なにかと批判の的にされやすい学校教育ですが、少し前にこんなニュースを見つけました。
最近の学校教育が「大変なことになっている」
http://www.yukawanet.com/archives/4677729.html
内容としては、
「次のわり算の答えは、何の段の九九を使って求めればよいですか」
⑴ 21÷7 はどの段を使うか?
→子どもの答え「3の段」
→不正解、正解は「7の段」
→なんで?3×7、7×3どちらでも求められるんだから、3の段でもいいじゃん!
※(2)も同様の流れ
この問題に対する意見として、
・質問の意図がわからない
・言葉の定義にこだわりすぎ
・子どもがこんなとこじゃなきゃいいけど・・・
・質問者の意図を読み取れる子どもになれということか・・・
・3の段の九九を使って求められるなら、そもそも求める必要がない
などなど、否定的な意見が多いです。
ちなみに、否定ではない意見として、
・わり算の手順を問う問題ですね
などありましたが、基本的に否定意見しか書いてませんでした。
ニュースとして盛り上げたいから書いていないのか。それとも本当に否定意見しかなかったからかはわかりません。
3年生のこの単元を扱ったことがあるので、一応簡単な理由はニュースに書いてあるんですが、もう少し詳しくこの問題を解説しようと思います。
<解説>
まず、この問題が扱われている「2位数÷1位数のわり算」は3年生で初めて出てきます。これは重要です。
そして、わり算の性質を教える途中の段階の問題ということです。
この問題が変に感じるのは、大人なら当然です。
なぜなら、わり算をどのように求めればいいのか全て分かっているからです。
しかし、初めてわり算を勉強する子どもにとっては、状況が異なります。今ある知識を使い、一つずつ段階的に覚えていきます。
段階として、
① 絵から、同じ数ずつ分けるという状況をイメージさせる。
例)21このクッキーを7人で同じ数ずつ分けるとどうなりますか?
→おはじきで、実際に分けさせて、1人分が3個になることを理解させる。
② 問題文の状況を「21÷7=3」という式で表せることを教える。
→クッキー21個=わられる数
→7人 =わる数
→1人分が3個 =答え
③ おはじきや絵を使わないで、計算でもとめる方法を考える
※以下画像に詳細
④ 「21÷7=⬜︎」は「7×⬜︎=21」と考えて、7の段を使って求めることを教える。
という段階を踏んで、教えていきます。
つまり、問題文の
「21÷7は、何の段の九九を使って求めますか」
という質問の意図は、
「7×⬜︎=21に直すと答えがわかります。」
という手順を意識させることです。
だから、3の段という答えを×をつけた先生の考えは、
「手順を理解しているかわからないので×をつけた。」
だと思います。(それを説明していない、というのは問題かと思います)
大人はこの問題だけ見たらわけがわからないと思います。
しかし、一つひとつ理解させるために指導途中には、このような問題がいくつか出ます。
だから一番問題なのは、「先生が子どもにきちんと説明しきれなかった」ことだと思います。
決して問題がおかしいのでないというのが、現場の先生である私の意見です。
ちなみに、現在は学習塾に通っている子どもも大勢いるので、すでに先に学習している子どももいます。なので、ニュースと同じように3の段と答える子どもも出現します。
私は、手順を意識してもらうために、「この問題は、わられる数の7の段で考えてね」と先に言っておきます。(先に言えば×にしても子どもも分かっているので、文句を言ってくることもないです)
最終的には、3の段でも7段でも、問題の意図が分かって計算できるようになれば、それでかまいません。(≡^∇^≡)
まあ、背景を知らないと混乱することもあるかと思いますが、学校教育批判にまでつなげられると、正直悲しいですね・・・。゚(T^T)゚。
学校は意図を持って活動しています。(どんな人も納得できるかはわかりませんが・・)現場の先生は、とても頑張っているので、一方的に批判の的にせず、子どものために協力をお願いします(^∇^)
以上です!
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