眼に映る情景はすでに夏のなごりか。
夜明けの海辺には、ひんやりとした大気が漂い始めた。肌を滑ってゆくそよ風が心地よい。
朝焼けに取り残された有明の月にも哀愁が漂う。秋は知らぬ間に、すぐそこに忍び寄ってきているようだ。
すっかり生体反応をなくした誰もいない海岸。
ツバス、シオ祭りで賑わっていた二週間前が嘘のように静まり返っている。
4キロに及ぶこの海岸、日曜日だというのに釣り人は疎ら。たまに巨大なダツが猛アタックしてくるのみ。
昼間はまだまだ蒸し暑く、無性にうなぎが食べたくなった。
いつもの通販で蒸し焼きの柔らかいうなぎの蒲焼を注文。
もう二度と行けないだろう「野田岩」や「竹葉亭」の味を少しだけ彷彿とさせてくれる柔らかな蒸し焼き。
その味を堪能していると、私の意識は十何年前の人生全体が輝いていた頃へと戻ってゆく。
東京で食べ歩いた江戸前の蕎麦や寿司の数々・・・。今はとっくに失ってしまった暖かい家庭・・・。
しかし涙ぐむこともなく、なぜか笑顔がこぼれる自分に気づく。過ぎ去ったことだ。もう過去に囚われる私ではなくなっている。
そして今、この海辺の小さな町ではこんな美味しそうな朝獲れの鰹が驚くような安価で手に入るのだ。
少し涼しくなって、かんたろうはますます元気になっている。
大きな背中をを見せたり
一生懸命、伸びをする。
そして、いつものポーズのまま動かなくなった。
なんと、眠ってしまっていたようだ。
おやすみ、かんたろう。
もうすぐ哀しい秋がやってくる。
淋しくないか。

















































