私は朝井リョウさんの良き読者ではないのですが、標記の題名に関しては、書店で最初に目にしたときから、中身を一行も読んでいないくせして、頭の片隅に久しくとどめて参りました。
そして折に触れ口中つぶやきます
そう。
私とあなたとは、ままならない。
どうあっても、本来的に、本質的に、未来永劫、ままならないのです。
そこをどうにか割り切り、ぼやかし、まあ人間こんなもんだよねと自分に言い聞かせながら互いにぼちぼち行くのが、人生というものではありませんか
漫画原作者も編集者も、脚本家もテレビ局も、相互にどうしようもなくままならない。
その誰もが「おもしろい作品を世に送り出そう」という意識だけは持っているはずなのですが、そもそも念頭にある「おもしろい」が各自てんでんバラバラなので、永遠にままならないのです
『セクシー田中さん』という漫画についても実写化ドラマについても、私は寸分も拝見したことがありませんので詳しくは触れませんが、今回の痛ましい一件で心ない攻撃にさらされているらしき脚本家氏のために、一つだけ言わせていただきます
かつて氏の手がけた『ミステリと言う勿れ』実写化ドラマの第1話は、すばらしい、というより、すさまじい出来でした。
原作を大事に大事に読んでいるファンがたくさんいらっしゃることは重々承知しておりますが、不肖、私の感じたところでは、その原作を凌駕しておりました
あんなすさまじい作品を生み出してくださってありがとうございます。
これからも、ままならない世の中にあって、臆せず怯まず前向きに、良い脚本を