本当に寒い日が続く。
左手中指のばね指がなかなか治らず、朝は特に痛むので釣りに行くのも億劫になる。ブログの更新もままならない。
それに応えるかのように曙光を浴び、鮮やかなオレンジ色に染め上がった大空と、海面に漂う海霧。
まさに黄金比の朝である。
しばし寒さも指の痛さも忘れ、リールを巻く手も緩めて圧倒的な自然と対峙する。至福のひとときが訪れる。
それにしてもこの寒いのに、魚の気配も全くないのに、釣り人は多い。
寒くて外に出られないし、指も痛むので猫たちと本でも読みながら午后のひとときをまったりと過ごしていると、脳裏にかんたろうと出会ってからのことが走馬灯のように次々と甦ってきた。
公園で過ごす厳冬の日々は想像を絶する、まさに生死がかかるほどの寒さと厳しさだっただろう。
家庭と仕事を失ったことに端を発する寂寞とした中空の私の心をいくらかでも埋め戻してくれたその目の輝き。
そして、じっと見詰めて訴えるその瞳に魅せられ、日々悶々と心を揺らし、一緒に暮らす夢のため、空き家を探していた慌ただしかったあの頃のこと。
忘れもしない二年前の三月五日。怯え切った表情で部屋の隅からなかなか出てこようとしなかった。
春は確かに、少しずつ近づいてきている。
トンにとっては初めての春、かんたろうと一緒に暮らし始めて三度目の、桜の花が咲く日ももうすぐだ。

















