前回の話の続きです。
弁護士事務所から着信が入りました。
「ご意向を先方に伝えましたが、まず退去前の立ち会いは、居住者と一緒に部屋の中のチェックをする必要があります。
また、小さい会社なので、他に対応出来るスタッフはいないというお話しでした。」
「もしご希望でしたら、1時間2000円が発生しますが、弁護士事務所からスタッフを派遣することは可能です。」
「お気持ちはわかりますが、先方がそのようなルールである以上、従ってもらうしか方法はないと思います」
恐怖と焦りでいっぱいの私にそう伝えてきました。
「私は不動産会社のオーナーと顔を会わせるのが恐怖だから嫌なんです。退去のルールが立ち会い必須ということなら、最初から脅してくるようなことをしなければいいですよね?!そういう対応をしてきたのは不動産会社なのに、最後は向こうの言うことに従うなんて納得が出来ません!」
この時の私はとにかくもう先方に従うのが嫌で嫌で仕方がなかったんです。
だったら脅しなんて手段をとらず、最初から上手にやればいい。
穏便に出来なかったのは向こうなんだから!と思っていました。
弁護士事務所の担当者は「一度確認する」と言って電話を切りました。
数分後、再度弁護士事務所から着信。
かけてきたのは先ほどまで話をしていたいつもの担当者ではなく、その上司でした。
「担当者より話しを伺いました。
お客様のお気持ちはよくわかりますが、相手方がそのルールである以上、受け入れていただかないといけません。
・・・・ですが、先ほど不動産会社にお客様の状況をお伝えした所、顔を合わせなくて良いということになりました。
今から具体的な退去方法を申し上げます。
退去日当日、全て荷物を運び終えた後、施錠をし、レターパックに鍵を全て入れて不動産会社へ郵送ください。
お客様の鍵が不動産会社に到着した日が実際の退去日となります。
それに合わせて家賃が日割り計算され、返金額が計算されます。」
「わかりました。そちらで決定ですね?」
「決定です」
非接触で退去が出来ることに心から安堵し、退去日を迎えることになりました。
次回、最終回です。