猫:思ったよりも動きのあったここ2週間だったな。


鼠:最も大きなニュースはメルセデスのブラウン買収でしょうか。


猫:うむ。もともと噂はあったが。


犬:これでチームの財政も安定。

  連覇に向けて邁進と思われたのですが・・・。


鼠:その2日後にバトンのマクラーレン入りが発表されました。


猫:これが分からないんだよな。

  バトンにとってマクラーレン入りのメリットが感じられないんだ。


犬:ブラウンと契約金でもめているとか噂もありましたけど?


猫:そうだとしてもマクラーレンとの契約金もあまり高額でないとの噂なんだ。

  そうすると、メルセデスの参画で体制が強化される新メルセデスを離れてまで

  「ハミルトン王国」のマクラーレンに加わる意味が分からない。

  確かにシーズン序盤の不振を跳ね返したチームの地力を考えると

  マクラーレンの方が上であることは間違いない。

  ただ、メルセデスだってチャンピオンチームなんだし・・・。


鼠:そのブラウンにはロズベルグが加わります。


犬:こちらも噂通りですね。


猫:ドイツ路線まっしぐらと言った感じだな。

  そういえばマクラーレンは純イギリス、

  フェラーリはラテン系と、なんだか色分けがはっきりしているな。


鼠:その色分け、国分けでいくと、フィンランドには厳しい来シーズンになりそうですね。


猫:ライコネンは休養を宣言。コバライネンは目下就職活動中だ。


鼠:ライコネンはフェラーリとの契約とマクラーレンに提示された金額の

  兼ね合いで走らない方が儲かるという状況に挟まれてしまったとのことです。


猫:休養、といってもハッキネンの例もあるから、戻ってこない可能性もある。

  コバライネンはルノーなどとの交渉は行っているようだが。


鼠:他のシートでは新興チーム、下位チームに動きがあるようです。

  マノーにグロックが加入、

  フォースインディアはスーティルとリウッツィの残留、

  トロロッソも両者残留が濃厚です。

  

犬:日本人ドライバーもちょっと噂が出てきましたよね。


鼠:可夢偉はトヨタのスポンサーを連れてルノー入りの噂が出てきました。


猫:果たしてトヨタが離れても日本のスポンサーが残ってくれるのか疑問は残る。

  ただ、個人的な感想なんだが、確かに不況ではあるが、

  スポーツ界の期待の新人に投資して置くのは悪いことではないと思う。

  実際、トヨタのスポンサーを続けるつもりで予算もあるだろうし、

  個人スポンサーならそこまでの額は必要にならないだろうし。


犬:ファンももしスポンサーになったらその商品を買うとか、

  そういった形での支援は必要ですね。


鼠:琢磨はロータスと交渉中のようです。


猫:最終候補が4名ほどいる様子だが、それには残れたんじゃないか。

  新興チームでテストやセッティングなどに余裕がないから、

  経験者から選ぶというチームの思想に合致するメンバーのようだ。


鼠:トゥルーリが濃厚とか、ビルヌーブが本拠地を訪ねるらしいとか、

  いろいろな噂もありますが。


犬:アブダビでガスコインが琢磨を希望しているとコメントしているみたいですし、

  希望はあるんじゃないでしょうか。


猫:まぁ、そのコメントは日本人プレス向けかもしれないし、

  ちょっと鵜呑みには出来ないだろうが、評価は低くないとみて良いだろう。

  ただ、発表が遅くなりそうな理由がもう二つばかりあるんだが。


鼠:参戦チームの問題ですね。

  ルノーが参戦するのか否か、また、ザウバーが参戦権を得られるのか。

  

猫:ルノーはクビサが契約済みだから、

  参戦出来ないとなれば有力なドライバーが市場に放たれることになる。

  反対に両チームとも参戦できれば中堅以上の実力と考えていいから、

  各ドライバーとも交渉に臨むことになるだろう。


鼠:トヨタの参戦権をそのまま引き継ごうとする動きもあるようですし、

  この辺が片づくかどうかが今後の鍵となりそうですね。

鼠:さて、その後のニュースです。

  まず、明けて2日、ウイリアムズがバリチェロとヒュルケンベルグの起用を発表。

  そして、ブリヂストンが来シーズン限りでタイヤ供給を終了すると発表しました。


犬:ブリヂストンの撤退は会社の経営状況からの判断と発表されましたね。


猫:うーん、「撤退」といえば撤退なんだが、

  正確に言えば「契約満了」だ。

  もともと11年いっぱいまでの契約があったものを延長しないということだな。

  やはり経営状況による判断というのは間違いないが。


鼠:クルマが売れないのだからタイヤも売れないという単純な構図の他、

  エコ対策タイヤで「もち」も良く、交換機会も減っていますから、

  これからの経営を考えれば仕方ないのかもしれませんね。


犬:12年からはどうなるんでしょうか?


猫:他のメーカーが手を挙げれば問題ないんだが・・・。


鼠:かつて参戦したミシュラン、グッドイヤー、ピレリは参戦しないことを発表しています。


猫:あとは世界的知名度を挙げたい新興メーカーが頑張るかどうか。

  韓国のクムホなんかの名前が噂されているが、

  世界中を転戦できるだけの輸送能力や、

  タイヤの生産能力を持っているかどうかだな。


鼠:話を元に戻すと、

  4日、遂にトヨタが撤退を発表します。


猫:トヨタの撤退は長い間噂されていたのだが、

  シーズン中にも発表がなかったし、

  コンコルド協定にサインしたり、有力新人も出てきたりと

  ひょっとしたら続けるのでは?という機運も出てきた。

  撤退するとしても15日に取締役会があるから、

  その後になるんじゃないかと言われていたから、

  4日の朝に一般紙が報じ、その日のうちに発表するとは思わなかったから、

  思ったよりもインパクトは大きくなった。


犬:山科代表の涙も印象的でした。


猫:育ててきた中嶋と小林について聞かれて、

  これまでの道のりを思い出して思わず・・・ということなんだろう。

  山科代表は撤退自体がどうこうというよりも、

  一緒にやってきた仲間、育ててきたドライバー達のことを思うと

  悔しくて残念で・・・と言う感じだな。


鼠:トヨタはホンダのように売却するのではなく、

  ヨーロッパの拠点はそのまま残して他のカテゴリーに使用する方針です。


猫:雇用などを考えるとそのまま譲るのは規模的に大きすぎて厳しいんじゃないだろうか。

  それならばリストラは進めるが、売却してしまうよりも会社は保ったままの方が、

  やりくりはしやすいんだろう。


鼠:さて、翌日にはFIAがトヨタの撤退について、

  信用低下に関わる問題として法的措置を検討すると報じられます。


猫:昨年のホンダともども、

  この「辞め方」は批判は免れないだろうな。

  トヨタの場合は来年参戦することを前提に協定にサインもしている。

  このタイミングで辞めることを認めてしまうことは出来ないだろうし、

  今後・・・例えばルノーが撤退を検討した場合の抑止はしておきたいんだろう。

  こんな辞め方をしてはもう二度と参戦できなくなってしまうよ。


  ファンにとってもこの辞め方ははっきり言って残念だ。

  せめてBMWのように「さよなら」を言える時間は欲しかったし、

  可夢偉に期待感が高まっていたからどうにかして欲しいというのもあった。


  経営判断としてはこの撤退は正しいんだろう。

  ただ、このタイミングでの辞め方はどうにもやりきれないものがあるな。


鼠:それを踏まえてのストーブリーグの状況ですが・・・。

  これで保留になっているBMWの参戦について検討されることになります。

  反対に先ほどの話に出たルノーは参戦継続の方向ですが、

  結論は年末まで持ち越すようですし、

  まだまだ長期化しそうですね。


犬:今年は例年に比べても遅いですよね。


猫:要因はいくつかある。

  まず、トップドライバーの動きが遅いこと。

  アロンソ-クビサまでは発表があったが、

  クビサはBMWに気を使って発表を遅くまで引っ張っていたし、

  アロンソにはじき出されたライコネンが態度を明らかにしていない。

  

  そして、シート自体の問題。

  BMW、トヨタ、ひょっとしたらルノー、

  これだけ実力のあるチームのシートがなくなるか流動的だと動くに動けない。

  おまけに昨年-今年の戦力大シャッフルで

  どこのチームがトップで戦えるのか、読みづらい状況だ。

  これに新興チームが絡んでくるとなると状況は複雑化する。


  最後にテスト制限。

  年明けまでいずれにしてもテストは出来ないから焦る必要はない。

  反対に走行機会は相変わらず限られたままだから、

  新人を起用するには勇気がいる状況でもある。

  新興チームにとってはさらに新人起用は難しい状況を呼びかねない。

  シートが固まるにはまだまだ時間がかかるよ。


犬:それからもう一つ気になる噂があるんですが・・・

  フジテレビの放送契約交渉が難航しているとか・・・?


鼠:まだ締結していないということなんで、詳細は分かりませんが、

  CSでは人気のあるF1も地上波では苦戦しています。

  FIAとの契約は地上波無料放送ありきで、

  契約金交渉でのネックになっているようです。


猫:フジのCSでは来季もやる方向で告知もしているから

  なんとかしてくれると信じるしかない。

  とはいえ、経営環境として考えるとCMの減少でテレビ局の収益も悪化している中、

  番組のスポンサーとなってくれていた

  ホンダ、トヨタ、さらに再来年にはブリヂストンも撤退してしまうとなると、

  スポンサーも降りてしまう可能性が高い。

  おまけに日本メーカー撤退で注目度も下がってしまうだろう。

  そんな状況で高額な契約が結べるかどうか。

  CSでは看板番組だから、その契約による収入と天秤にかけて行くことになるんだろうが、

  起爆剤としてどうしても日本人がドライバーとして参戦して欲しいよ。


鼠:このコーナーではシーズンオフもニュースをお送りする予定です。

  ページ本編のストーブリーグ情報と合わせてご覧ください。

猫:ええと、たった一週間で大きく状況が変わってしまったな。

  本来ならアブダビでの可夢偉の快走を誉めて、

  今季の総括でもしようと思っていたんだが。


鼠:この間にブリヂストンが来季かぎりでの撤退を発表、

  そして5日にはトヨタが今季限りで撤退することが発表されました。


犬:ルノーも撤退協議中と報道されましたよね。


猫:なかなかF1の事を語るにはしんどい時期となってしまったが、

  ともあれレースはレース。

  アブダビGPから振り返ることにしようか。


鼠:では、まずは結果 から。

  ベッテルが今季4勝目を挙げ、ウエバーともども1-2。

  これでレッドブルは3連勝でシーズンを締めくくったことになります。


猫:シーズン終盤の強さは圧倒的だったな。

  バトンとベッテルのポイント差が11あるのはレッドブルの「取りこぼし」の大きさと、

  バトンの「堅い守り」に阻まれたと言うことなんだろう。


犬:バトンが久々に攻めのレースで3位まで来ました。


猫:前述の通り、守るレースをする必要がなくなったからな。

  タイトルを取るには必要だが、やはり今回のような走りをもっと見たかった気もするな。

  で、そのブラウン、バトンを脅かしたのが今回の小林可夢偉だ。


犬:まさに快走、

  ひさびさにドキドキするレースでしたね。


鼠:Q2で脱落したこともあって1ストップ作戦を選択、

  一時3位を走り、ブラウン勢はバトンに「コバヤシとの差をキープしろ」と

  無線で指示が飛びました。


猫:1ストップといっても決して消極的なレースはしていなかった。

  スタートではKERSを積むライコネンと競り合って抜き返し、

  ピットアウトしたバトンを追い抜いて見せた。

  第一スティント、第二スティントとも終盤に自己最速ラップを連発して見せるなど、

  レースを通じてのマネジメントの巧さも見せている。

  タイヤにそれほど厳しくないサーキットだったし、

  ピットロードが長く1ストップ作戦に向いているというのもあった。

  特に今シーズンはテストも出来ず、

  軒並みシーズン途中参戦の有力新人達がQ3落ちやぱっとしないレースを見せる中、

  連続してQ2進出、2戦目にして入賞というのは評価されていい。


鼠:実際、海外メディアなどでも優勝したベッテルと同じぐらいの高評価を得ています。


犬:ただ、テレビなどでは「表彰台」とあおっていたので、

  少し物足りない気もしてしまったんですが。


猫:実際、表彰台はブラウン勢がレースペースを保ってしまったので、

  よほどのことがない限り難しかったと思う。

  レース中盤、ハードタイヤでのラップタイムを交換後のソフトでずっと出せればとは思うが、

  燃料も積むし、ソフトタイヤがレースの半分も保つのかという疑問もあった。

  喰えたとして、バトン、アロンソと競り合ったラップで落としてしまったタイムがなければ、

  ハイドフェルトとひょっとしたらバリチェロと言うところだったと思う。


犬:ハイドフェルトを喰ったら、レッドブル、ブラウンに次ぐ位置だったんですけどね。


猫:まぁ、そうは言ってもハイドフェルトもBMWのラストレースだったし、

  気合いも入っていた。

  注目はされなかったが、なかなか良い走りだったと思う。

  年間ポイントでクビサを上回ることもできたしな。

  

鼠:今回はあちこちで「さよならレース」が多かったですね。


猫:アロンソ、クビサ、ライコネン、ロズベルグは確実にチームを離れることになっていたし、

  BMWはもちろん最後のレース。

  ・・・結果的にトヨタもそうなってしまったが。


犬:中嶋もなんですよね。


猫:レース時にはトヨタエンジン離脱で確定的という状況ではあったが、

  本人も認めていたし、レース後すぐにウイリアムズはバリチェロとヒュルケンベルグで行くと

  発表もあった。


鼠:そのレース内容ですが・・・


猫:うん。

  スターティンググリッドが一つしか違わなかった可夢偉とどうしても比べてしまうが、

  今回のコースはウイリアムズにはあっていなかった。

  とはいえ、今季を通じて全戦出走してノーポイントは一貴だけという事実は

  厳しく受け止めねばなるまい。


犬:レース全体の雰囲気も独特でしたね。


猫:中東に出現した未来都市の趣だな。

  オイルマネー恐るべし。


  でもトワイライトの雰囲気も悪くないし、

  日暮れていく中でのシーズン終了はなんとなく「終わり」感もあって良かったな。

  まぁ、あの立体交差のピットロードはあんまり意味がないような気がしたが。


犬:そして、シーズンが終わり来シーズンのシート争いの話になろうか、

  という中、可夢偉のシートに光が見えてきて・・・という状況だったんですが。


猫:うん。

  この話は長くなるから、後編として続けようか。