猫:ええと、たった一週間で大きく状況が変わってしまったな。
本来ならアブダビでの可夢偉の快走を誉めて、
今季の総括でもしようと思っていたんだが。
鼠:この間にブリヂストンが来季かぎりでの撤退を発表、
そして5日にはトヨタが今季限りで撤退することが発表されました。
犬:ルノーも撤退協議中と報道されましたよね。
猫:なかなかF1の事を語るにはしんどい時期となってしまったが、
ともあれレースはレース。
アブダビGPから振り返ることにしようか。
鼠:では、まずは結果 から。
ベッテルが今季4勝目を挙げ、ウエバーともども1-2。
これでレッドブルは3連勝でシーズンを締めくくったことになります。
猫:シーズン終盤の強さは圧倒的だったな。
バトンとベッテルのポイント差が11あるのはレッドブルの「取りこぼし」の大きさと、
バトンの「堅い守り」に阻まれたと言うことなんだろう。
犬:バトンが久々に攻めのレースで3位まで来ました。
猫:前述の通り、守るレースをする必要がなくなったからな。
タイトルを取るには必要だが、やはり今回のような走りをもっと見たかった気もするな。
で、そのブラウン、バトンを脅かしたのが今回の小林可夢偉だ。
犬:まさに快走、
ひさびさにドキドキするレースでしたね。
鼠:Q2で脱落したこともあって1ストップ作戦を選択、
一時3位を走り、ブラウン勢はバトンに「コバヤシとの差をキープしろ」と
無線で指示が飛びました。
猫:1ストップといっても決して消極的なレースはしていなかった。
スタートではKERSを積むライコネンと競り合って抜き返し、
ピットアウトしたバトンを追い抜いて見せた。
第一スティント、第二スティントとも終盤に自己最速ラップを連発して見せるなど、
レースを通じてのマネジメントの巧さも見せている。
タイヤにそれほど厳しくないサーキットだったし、
ピットロードが長く1ストップ作戦に向いているというのもあった。
特に今シーズンはテストも出来ず、
軒並みシーズン途中参戦の有力新人達がQ3落ちやぱっとしないレースを見せる中、
連続してQ2進出、2戦目にして入賞というのは評価されていい。
鼠:実際、海外メディアなどでも優勝したベッテルと同じぐらいの高評価を得ています。
犬:ただ、テレビなどでは「表彰台」とあおっていたので、
少し物足りない気もしてしまったんですが。
猫:実際、表彰台はブラウン勢がレースペースを保ってしまったので、
よほどのことがない限り難しかったと思う。
レース中盤、ハードタイヤでのラップタイムを交換後のソフトでずっと出せればとは思うが、
燃料も積むし、ソフトタイヤがレースの半分も保つのかという疑問もあった。
喰えたとして、バトン、アロンソと競り合ったラップで落としてしまったタイムがなければ、
ハイドフェルトとひょっとしたらバリチェロと言うところだったと思う。
犬:ハイドフェルトを喰ったら、レッドブル、ブラウンに次ぐ位置だったんですけどね。
猫:まぁ、そうは言ってもハイドフェルトもBMWのラストレースだったし、
気合いも入っていた。
注目はされなかったが、なかなか良い走りだったと思う。
年間ポイントでクビサを上回ることもできたしな。
鼠:今回はあちこちで「さよならレース」が多かったですね。
猫:アロンソ、クビサ、ライコネン、ロズベルグは確実にチームを離れることになっていたし、
BMWはもちろん最後のレース。
・・・結果的にトヨタもそうなってしまったが。
犬:中嶋もなんですよね。
猫:レース時にはトヨタエンジン離脱で確定的という状況ではあったが、
本人も認めていたし、レース後すぐにウイリアムズはバリチェロとヒュルケンベルグで行くと
発表もあった。
鼠:そのレース内容ですが・・・
猫:うん。
スターティンググリッドが一つしか違わなかった可夢偉とどうしても比べてしまうが、
今回のコースはウイリアムズにはあっていなかった。
とはいえ、今季を通じて全戦出走してノーポイントは一貴だけという事実は
厳しく受け止めねばなるまい。
犬:レース全体の雰囲気も独特でしたね。
猫:中東に出現した未来都市の趣だな。
オイルマネー恐るべし。
でもトワイライトの雰囲気も悪くないし、
日暮れていく中でのシーズン終了はなんとなく「終わり」感もあって良かったな。
まぁ、あの立体交差のピットロードはあんまり意味がないような気がしたが。
犬:そして、シーズンが終わり来シーズンのシート争いの話になろうか、
という中、可夢偉のシートに光が見えてきて・・・という状況だったんですが。
猫:うん。
この話は長くなるから、後編として続けようか。