年が明けてすでに三日が過ぎようとしている。

 昨日の午後、近くの漁村ではまだ船が港に泊まったままで大漁旗が立ち並んでいた。
 誰もいない静かな漁港。



 この海辺の小さな町に引っ越してきて、猫とともにひっそりと過ごす二回目の正月。

 この町では日々季節を感じながら、荘厳な自然とともに時の過ぎゆくままにゆっくりと過ごしてきた。

 そして二回目の正月を迎えた今、私はこの静かな漁港の光景を眺めながら、家庭を失ったことに端を発する中空の心が少しずつ埋め戻っているのに気がついている。


 ふと見上げると、恵比寿神社の祠も何かしら賑やかで、神々しい気配に包まれていた。


 

 早速、早足で向かう。

 そして手を合わせ、今も生きていることを深く感謝し、静かに祈る。



 正月三日目にして今年最初に拝む初日の出。そして初ショアジギング。

 それにしても寒い正月だ。



 リールを巻く手も、竿を握る手も凍るように冷たくかじかんで、動かない。

 湖のような穏やかな波、そして冷気漂う夜明けの静かな海。



 魚の気配は全くないが、去年と同じようにやはり大勢の釣り人で賑わっていた。



 年末12月30日に1匹だけあった1キロの綺麗な天然鯛。偶然にちょうど、何気なく見ている目の前に置かれ、運良く手に入った。




 同じ日、1匹千円の本ヨコ(本マグロ幼魚)を3匹しかなかったがこれも早い者勝ちで仕入れた。



 本ヨコは三日間かけて刺身、漬け丼にして食べ尽くした。鯛は三日寝かせて片身を刺身に、もう片身は昆布締めにした。鯛はまだまだ残っている。



 この時期の鯛は本当に脂が乗って旨い。



 ついでに高知産冷凍のトロ鰹のたたきも正月用に買った。



 そして、大晦日はひとりおせちの準備。



 昼下がりのかんたろうと、トン。

 窓ガラス越しに差し込んでくる、暖かい冬の陽だまりを全身に浴びて、気持ち良さそうに戯れ合う。



 しばらくすると暖かくて気持ちがいいのか、とても眠そうな表情を見せる。



 仲睦まじい姿に、ほのぼのとしたときがゆっくりと流れてゆく。


 

 思わず笑顔がこぼれ、笑ってしまう。幸せなひととき。



 おやすみ、かんたろう。

 今年もトンと一緒に楽しく暮らそう。



 ここ数日、寒気の緩んだ温かく穏やかな日々が訪れている。


 しかし、先週の土曜日から週明けにかけて氷点下の厳しい寒さが続いた。

 そんな冷たい夜明の海は、幻想的な海霧で一面が覆われる。



 土曜日の早朝は氷点下2℃

 海霧が湯煙りのように舞い上がり、遠くの島々が空に浮き上がったように見える。




 そんな中、焚き火をしながら若者たちがヤエン仕掛けでイカを狙っている。何とも、楽しそう。

 この寒さの中、徹夜で頑張っているその若さに感心し、何故か、思わず「乾杯」と心の中で祝福したくなる。

 それは、老いて疲れてしまった私がとっくの昔に無くし、失ってしまったものに対する祝杯だ。



 そして、その土曜日。

 夜明け前、水平線上が少しオレンジ色に染まり始めた頃だった。

 何気なくいつものように寒くてかじかんだ手で淡々とリールを巻いていると、突然ひったくられるような強烈な当たりがあった。

 最後まで暴れ、しぶとく抵抗しながら上がってきたのは70㎝超えのメジロ。

 よく見ると、何と小さなコバンザメが一緒にくっついていた。



 そしてそれ以来、毎朝のようにこの海に通い続けるが今日まで当たりすらない。全く魚の気配が感じられない。見渡す限り釣れている人も見ない・・・。

 いつまで続くのか、この静かなる海。

 来週から訪れる強烈な寒気によって、ますます死の海と化してしまうのだろうか。




 トンとかんたろうはよく遊ぶ。

 戯れているのだろうけど喧嘩ばかりしている。




 トンが寝そべって下から攻撃しようとしている。



 すかさず、かんたろうの左フック。猫パンチ。



 怒声を浴びせながら、押さえ込みに入る。



 「まいった」と甘えるトン。

 のけぞるかんたろう。



 最後は仲直り。

 何とも、微笑ましいショット。

 思わず心が和み、笑顔がこぼれる。



 おやすみ。そしてありがとう、かんたろうと、トン。

 今日はいつもなら淋しさが身に染みる、クリスマスイブ。

 しかし、今年はトンも一緒に、とても賑やかで楽しいイブになりそうだ。




 師走も半ばが過ぎ、いよいよ慌ただしい年の暮れが近づいて来た。しかし、夜明けの海辺は真冬の静かな寂寥感に包まれている。


 澄み切った冷気の中、水平線からゆっくりと昇りゆく太陽が眩しい。


 寒さに震えながら、昇りゆく太陽の曙光に向かって、かじかんだ手でひたすらジグを投げ続ける。すると自然との一体感に包まれ、至福のときが流れる。
 しかし、この日も当たりすらない。


 平日だというのに、釣り人は多い。
 青物狙いのジギングに混じって、この時期は徹夜の若いイカ釣り師も多い。



 何も釣れないので、スーパで地元産朝獲れ天然鯛を買った。春先の綺麗な桜鯛より、冬場の方が脂が乗って美味い気がする。
 寝かして二日目から刺身でいただいた。


 これは昆布締めした三日目の切り身。わさびと塩でいただく。
 鯛は塩で食べると甘味がわかる。
 刺身も美味かったが、特に昆布締めは鯛の脂と昆布の旨味が重なり、ほんのりと上品な甘さが口の中にいつまでも残り、鯛の旨味が堪能できた。

 

 トンが少し大きくなった。いつもびっくりしたような顔で見つめ甘えてくる。
 昼間はかんたろうが寝ているので、けなげにひとりで遊んでいる。


 かんたろうに甘えるトン。
 しかし、固まってキリッとした表情のかんたろう。


 照れているのか、かんたろうはいつもトンに素っ気ない。


 ひとりで羽を伸ばすかんたろう。
 冬の優しく暖かい陽だまりで大あくび。そろそろ昼寝の時間。
 おやすみ、かんたろう。
 昼間もトンとも遊んでやってくれ。