台風襲来前のまだ穏やかな海。


 水曜日、渋い状況の中どうにか45センチのハマチ1匹。 


 翌、木曜日。静か過ぎる海。そんな中、突然目の前で湧いた一瞬のナブラを捉え、小ぶりのシオを2匹釣り上げることができた。



 金曜日からは台風接近のため、海は大荒れだった。
 西日本を縦断し、土曜日の真夜中にかけてこの町も海も直撃した。
 しかし翌日の日曜日は天気が回復していた。
 三連休の真ん中、まだうねりが残り波は高かったが、荒れ後の高活性を期待してか、釣り人は多かった。


 短時間だが夜が明けてから、小規模なハマチの回遊があった。2回のバラシはあったが、どうにか45㎝を筆頭に3匹釣り上げた。


 そして本日連休最終日、晴れの予報だったのに何故か空はどんよりと曇っていて、小雨がパラパラと降っていた。
 

 まだ暗いうちの短時間、まさかのカマスが入れ食いになった。
 うねりがあり、打ち寄せる波が高く釣りづらかったが、明るくなってハマチとシオを追加。


 ハマチ40㎝、シオ30㎝。


 アカカマス5匹。
 うねりが高く、波打ち際で何匹かは外れてしまった。


 カマスは三枚に卸し、塩水で洗い、ザルに並べる。


 扇風機で、30分程度乾かして、塩焼き用に冷蔵庫へ。 


 それにしても魚がありすぎて、どれから食べたらいいのか困ってしまう。

 釣り上げた当日の、コリコリとした食感の旨みの強いハマチの刺身。


 二日寝かしたまろやかな味となった絶妙なシオの刺身。


 昼食はハマチをムニエルにして、パンといただく。


 魚ばかり食べているので、無性にラーメンが食べたくなった。ネットで徳島ラーメンを取り寄せる。


 久しぶりのコッテリ徳島ラーメン。美味くて、汁まで全部飲み干してしまった。


 反省し、あっさりと切り干し大根を作る。

 
 魚のストックがいっぱいあるのに、カツオを買ってしまう。



 台風通過時の夜中、怖がって私の枕元にうずくまって怯え震えていたのが嘘のように、元気に転げ回るかんたろう。


 スマホを向けると顔を背ける。


 やっとこっちを向いてくれた。


 お気に入りの玄関の土間に降りては転がり大あくび。


 玄関で太陽の光を全身に浴びながら半分意識を失っている。


 呼べば、ニャオーと応える。


 おやすみ、かんたろう。
 今日は彼岸の入り、もう秋か・・・。



  先週の水曜日、海と山と川に囲まれたこの小さな町は、局地的な線状降水帯に次々と襲われ続け、記録的な大雨となった。
 水曜日の昼間は国道が冠水して通行止めになり、床上浸水等の被害も多々あった。私の小さな家は高台にあり浸水の被害はなかったが、それでも一箇所窓際からの酷い雨漏りがあった。

 翌日の海。波も高く釣りどころではない。 


 土曜日、やっと波も収まり、雲の間から太陽が覗いた。


 すると、あれほど何の変化もなかった海に生命反応が戻ってきた。ハマチとシオが回遊しているのか、時折小さなナブラが見える。
 10分ほどの時合いだったが、投げる度に次々と当たってきて、ハマチ2匹と小さなシオをどうにか釣り上げた。
 遠くの方で最後にかけた魚はずっしりとした重量感があり、引きも強かったので慎重に寄せてきたが、この魚は波打ち際の大波をうまく利用し、最後の力を振り絞り、力強く反転した。
 そのとき一瞬で竿先が軽くなった。バレないよう竿を立て糸を張って注意していたのに、針が外れてしまった。残念。


 やっと晴れたので昼から近くの岸壁でちょい投げ。湾内はまだまだ水潮で、たくさんのゴミが浮き、濁りもあり、魚の気配が全くない。 


 岸壁キワキワの落とし込み釣りで、サンバソウ(石鯛の幼魚)を多数釣って楽しんだ。
 こんなに小さくても石鯛特有の当たり方をする。餌を咥えてゆっくり引っ張ったり、突然離したりするので、慎重に竿先を送り込んだりして走らせないと釣れないのだ。
 大きくなって、また磯で会おう。


 遠くで何かが流れている。



 何と、大きな木が立ったまま流れている。



 ハマチは45㎝と42㎝。シオは30㎝。


 当日はハマチの片身を刺身に。あとは冷蔵庫で一日寝かす。
 すだちをたくさん絞って、醤油もたっぷりと。コリコリとして美味い。


 翌日、昼食にパンとハマチのムニエル。(写真撮り忘れ)
 夜は、残りのハマチとシオで刺身定食。




 二年前の寂寞とした雨の公園。哀愁漂う秋の夕暮れに黄昏れる、痩せさらばえたかんたろう。


 あの頃、雨の日も雪の日も、私が来るのをただひたすら待ち続けていた。



 やっと、一緒に暮らせた。

 もう冷たい雨に打たれて淋しく震えなくても、何かに怯え、懸命に逃げ惑わなくてもいいのだ・・。


 よく、頑張った。


 よく、太った。


 おやすみ、かんたろう。

 いつの間にかもう、涼しい秋風が吹いている。



 眼に映る情景はすでに夏のなごりか。
 夜明けの海辺には、ひんやりとした大気が漂い始めた。肌を滑ってゆくそよ風が心地よい。


 朝焼けに取り残された有明の月にも哀愁が漂う。秋は知らぬ間に、すぐそこに忍び寄ってきているようだ。


 すっかり生体反応をなくした誰もいない海岸。
 ツバス、シオ祭りで賑わっていた二週間前が嘘のように静まり返っている。


 4キロに及ぶこの海岸、日曜日だというのに釣り人は疎ら。たまに巨大なダツが猛アタックしてくるのみ。



 昼間はまだまだ蒸し暑く、無性にうなぎが食べたくなった。
 いつもの通販で蒸し焼きの柔らかいうなぎの蒲焼を注文。


 もう二度と行けないだろう「野田岩」や「竹葉亭」の味を少しだけ彷彿とさせてくれる柔らかな蒸し焼き。
 その味を堪能していると、私の意識は十何年前の人生全体が輝いていた頃へと戻ってゆく。
 東京で食べ歩いた江戸前の蕎麦や寿司の数々・・・。今はとっくに失ってしまった暖かい家庭・・・。


 しかし涙ぐむこともなく、なぜか笑顔がこぼれる自分に気づく。過ぎ去ったことだ。もう過去に囚われる私ではなくなっている。
 そして今、この海辺の小さな町ではこんな美味しそうな朝獲れの鰹が驚くような安価で手に入るのだ。




 少し涼しくなって、かんたろうはますます元気になっている。


 大きな背中をを見せたり


 一生懸命、伸びをする。


 そして、いつものポーズのまま動かなくなった。


 なんと、眠ってしまっていたようだ。



 おやすみ、かんたろう。
 もうすぐ哀しい秋がやってくる。
 淋しくないか。