それにしてもこの寒いのに、魚の気配も全くないのに、釣り人は多い。
すぐに指先が冷気でかじかんで痛み、そのうち感覚がなくなってくる。
それにしても、水平線から昇りゆく太陽を祝福するような、見事なオレンジ色の朝焼けである。
その感動を台無しにする、釣り人の残したゴミ。
イカ釣り用のヤエン仕掛けの大きな針や、針がついたままの死んだ餌のアジなどもそのまま捨ててある。
そのアジを鳥が狙っている。慌てて拾い、ビニール袋に入れ持ち帰った。だから釣り人は嫌われる。
あまりに寒すぎるのと、魚も釣れないので最近部屋にこもってギターの練習に励んだ。
エレキギターでスケールの早弾きを繰り返し練習したり、アコースティックギターで弾き語りを楽しむ。久々に充実した日々を過ごしていた。
近所迷惑なので、アンプは鳴らさずヘッドホンでひとり悦に入る。
久しぶりに、ひたすら指を動かす日々が続いた・・・。
すると数日後の朝、目覚めた時に左手の中指に異変を感じた。
何と左手中指がばね指になって動かない上に痛みもある。
しばらくは安静にして保存療法となった。
せっかく始めたギターの練習ができなくなってしまった。早朝の極寒でのジギングも指に悪かったようだ。
その日、朝食を食べている時、前歯の詰め物が突然ポロリととれた。何と運の悪い日だろうか。しかも歯医者に予約を入れると、二週間先しか空いてなかった。
諦めて、猫たちと遊ぶ。
トンの手術の傷もすっかり良くなった。かんたろうにお腹を見せるトン。
そして相変わらず先にちょっかいを出し喧嘩を仕掛ける、トン。
しばらくふたりで戯れあって遊んでいるのを微笑みながら眺める。
指の痛みも、歯の違和感もしばし忘れる。
遊び終わるといつものように、かんたろうはトンの体を優しく舐め始める。
本当に仲がいい。ほのぼのとした時間がゆっくりと流れてゆく。
夜中、何故かうつろな表情のかんたろう。じっと一点を見つめたまま動かない。
しかも、舌を仕舞い忘れている。
声をかけても触っても舌を出したままじっとしている。仕方なく水を飲ませるとようやく舌を引っ込めた。
おやすみ、かんたろう。
沈んだ私の憂鬱な心を、その笑顔で和ませてくれて、ありがとう。
火曜日、波が高かったが寒気が少し緩んでいた。釣り人は遠くの方に三人ほど。
そのとき、少し離れた隣の釣り人が何か釣っているのが見えた。
何と巨大なヒラメを釣り上げていたのだ。70㎝はあるだろう。
この海岸であんなに大きなヒラメを見たのは初めてだった。
悔しかった。なんでこの私のジグを選んでくれなかったんだろう。
運が悪いのか、下手くそなのか。
まあ、仕方がない。釣れる時は釣れる。
自然を相手の釣りとはそういうものだ。
しかし、冬の夜明けは本当に美しい。
凛として澄んだ空気の中、壮大な大自然を背景に、燦々と昇りゆく鮮やかな橙色の太陽を見るのはとても気持ちがいい。
なぜか無性に讃岐うどんが食べたくなり、ネットで検索して注文した。
届くと、早速説明書どおりに茹でてみた。
真昆布と伊吹島の煮干しと鰹節の出汁を効かせた自家製のつゆで。
思ったより麺が細く、腰が強く硬い感じだが美味かった。今度はもう少し長く茹でてみよう。
桜耳になってトンが帰ってきた。
月曜日、避妊手術が終わり、日帰りで無事帰ってきたが、病院の先生に太りすぎていて大変だったと言われた。そして「傷口が少し大きいので安静に」とも・・・。
当日の夜はぐったりしてほとんど動かなかったトン。一晩中かんたろうが心配してそっと見守っていた。
二日目になるとゲージの最上段まで登れるようになり、かんたろうは心配なのか一緒にゲージの中に入って行った。
いつもなら絶対にトンのゲージに近寄りもしないのに、この日のかんたろうは入ったまま出ようとしない。
ふたり並んで、トンも嬉しそう。
心配そうに、トンに何かを話しかけているかんたろう。
痛かったと訴えてくるトン。
三日目になると一緒に遊び出した。
まだまだ傷口が塞がっていないので、ふたりでいるときは目が離せない。
よかったね、トン。
そして、ありがとう、かんたろう。
これからも、ずっと一緒だ。


















































