小学校の水泳学習といえば、思い出のある人もいるのではないでしょうか?
「ふざけて飛び込んで怒られた」「暑い日は最高だった!」「寒い日は地獄だった」
などなど・・・
授業でもやりますし、夏休みも自由参加で水泳教室を行っている小学校がほとんどだと思います。
さてこの水泳指導については色々議論が多いです。
最近のニュースだと、
「プール授業の日焼け止め」巡る親と学校の攻防
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160722-00000204-sasahi-life
あるいは、飛び込みによる事故が取り上げられることが多いです。
「学校プールで飛び込み事故多発」
http://www.j-cast.com/2015/08/01241368.html
今回はこのニュースを元に現場の教師からの感想を書こうと思います。
◆日焼け止め禁止について
まず、小学校は基本的に日焼け止めを禁止しています。
たかが日焼け止め、と思うかとは思いますが、やはり水質の悪化というのは、考慮せざるおえないのが実情です。
人数がとても少なければいいのですが、大きな学校だと1学年100名以上の子どもが入ることになります。(5クラスだと150名を超えるところもあります)
しかも、授業は、1〜6時間目まであるので、最大3学年分入ることになります。
(1学年1回に2時間分の時間を使って入ります)
つまり、1学年100名なら、25mプールに1日300名以上の子どもが入ることになります。
1人ならいいですが、300人以上の子どもが全員、日焼け止めをして入るとさすがに、水質の悪化は考慮する状態になります。
もちろん肌の弱い子どもにも、絶対ダメということはありません。
個々人の事情はきちんと考慮してくれますので、担任の先生に相談をしてください(≡^∇^≡)
ただ、「日焼け止めをして大丈夫!」とは学校として言えないので、ないしょで電話をしてくれると助かります(笑)
◆飛び込み事故について
次は「飛び込み」についてですが、これは2パターン考えられます。
1つは、教員の指導不足という点です。
飛び込みの指導は危険であることは、先生方も承知しています。
・注意事項の確認
・経験者の見本を見せる
・いきなり飛び込みはせず、スモールステップで徐々に難易度を上げてく
など安全を最大限考慮して行います。
そして、水深が浅いため、底に殴打しての怪我ということですが、基本的に泳げない子に指導するという前提ですので、水深は足がつく高さにしかできません。
学年に応じて水位を変えますので、もしかしたら学年で設定されている水位より低い状態で行った可能性もあります。
低学年用の水位で高学年が飛び込んだら当然事故のリスクは高まります。
水位に関しては間違いがないよう最善の注意を払っています。
しかし、現場はかなり忙しいので、もしかしたら気づかずに授業を始めてしまた可能性があります。
次に、子どもがふざけて飛び込むパターンです。
残念ですが、悪ふざけで飛び込む子は後をたちません。
毎年プール学習になると、走らない飛び込まないを必ず指導します。指導をするということは、残念ながらふざけて飛び込む子が存在するということです。
上でも述べたように、小学校の水深はかなり浅いです。
0.8m〜1.3mほどなので、身長の低い子は間違えて落ちてしまっても、プールの底にぶつかるということはあまりありませんが、身長の大きな6年生などですと、危険性は高くなります。
ニュースでは、主に中学校や高校でのプール指導中の事故が掲載されているので、やはり体が大きいと危険であることは否定できません。
このようなことが起きないように、先生方はかなり厳しくプール指導をします。ふざけている子には容赦なく、叱る姿も記憶にあると思います。
背景として、このような危険があるため、どうしても厳しくならざるおえないということをご理解いただきたいですm(_ _ )m
以上のように、私なりに感想を書きましたが、そのほかにも色々なご指摘があります。
スクール水着以外の水着を着てはダメなのはおかしい!
たかが10回ほどの授業では泳げるようにならない!この授業は意味ない!
などなど色々な意見をいただきます。
ひとつだけ、世間の皆様に知ってほしいことがあるので、このブログを通して書かせていただきます。
そもそもプール授業はなぜあるのかご存知でしょうか?
理由は、「水難事故の防止」です。
2年前、韓国で起きたセウォル号沈没事故を覚えているでしょうか?
この事件では、死者295名もでました。
高校生の修学旅行生も多くのっていた様子をテレビで見た人も多いと思います。
韓国で最悪の海難事故となりましたが、日本でも同様の事故が過去にありました。
1955年に起きた「紫雲丸沈没事故」です。
http://showa.mainichi.jp/news/1955/05/post-18e8.html
この紫雲丸には、4つの学校から修学旅行生が乗船しており、100名以上の児童が犠牲になりました。
この紫雲丸の事故まで、日本では水泳の授業はありませんでした。そのため、沈没する船からほとんど逃げることができずに、亡くなったそうです。
この事件以後、水難事故の防止を掲げて水泳の授業が始まりました。
韓国の対応に避難が大きかったことが印象強く残っていますが、日本でもまったく同じことが起きていました。韓国のことをバカにはできません。
このような背景があるので、水泳学習は行われていますし、今後も続いていきます。
何かあったときに、自分で命を守れる子どもを育てるために。
水泳学習は、批判の的になりますし、先生方にも非常に労力の大きい学習です。でも、先生は信念をもって仕事をしています。
何卒ご協力をお願いしたいと思いますm(_ _ )m
以上です!
読んでいただきありがとうございました。
◆高校野球の教育効果について考える
http://ameblo.jp/tomoharu-teacher/entry-12183692501.html
◆教員の夏休みの過ごし方
http://ameblo.jp/tomoharu-teacher/entry-12182475325.html
◆アメリカで日本の運動会をしたらこうなった
http://ameblo.jp/tomoharu-teacher/entry-12181757280.html