エンジン出力試験で狙った出力を得られず、コンピューター制御の数値を改竄(かいざん)したケースもあった。
認証制度は車の品質を裏付ける根幹だ。法令を守らなければ車の安全に対する信頼は成り立たない。トヨタの豊田章男会長は会見で「(認証不正は)メーカーとしては絶対やってはいけない」と述べた。実効性のある措置を求めたい。
自動車業界では今回の5社以外でも品質や安全に関わる不正が相次いでいる。世界中のユーザーに日本車が受け入れられてきた大きな要因は、商品の信頼性に対する高い評価である。認証不正はその強みを自ら貶(おとし)める行為だと認識すべきだ。
国内自動車産業は製造品出荷額が50兆円を超え、関連産業には約550万人が従事する最大の基幹産業である。その競争力は日本経済を大きく左右する。各社はその自覚をもって信頼回復に努めなければならない。