澄み切った爽やかな大気の中、すべてを鮮やかなオレンジ色に染めてゆく、水平線に燦々と輝く太陽。

 しかし、何も釣れない。 

 
 

 現金なもので、魚がいなくなると、人もいなくなった。今週は連日地元の人だろう4、5人程度。
 
 ところが、水曜日。
 まだ暗いうちのことだった。緩急をつけたジャカジャカで何となく巻いていると、突然強烈に竿が引ったくられた。
 竿が伸されそうなるのを耐えて、波打ち際まで慎重に寄せたのに、寄せ返す汀の大波と最後の魚の抵抗で、いきなり竿から生命力が消えた。 
 そのとき勢いよく反転する魚の影がちらっと見えた。70センチはあるメジロだった。
 
 たった一度のチャンスだったのに。せっかく運良く喰ったのに・・
 打ちのめされ、悔やまれて、悔しくて、その日なかなか海を後にすることができなかった。
 
 

 散歩がてら、近くの恵比寿神社にお祈りするがやはり、昨日も今日も何の当たりもない、静かな朝の海だった。
 
 
 

 コロナもあり、なかなか大阪にも行けないので、ネットで大好きな大阪寿司の吉野すしを注文。
 
 
 


 早速いただく。
 完璧な、整然とした並び。完成された伝統溢れる、黄金の味。
 熱燗とともに、一気に平らげてしまう。
 

 
 翌日は定番のカツオの刺身。
 
 


  次の日も定番、本ヨコの刺身。
 

 
 そして、またまたカツオの刺身。
 
 
 
 洋食にはビールがあう。
 

 
 中華も。ビールに、熱燗も進む。
 


  つまみは、沢山冷凍ストックしてある、先日釣ったアオリイカで酢の物。
 呑んで呑んで。
 
 
 

    ところが、昨日の夜中から足の親指辺りに違和感が。
 そして今、晴れ上がった足に、激痛が襲っている。
 
 ついに、2年半ぶりの痛風の発作。歩くことも、ままならない。

 あれほど医者に注意されてた、暴飲暴食の結果だと、後悔するが仕方ない。
 ロキソニンを飲んで堪えるしかない。
 月曜日病院に行こう。
 
 
 窓から外を見て黄昏れる、かんたろう。公園を思い出しているのか。
 

 
 昨年の年末。夜の公園でのかんたろう。
 いつも、呼ぶとすぐに出てきた。
 

  同じ頃の昼間の公園。
 帰ろうとしてもストーカーのようにいつまでも、ずっと着いてくる。
 可愛くて、愛おしくて・・後ろ髪を引かれる思いで、なかなか帰れなかった日々。
 
 

 
 思えば、2年半程前に初めて襲われた痛風がきっかけだった。
 あのとき病院にかかると、検査の数値がすべて悪く、医師から生活習慣病の改善として食事制限とウォーキングを勧められ、毎朝この公園を散歩することになったのだ。
 
 運命の日はすぐやってきた。
 歩き始めた初日。その猫は突然現れ、目が合うと、何のためらいもなく近づいてきた。
 遥か昔、高校生の頃飼っていた、溺愛していた猫にそっくりだった。思わず私は『かんたろう』と呼んでいた。

 

 それから激動の日々が流れ、ついに私は家庭を失い、30年間以上勤めた会社を退職し、最期を迎えるための移住地を探して、今この猫と一緒に海辺の小さな町でひっそりと暮らしている。

 
 

 

 ここへ連れてきてもうすぐ9ヶ月。

 そしてもう、師走を迎えようとしている。

 かんたろうにとっては初めての、暖かいお正月もすぐそこだ。

 初めて過ごす、ふたりだけの正月。

 

 おやすみ、かんたろう。