清方と弟子たちー師弟で目指した芸術 | けろみんのブログ

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2023.11.14
特別展
「清方と弟子たちー師弟で目指した芸術」
2023.10.21~11.26
鎌倉市鏑木清方記念美術館

に行きました。歌川国芳ー月岡芳年ー水野年方ー鏑木清方、という連綿とした師弟関係。鏑木清方も水野年方のように画塾を開き後進を育てました。弟子たちの作品、清方の作品、更に画塾の写真などを紹介する小さな展覧会です。



鏑木清方の弟子との接し方は、自身の個性を活かして描かれた作品が多く、描いた作品を直すことは無かったそうです。清方自身が師匠の水野年方に入門したての頃手直しされ、自分の表現を否定された気がしたそうです。自分の弟子にそんな思いをさせたくないと考えたのでしょう。

清方の画塾はとても活気がありお正月には、朝から晩まで人が出入りするほどだったそうです。他にも弟子たちが寸劇を行う演芸会的な催しがあり、近所の子供も招待されて盛り上がっていたそう。何故か風景の版画で有名な弟子の川瀬巴水が女役で出演していました。小さな集合写真ですがクネクネと女っぽい姿をしています。違う回でも女性の役で出演しているのできっと十八番なんですね。ビデオで以前見た川瀬巴水を思い浮かべてみました。

今回の展示には川瀬巴水はありませんが新版画の伊東深水、小早川清、寺島紫明、西田青坡などが紹介されています。
そのうちの一人、山川秀峰についての講演会がありました。
美術講演会
「清方から受け継ぐ美人画の細緻流麗 山川秀峰の生涯と画業」
講師 吉田大門氏 
(横浜市歴史博物館学芸員)
題名通り山川秀峰の出生から亡くなるまでを細かく年数を区切って丁寧に説明し、人生のトピックや画題の変化について1時間半講義頂きました。山川秀峰はWikipediaで調べてもそんなに詳しく載っていないのでとても参考になりました。秀峰は、京都生まれで3歳の時東京・日本橋に転居。父親は友禅の下絵師で琵琶を嗜むなど、趣味人だった。そこに日本橋・浜町辺りの雰囲気が影響し歌舞踊曲にに親しんだ。
13歳頃は琵琶の名手と言われていたそうです。
絵の手習いを始めた時1番よく知ってるものを対象物として描くと上達するということで秀峰は人物画、特に踊りの場面を得意としました。丸みおびた柔らかな雰囲気の舞妓→物語絵→大正チックなセンチメンタルな作風→背景を描き人物と馴染ませる→幻想的な作風からはなれ、現代女性を描く…と時代に沿って作風は変わります。長生きできていたらどんな作風になったか想像もつきませんが惜しいことに47歳で亡くなりました。有名な作品は「序の舞」「素踊」と言った所でしょうか。
踊りの型と型の間の動きを捉えていたり、繊細な描写で骨格を感じさせる写生力は素晴らしいものです。

アッサリした線で描いているように見えて、よく見ると細かな絞り染や着物の模様の細かい部分などがまるでフラクタル図形のようにびっしりと描かれています。描き込みすぎないところとの対比が更に美しいです。

同じお弟子さんの中では小早川清と同年です。小早川清は、とても強烈な印象をのこす美人画かきますよね。

伊東深水とは、美人画描く同門として対照的な特徴が色々あります。

伊東深水  線より色彩  現実的  大胆
山川秀峰  色彩より線  ロマン  繊細

伊東深水は表現に柔軟性があり、マクロな視点で男性的。
山川秀峰は線描に執着性があり、時代感覚に反応しながらミクロの世界まで描いている、
そんな感じで比較できるとのこと。メモの字が読めなくて講演の内容はこの辺で失礼します。


そんなお弟子さんたちの個性と師匠の「朝涼」など、素敵な作品を見て昨年は11月15日にこちらに伺ったことなど思い出しました。

 

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