海辺では、冬の訪れをこれでもかと感じさせる、澄み切った冷たい大気の中、全てをオレンジ色に染めて輝く曙光。

 

 

 

 

 その正反対の西の空では、日が昇り、空は白んでもまだまだ沈まない、山際に浮かぶ冬の望月。

 
 
 
 
 
  痛風による足の痛みが嘘のようにとれた一昨日の朝、まだ暗いうちから久しぶりにいつもの海岸に出かけた。そこは投げても投げても何も起こらない静かな海だった。




 
 しかし、その静かな海を全身に感じながら、水平線からゆっくりと昇る太陽の鮮やかな暁光を正面に受け、背後からは沈みゆく儚い月の光を浴びていると、自然の中に溶け込み一体となっている自分を感じ、いつの間にかほのぼのとした幸福感に包まれてゆく。
 
 確かに今、生きているという実感が湧いてくる。
 


 
 
 昼間は、近くの湾内の岸壁で、ちょい投げ30分。まだ、24センチのシロギスがいた。
 捌いて、塩、湯霜、酢じめで一晩寝かす。


 翌日の、いい感じのシロギスと小ヘダイ。
 

 
 近くのスーパーで握り寿司を買ってきて、ハマチ、鯛、エビ・・・を外して。
 外したネタは刺身に。
 
 

 シャリに大葉を挟んで、キスとヘダイを乗せて・・・
 超手抜きだが、美味い。
 簡単に江戸前風握りに変身。
 痛風が治ったばかり、食べ過ぎ飲み過ぎ注意。
 
 
 

 
 めっきり寒くなったので、かんたろうのためにネットで「遠赤外線暖房機」を購入。
 最初は怖がって近づこうとしなかったのに、すぐにこんな状態に。
 
 顔が近い。
 
 
 
 キリッとしてみても、
 
 
 
 すぐ大あくび。
 気持ち良すぎて、眠気が襲う。
 
 
 
 
 思わず、笑ってしまう。いヒヒィ〜。
 
 

 
 うっとりと、顔を洗ったり。
 
 

 
 まるで、かんたろうにとっては太陽そのものの暖かさなんだろう。
 
 

 

 そして公園では絶対見せなかっただろう、こんなポーズのまま、じっとこちらを見つめてくる。
 
 
 買った甲斐があった。
 
 しかし、残念なことに、枕元にこの暖房機を置くと、夜、蒲団に入ってくれなくなったのだ。
 寒くなってからは横になると、すぐ蒲団に入ってきて、ずっと朝まで一緒に寝ていたのに。

  真夜中のかんたろう。



 蒲団から飛び出し、暖房機の前で気持ちよさそうに寝ている。
 
 日はまた昇る。
 
 おやすみ、かんたろう。

 

  澄み切った爽やかな大気の中、すべてを鮮やかなオレンジ色に染めてゆく、水平線に燦々と輝く太陽。

 しかし、何も釣れない。 

 
 

 現金なもので、魚がいなくなると、人もいなくなった。今週は連日地元の人だろう4、5人程度。
 
 ところが、水曜日。
 まだ暗いうちのことだった。緩急をつけたジャカジャカで何となく巻いていると、突然強烈に竿が引ったくられた。
 竿が伸されそうなるのを耐えて、波打ち際まで慎重に寄せたのに、寄せ返す汀の大波と最後の魚の抵抗で、いきなり竿から生命力が消えた。 
 そのとき勢いよく反転する魚の影がちらっと見えた。70センチはあるメジロだった。
 
 たった一度のチャンスだったのに。せっかく運良く喰ったのに・・
 打ちのめされ、悔やまれて、悔しくて、その日なかなか海を後にすることができなかった。
 
 

 散歩がてら、近くの恵比寿神社にお祈りするがやはり、昨日も今日も何の当たりもない、静かな朝の海だった。
 
 
 

 コロナもあり、なかなか大阪にも行けないので、ネットで大好きな大阪寿司の吉野すしを注文。
 
 
 


 早速いただく。
 完璧な、整然とした並び。完成された伝統溢れる、黄金の味。
 熱燗とともに、一気に平らげてしまう。
 

 
 翌日は定番のカツオの刺身。
 
 


  次の日も定番、本ヨコの刺身。
 

 
 そして、またまたカツオの刺身。
 
 
 
 洋食にはビールがあう。
 

 
 中華も。ビールに、熱燗も進む。
 


  つまみは、沢山冷凍ストックしてある、先日釣ったアオリイカで酢の物。
 呑んで呑んで。
 
 
 

    ところが、昨日の夜中から足の親指辺りに違和感が。
 そして今、晴れ上がった足に、激痛が襲っている。
 
 ついに、2年半ぶりの痛風の発作。歩くことも、ままならない。

 あれほど医者に注意されてた、暴飲暴食の結果だと、後悔するが仕方ない。
 ロキソニンを飲んで堪えるしかない。
 月曜日病院に行こう。
 
 
 窓から外を見て黄昏れる、かんたろう。公園を思い出しているのか。
 

 
 昨年の年末。夜の公園でのかんたろう。
 いつも、呼ぶとすぐに出てきた。
 

  同じ頃の昼間の公園。
 帰ろうとしてもストーカーのようにいつまでも、ずっと着いてくる。
 可愛くて、愛おしくて・・後ろ髪を引かれる思いで、なかなか帰れなかった日々。
 
 

 
 思えば、2年半程前に初めて襲われた痛風がきっかけだった。
 あのとき病院にかかると、検査の数値がすべて悪く、医師から生活習慣病の改善として食事制限とウォーキングを勧められ、毎朝この公園を散歩することになったのだ。
 
 運命の日はすぐやってきた。
 歩き始めた初日。その猫は突然現れ、目が合うと、何のためらいもなく近づいてきた。
 遥か昔、高校生の頃飼っていた、溺愛していた猫にそっくりだった。思わず私は『かんたろう』と呼んでいた。

 

 それから激動の日々が流れ、ついに私は家庭を失い、30年間以上勤めた会社を退職し、最期を迎えるための移住地を探して、今この猫と一緒に海辺の小さな町でひっそりと暮らしている。

 
 

 

 ここへ連れてきてもうすぐ9ヶ月。

 そしてもう、師走を迎えようとしている。

 かんたろうにとっては初めての、暖かいお正月もすぐそこだ。

 初めて過ごす、ふたりだけの正月。

 

 おやすみ、かんたろう。

 

  11月に入って、日々早朝のジギングに出かけるも、本当に釣れない。
 何の当たりもない。
 
 そして、何故か晴天の日もずっとうねりが高く、海は時化た日が続いている。 
 

 

 何も起こらない海を目前にして、今や、もう、ときめきすら起こらない。

 10月中旬からの、曙光を一面に浴びながら、海面から沸き上がるようなナブラで蠢いていた喧騒の海は、一体どこに行ったのか。

 
 
 仕方ないので近所のスーパーで魚を買う。
 この日は地元でとれた天然鯛が破格値だったので買って帰り、即刺身に。
 

 まだちょっと身に締まりがない。
 

 でも、甘くて上品な味。
 これから寒くなってくると、どんどん脂が乗ってきて美味くなるはずだ。
 
 
 

 翌日はスマガツオが安かったので刺身に。カツオより少し硬めであっさりしていた。
 

 

 

 その次の日は、本ヨコ(本マグロの幼魚)が綺麗で安かったので、これも刺身。

 小さくても、さすがは本鮪。美味過ぎる。

 醤油に、熱々ご飯、ご飯。

 

 
 
 

 無茶苦茶安かったので、こんなのも酒のつまみに買ってみた。
 小アイゴの一夜干し、8匹で100円。
 
 

 
 こりゃ、熱燗がすすむ。ご飯にもいける。
 

 
 
 
 そして一昨日、早く寝すぎたのか、2時に目が覚めて眠れなくなったので、近くの漁港へ行ってみた。
 アジングのタックルを持って行ったのだが、ふとイカの気配を感じたので唯一タックルケースに入っていた、2.5gのピンクの安いエギをつけてのエギングに変更。
 するとなんと、夜明け前までに0.3kg~0.8kgのアオリイカが6パイ釣れてしまった。
 
 これは運が回ってきたと、ときめきながら慌てて帰って、夜明け寸前にいつもの浜でジグを投げ続けるが、こちらは何も起こらず、静かな海のままだった。 
 

 

 とりあえず、イカはすべて捌いて、分けて冷凍庫へ。

 
 
 
 
 
 最近昼間は暖かいので、ウトウトと昼寝中のかんたろう。
  
 
 
 うつろな瞳で何を想っているのか。
 最近抜け毛が増え、冬に向けて体中が長い毛に変わってきた。
 


 
  夜、独りで晩酌中の私を相手に、公園では絶対見せなかったポーズで誘う。
 
 
 ほろ酔いの朦朧とした意識の中でその姿を見ていると、去年の年末、毎日この子に会いに行っていた淋しい公園での、哀しそうなその表情を思い出した。
 幸せか?かんたろう。
 
 そう問いかけたとき、ふと、何故か、磯の上に立っている自分の姿と、その横で置き竿の石鯛竿が海中に勢いよく見事に舞い込み、突き刺ささっていく情景が浮かんで、体中がときめき、興奮に包まれた。
 そして、今年中にもう一度石鯛釣りに行きたいと、強く思った。

 幸せなのは、私だ。
 
 大きくなったな。
 おやすみ、かんたろう。