今週も寒い日が続いていた。
 夜明けの海は立ち上る湯気のような水蒸気に一面覆われていた。



 火曜日、波が高かったが寒気が少し緩んでいた。釣り人は遠くの方に三人ほど。

 そのとき、少し離れた隣の釣り人が何か釣っているのが見えた。

 何と巨大なヒラメを釣り上げていたのだ。70㎝はあるだろう。



 この海岸であんなに大きなヒラメを見たのは初めてだった。

 悔しかった。なんでこの私のジグを選んでくれなかったんだろう。



 運が悪いのか、下手くそなのか。

 まあ、仕方がない。釣れる時は釣れる。

 自然を相手の釣りとはそういうものだ。



 しかし、冬の夜明けは本当に美しい。

 凛として澄んだ空気の中、壮大な大自然を背景に、燦々と昇りゆく鮮やかな橙色の太陽を見るのはとても気持ちがいい。




 なぜか無性に讃岐うどんが食べたくなり、ネットで検索して注文した。

 届くと、早速説明書どおりに茹でてみた。



 真昆布と伊吹島の煮干しと鰹節の出汁を効かせた自家製のつゆで。

 思ったより麺が細く、腰が強く硬い感じだが美味かった。今度はもう少し長く茹でてみよう。




 桜耳になってトンが帰ってきた。

 月曜日、避妊手術が終わり、日帰りで無事帰ってきたが、病院の先生に太りすぎていて大変だったと言われた。そして「傷口が少し大きいので安静に」とも・・・。



 当日の夜はぐったりしてほとんど動かなかったトン。一晩中かんたろうが心配してそっと見守っていた。

 二日目になるとゲージの最上段まで登れるようになり、かんたろうは心配なのか一緒にゲージの中に入って行った。



 いつもなら絶対にトンのゲージに近寄りもしないのに、この日のかんたろうは入ったまま出ようとしない。

 ふたり並んで、トンも嬉しそう。



 心配そうに、トンに何かを話しかけているかんたろう。



 痛かったと訴えてくるトン。



 三日目になると一緒に遊び出した。



 まだまだ傷口が塞がっていないので、ふたりでいるときは目が離せない。



 よかったね、トン。

 そして、ありがとう、かんたろう。

 これからも、ずっと一緒だ。




 津波注意報が解除された翌日の夜明け前いつもの海岸に出かけた。
 津波の影響か海岸に溜まっていたゴミや流木が一掃され海岸線が綺麗になっていた。



 その日は冷え込みが少し緩んだ、とても静かで穏やかな海だった。

 そして生命反応も全くなかった。



 今週は大寒を迎え、日々厳しい寒さが続いている。夜明けの時間帯は連日の氷点下。ひどい冷気で手がかじかみ指先の感覚がなくなる。

 そして、海面からは水蒸気が湧き上がり海上は見事な海霧に覆われていた。



 この寒いのに、いつも徹夜での若いイカ釣りが何名かいる。

 その若さの、ほとばしる、溢れんばかりのエネルギーにしばし感心する。




 寒くて全身が震え、手足の感覚がなくなっても、全く当たりがなくても、何故か私はこの大海原から鮮やかな曙光を放ちながら雄大に昇りゆく、大きな太陽に向かって連日ジグを投げ続ける。

 心が目の前に拡がる景色に溶け込み、自然と一体となった感じが爽快で、とても気持ちがいいのだ。釣れなくても、不思議な至福感に包まれてゆく。



 魚が釣れないので、スーパーでグレの刺身を買った。この時期のグレは脂が乗り切って非常に美味だ。

 一端の上物師として沖磯に通い詰めていた若い頃を思い出す。魚の捌き方も、美味しい魚の味も、あの頃釣り上げた脂の乗った寒グレで覚えた。



 珍しくニロギの干物が安く売っていたので、さっとごま油で揚げて南蛮漬けに。ニンニクを一片入れて絶妙な酒の肴になった。



 この日は脂の乗ったグレとカツオの刺身。熱燗と熱々ご飯で。



 ネット注文していた豚まんと餃子が今日届いた。年に一度の楽しみ。いつ、何個食べようかと、悩む。






 ある日の昼下がりのかんたろうと、トン。



 かんたろうは昼寝から目覚めて、別室でひとり遊んでいたトンのところへ。



 写真を撮ろうと構えるスマホ越しの、ふたりの仕草に思わず微笑み、夢中でシャッターを切ってしまう。



 かんたろうも大きいが、生後七ヶ月になりトンも太った。

 

 

 来週の月曜日にトンは避妊手術をする予定だ。

 手術でトンが病院に行った時の、かんたろうの心配で狼狽する姿が目に浮かぶ。


 

 おやすみ、かんたろう。

 来週はトンも耳がカットされた桜ネコとしてうちに帰ってくる。




 この日、夜明け前の気温は−1℃。
 海水温が高いのか、海から水蒸気が猛烈な勢いで湧き上がり、見渡す限り海面はどんよりとした冬の海霧で覆われていた。



 やがて空がほんのり明るみ始め、曙光が鮮やかな橙色に景色を染め上げてゆく。すると、厚く海面を覆っていた霧と大気中の靄が見るみる消え始め、見事に晴れ上がってきた。

 まるで映画のワンシーンみたいで爽快な気分が訪れる。



 しかし前日に降った氷雨のせいか、このゴロタ浜の石が凍っていて歩きづらい。手袋を履いていても指先の感覚が無くなり、冷たくてひどく痛む。

 そして目の前に広がるのは生命反応皆無の冷たい真冬の海。今年も安定のノーバイト・ノーフィッシュの日々が続く。




 ピザーラの移動販売車が久しぶりに近くにやってきた。



 ピザ屋がある町までは車で一時間以上かかるので滅多に食べられないと思い、思わず2種類買ってしまった。



 ニューヨーカーと、シーフードイタリアーナ。

 当然ひとりでは食べきれないので残りは冷凍保存。



 スーパの”成人の日フェア”チラシを見ていると何故か無性にお寿司が食べたくなり、思わず衝動買い。

 カンパチ、イカ、エビ、うなぎ。



 マグロとサーモンづくし。

 昼と夜でどうにか完食。お腹いっぱい。



 ついでにカツオの刺身を熱燗で流し込む。至福のひととき。




 時折イライラのスイッチが入る、かんたろう。



 突然、座布団を相手に戦う。



 引っ掻いたり、噛んだり。



 ある程度暴れるたあとは「何もしていません」と開き直る。




 トンは相変わらずかんたろうのことが大好きらしい。



 
 かんたろうは嬉しいくせに少し嫌がっているような素振りを見せる。



 おやすみ、かんたろう。

 今年も十日が過ぎた。まだまだ寒い日は続く。