【日本市況】日経平均一時900円安の場面、債券は午後上昇-円反発 | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今日東証引け後のブルーンバーグ記事。
ご参考まで。
 
横山桃花、日高正裕、船曳三郎

更新日時 

 

  30日の日本市場では株式相場が続落し、日経平均株価は一時900円以上下げる場面があった。最近の国内外金利の上昇傾向が懸念され、リスク資産の持ち高を減らす動きから値がさの半導体関連株を中心に輸出セクター、商社や鉱業、非鉄金属などの資源セクターと幅広い業種が下げた。

 

  債券相場は上昇。利下げ観測が後退した米国の金利上昇や日本銀行による早期の政策修正観測を受けた売りで長期金利は午前に約13年ぶりの高水準を付けたが、この日行われた2年国債入札の堅調な結果を受けて午後は持ち直した。外国為替市場の円相場は対ドルで156円台後半に上昇。輸出入業者の実需の売買が交錯する中、日本株の下落でリスク回避に伴う円の買い戻しが優勢となった。

 

  29日に米国で発表された地区連銀経済報告(ベージュブック)がしつこいインフレ状況を指摘したことで利下げ観測が後退し、同日の米長期金利は4.6%台と約1カ月ぶりの高水準を付けた。きょうの日本市場は、米市場の動きを警戒する取引が午前は優勢だったが、午後はいずれの市場も相場の行き過ぎを修正する動きが広がった。

30日の日本市場の株式・債券・為替相場の動き
  • 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.6%安の2726.20
  • 日経平均株価は1.3%安の3万8054円13銭
  • 長期国債先物6月物は前日比8銭高の143円20銭
    • 午前は27銭安の142円85銭まで下げる場面があった
  • 新発10年国債利回りは前日比1.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.060%に低下、一時は1.1%と2011年7月以来の高水準を付けた
  • 円は対ドルで前日比0.5%高の156円87銭-午後3時19分現在
    • この日は157円67銭を安値に、一時156円78銭まで上昇

株式

  東京株式相場は続落。日経平均は一時900円以上安くなる場面もあったが、その後は下げ渋った。国内外金利の上昇が警戒され、半導体関連など相対的に割高感が強まるグロース(成長)株に売りが先行。業種別では電機や輸送用機器のほか、商社を含む卸売や鉱業、非鉄、海運も下げた。

 

  東海東京インテリジェンス・ラボの澤田遼太郎シニアアナリストは、金利上昇は投資家の資金が債券に流れるほか、企業の長期借り入れコストを上昇させる可能性が高く、「株式には良いことは何も起こらない」と述べた。

 

  一方、みずほフィナンシャルグループがプラス圏で終えるなど、銀行株は底堅い動き。野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、日銀の国債買い入れ縮小を先取りした国内長期金利の上昇で銀行は相対的に善戦していると話していた。

日経平均株価の日中推移

 

 

債券

  債券相場は上昇。米長期金利の上昇に加え、日銀が早期に国債買い入れ減額や追加利上げを行うことへの警戒感から、10年国債利回りは一時1.1%と11年7月以来、約13年ぶりの高水準を付ける場面があった。地合いが悪い中で行われた2年国債入札が無難な結果となり、安心感から引けにかけて買い戻された。

 

  三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、金利先高観が強い中で十分な需要があるか懸念された2年債入札が無難に終わり、「ひとまず安心感が出た」と言う。ただ、日銀の安達誠司審議委員の前日の講演や会見を受けて政策修正観測が一段と高まっており、「相場が底打ちした感じはない」とも話した。

 

利上げペース早める必要も、円安で物価再上昇なら-安達日銀委員

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、2年債入札について「中期債は長期債や超長期債に比べ比較的下値が固く、これらからの資金逃避があったのかもしれない」と分析。入札が無難に終わり、「一安心と言えば一安心だが、日銀のオペ減額を巡る疑心暗鬼は6月の金融政策決定会合まで消えず、上値の重い展開が続く」とみている。

 

日本債券:2年利付国債の過去の入札結果(表)

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
  0.380% 0.630% 1.060% 1.860% 2.195% 2.345%
前日比 +0.5bp 横ばい -1.5bp -2.5bp -2.5bp -2.5bp

債券先物の日中推移

 

 

外国為替

  東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台後半まで上昇。米長期金利の上昇でドル高・円安が進んだ海外市場の流れが一服。事業会社の決済が集中する五・十日(ごとおび)に伴う実需の売買が交錯する中、日本株の下落を受けてリスク回避に伴う円の買い戻しが優勢になった。

 

  ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、リスクオフの雰囲気が強まっており、ドル・円はクロス円に引っ張られる形で円が買い戻されていると指摘。「前回の介入観測水準に近づき、円キャリー取引もこれ以上はやりにくいということで、いったん利益確定の動きが出てきているのではないか」と述べた。

 

  一方、大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、世界的な金利上昇でリスクオフ環境が強まる可能性もあるとし、「金利上昇に米国株がどこまで踏ん張れるか、注意深く様子を見る必要はある」としている。

 

前日以降のドル・円の推移

 

 

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