政倫審足踏み 下村氏の弁明欠かせぬ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

 

掲題の今朝の朝日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

 公開か非公開かをめぐって迷走した揚げ句、岸田首相自らの出席という異例の展開で実現した衆院の政治倫理審査会。その狙いが裏金の実態解明などではなく、新年度予算案の年度内成立を確実にするための「通過儀礼」だったことは、もはや明らかだ。

 

 先週の政倫審には、安倍派から事務総長経験者4人が出たが、組織的な裏金づくりが、いつから何のために始まったのかは、わからずじまい。いったんやめることにしたパーティー収入の還流が復活し、翌年に廃止となった経緯も、関係者の証言が一致せず、あいまいなままだ。

 

 参院側の政倫審の実施はきのう決まったが、国民の信頼回復を掲げる首相や自民党が本気なら、衆院でも重ねて審査を行い、真相に迫るのが当然である。

 

 しかも、自民党は予算案採決に先立ち、引き続き政倫審での弁明と質疑を行うことを野党に約束し、5人程度の希望者がいることも伝えていた。この1週間、動きがないのは、食言ではないか。

 

 この間、還流の扱いをめぐる幹部協議に加わっていた下村博文元文部科学相が、政倫審に出る意向を再三、表明しているのに、自民党が実現に動かないのは理解に苦しむ。

 

 「5人衆」と呼ばれる安倍派幹部と距離を置く下村氏の証言を警戒しているのなら、究明に後ろ向きというほかない。下村氏も本当に説明責任を果たしたいのなら、党執行部の顔色など見ずに、自ら出席を申し立てるべきだ。

 

 政治資金透明化の議論も一向に進んでいない。それどころか、政治資金規正法のザル法ぶりを示す新たな事例が発覚し、抜本的な制度改正の必要性が高まっている。

 

 自民党の茂木敏充幹事長が、使途の公開基準が厳しい「国会議員関係政治団体」から、ルールの甘い「その他の政治団体」を経由させることで、政治資金の最終的な使い道の大半をわからない形にしていたというものだ。

 

 10年間で約3億2千万円に及び、資金移動先での人件費を除く使途の「公開率」は、わずか7・1%。政治資金の流れを透明化して、国民の監視の下に置くという規正法の趣旨に反することは明白だ。以前から指摘されてきた「抜け穴」の一つで、新藤義孝経済再生担当相にも同様のケースがあるとして、国会でも追及された。

 

 規正法をその目的に合致するよう改めねばならない。自民党は野党との具体的な協議に早急に応じるべきだ。これ以上、いたずらに時間を費やすことは許されない。