五時半、すっかり明るくなってから出船。
いつもの磯に上がる。
隣の磯にも底物師、二本竿を出している。一本はこちら向きに、この磯のすぐ前に向かって仕掛けを投げ入れている。
まぁ、私は足元の真下を狙っているので関係ないが。
渡船屋にウニがなかったので、餌は全てストックしていた冷凍物。家から釣り場までは近くていいけれど、残念ながら生き餌を売っている釣具屋、餌屋が遠すぎる。
水温が高いのか餌取りが多く、柔らかい餌では底まで持たない。なんの前触れもなく、サザエの餌をいきなり引ったくっていったのは、50㎝近いサンノジ(ニザダイ)。
冷凍のバフンウニをつけても、竿先を叩くだけではっきりとした当たりが出ない。サザエをつけると餌取りの猛攻にあう。竿先が絶えず踊りながらも一向に舞い込む気配はなく、すぐになくなる。
隣の底物師は活きのガンカセで30㎝ほどのイシガキダイを二匹ほど釣り上げリリースしていた。
やはり、ウニがないと話にならないのか。
この日は皆既月食・スーパームーンの大潮だ。夜明けごろが満潮で、昼に向かってみるみる潮が引いてゆく。
冷凍ヤドカリの餌で、竿先を徐々に押さえ込み一度食い上げた後、一気に舞い込んだのは、45㎝ほどの雌の石鯛。竿先が海面に突き刺さるのを待って思いっきり合わせる。久々の心地よい引きを落ち着いてゆっくりと堪能する。
餌もなくなり、干潮で底も見えだしたので昼の13時に帰った。
一匹釣れたら上等だ。三枚に卸して二日ぐらい冷蔵庫で寝かす。
梅雨の晴れ間の、まさしく五月晴れ。
熱を持った曙光が、全ての景色を朱色がかった鮮やかな橙色に染め上げてゆく。
夜明けの海岸は、カラッとしてまだまだ肌寒い。
ジギングは相変わらず何も起こらない。魚の気配が全くない。
昇りゆく朝日に向かってジグを投げ続けていると、詩美豊かな薫風が海面を滑って颯爽と私の体を通り抜けてゆく。何と気持ちのいい朝だろうか。今日も至福のひとときを過ごしている。
今や老いて疲れ、家庭も仕事も何もかも失くしてしまった孤独な私だが、海と対峙し自然を全身で感じているこの自由の時間は何という楽しさだろう。
海を見ながら私は今、自分の求めているものを知った。
自然とともに生きている自由の時間!
昔の日から今日の日まで、私の求めたものはそれだけだった。
遠く、島々が神々しい光の中で、天空に浮び上がったように見えていた。
こんな田舎にも3日間移動販売のピザーラがやってきた。
ニューヨーカーを一つ注文する。
タバスコをかけ熱々を頬張る。久々のピザなのですごく美味しく感じた。
二日寝かした石鯛の刺身。
ちょうどいい硬さと濃厚な旨み。しかし脂が醤油を弾く。
そこで熱々のご飯に何枚か乗せる。すると刺身から油が溶けて染み出す。そこに醤油とすだちを垂らして、息をとめ一気に大口を開けて頬張る。
甘い滋味が、磯の香りが、口いっぱいにひろがる。
この日はスーパーで寿司フェアをしていたので思わず買ってしまった。
うなぎ巻きが特に美味かった。
明石産の美味しそうなタコがあったので薄くスライスして、寿司飯に乗せて食べる。
さすが、濃い旨味が効いた最高のタコ。
握り寿司もサヨリが新鮮でマグロもあっさりとした上品な味だった。
新鮮な獲れたての小鯛が六匹入ってなんと179円。春子にもってこいの大きさ。
早速三枚に卸して塩を20分間当てる。
湯霜にして、氷水に取り、酢につけて冷蔵庫で一晩寝かす。
翌日、寿司飯を炊く。
鰹を買ってきて、生姜醤油に漬け込む。
少し見た目が悪いが、春子と漬け鰹とカニカマの握り寿司の完成。
春子の食感が少し緩い。今度はもう少し塩と酢を効かしてキリッと仕上げたい。
暖かくなってきて、かんたろうは窓際で陽に当たりながらの昼寝に夢中。
私は長い間かんたろうを眺めていても飽きない。
転がるかんたろうに「長生きしてね」と話しかけ、そっと鼻を寄せると太陽に当てた布団のような清潔でいい匂いがした。
美味しそうな、おにぎりのような顔。
眺めているだけで幸福感に包まれる。これもまた何という楽しさだろうか。
猫を見ている自由の時間!
























































