春の彼岸明けを間近に控え、夜明け前の海面を漂うひんやりとした風にも、どこか春の息吹を感じる。
そしてふと、昨年末からブログを更新していなかったことに気づく。時だけがやはり私の前から足早に過ぎ去って行くようだ。
夜が白み始め、水墨画の光景がみるみる油彩画の世界へと移行してゆく、夜明けの海のこの煌びやかな輝き。
鮮やかな橙色の曙光に染まる、荘重な美しい朝日。
自然が作り出す本物の美には本当に感動させられる。
圧倒的なその美しさの前には、どんな芸術もただの模倣に思えてしまう。
そして、春の気配を、力強い生命力を一面に漂わせながら、今日も日はまた昇る。
その大気を浴びて、自然を全身に感じながらひたすら孤独に海と対峙する、それも愉悦のひとときだ。
この季節、ほとんどの日が何も起こらない静かな海だが、春の足音が近づくにつれ、大きな魚が遊んでくれるときもある。
自然の豊かさと恵みに感謝し、ひざまづいて祈りたくなる瞬間だ。
そして、ついに桜が満開になった。
私の嫌いな、自然が生命力に満ち溢れる、狂おしい陽気な春がまたやってきたのだ。
自然の圧倒的な生命力に打ち負かされ、私を憂鬱な気分にさせる、春の息吹。
その息吹は私にとってはまさしく怖しくて、狂おしい気配なのである。
先日のこと、近所の波止からのふかせ釣りで偶然釣れた42㎝の立派なグレ。
身は脂がノリノリ。
捌いてみてびっくり。なんと、立派で美味しそうな白子が腹の中に充満していた。
ここにも自然の、生命力の、春の息吹が・・。
下処理して軽く湯掻いてポン酢でいただく。
口の中で旨みがとろける。この世の幸せ。
これは近くの「海の駅」で買った500グラム弱の赤むつ(ノドグロ)、なんと2,000円。安いので思わず即決で買ってしまった。
刺身はまるで貝(小柱)のようなあっさりとした旨味の塊。
塩焼きはもう言葉にできない美味しさ。甘い脂が、口中にとろける絶品だった。
相変わらず、かんたろうとトンは仲が良い。
いつも一緒にくっついている。
トンがいなくなると、かんたろうは大きな声でトンを呼び、トンも応えて寄り添い、甘える。
この情景は、本当に心が和むひとときだ。
その仲良い仕草の一挙一動に、思わずひとり微笑んでしまう。
この海辺の小さな町にふたりで来て、早くも3年が過ぎた。そしてトンが来てもうすぐ1年半になる。
私を否応なしに襲う春の息吹による憂鬱さも、ふたりのその澄んだ瞳のまっすぐな輝きによって、今年はどうにか逃れることができそうだ。
ありがとう、かんたろう、トン。
そして、おやすみ、かんたろう。