今月はじめ、大阪で電車が止まるほどの大雨だった日に、
オウム教祖および実行犯、計7名に死刑が執行されました。
それで図書館でオウムに関連する本を何冊か借りて読みました。
オウム関連は棚にたくさんあったのですが、その中から「なんとなく」3冊選びました。
(もちろん当時リアルタイムで報道に接していましたが、改めて書籍で、あれは何だったのか調べようと…)
『さよなら、サイレント・ネイビー』 伊藤 乾(2006)集英社
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E3%80%81%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%BC%E2%80%95%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E3%81%AB%E4%B9%97%E3%81%A3%E3%81%9F%E5%90%8C%E7%B4%9A%E7%94%9F-%E4%BC%8A%E6%9D%B1-%E4%B9%BE/dp/4087813681
著者は豊田死刑囚と大学院時代ペアで実験をしていたそうです。
さらにこの伊藤乾さんという著者は、東大物理学の博士課程を経て、
東大総合文化研究科博士課程も修了しています。おまけに有名な音楽家だそうです。実家が金持ち?
本の内容は、物理学科時代に実験仲間だった豊田さんが何でこんなことになってしまったのか?
結論としては、「洗脳されていた」ってことです。んで音楽家らしく
音で聞く情報というのは理論よりも脳で先に反応が起こるってこと。条件反射みたいな?
まあそういうのを専門的に書いてらっしゃいました。で、友人の豊田さんは悔い入っているが
死刑を逃れた誰かみたいに器用じゃないので、沈黙してしまっている。友よ、語れ
語ってこそ事件が解明できるのだ。というようなことでした。
個人的には、若い女性助手を登場人物に設定し、対話方式で話が進む部分が嫌でした。
時々そういう手法(対話方式)を取り入れる方がいますが、話が冗長になるので嫌です。
なお豊田死刑囚は死刑執行されていません。
今後の解明のために、元信者の死刑執行はしないほうがよい気はします。
後になれば語り出すことがあるかもしれないからです。 (*2018.7月26日に刑が執行されました)
『A3』 森 達也(2010 集英社)
https://www.amazon.co.jp/%EF%BC%A1%EF%BC%93%E3%80%90%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%91-%E6%A3%AE-%E9%81%94%E4%B9%9F/dp/4797671653
事件後に、オウムの映画(ドキュメンタリー)を撮った監督として、名前は知ってました。
分厚い本なので全部は読まなかったのですが、明らかに病気である「麻原」の精神科治療を
しないのはおかしいということでした。これは上の伊藤さんも書いてました。
他に、主だった死刑囚への面会の様子などが書かれています。
『オウムを生きて』 青木由美子 編 (2010)サイゾー
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E2%80%95%E5%85%83%E4%BF%A1%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%8B%E3%82%8915%E5%B9%B4-%E9%9D%92%E6%9C%A8-%E7%94%B1%E7%BE%8E%E5%AD%90/dp/4904209060
信者の手記集です。末端の信者はこんな感じだったんだーとわかりました。
1995年に地下鉄サリンがあっても、強制捜査があっても、
末端信者たちの信仰生活は淡々を続けられていたんだな。その後真相がだんだんわかって来て
脱会する人、オウムに残ってから改名したアレフに残る人、上祐のひかりの輪に移る人・・・
事件が起こったからとすっぱり縁を切る人ばかりではないんですね。それだけ真剣にやってたから
今更ふつうの社会に戻れないのもある。
手記は大体が普通の信者の話ですが、後ろから二番目の手記[女性・1968年生まれ]は
すごかったです。読みがいがありました。教祖との関係も深かったようです。
今は「ひかりの輪」にいらっしゃるそうですが、「ひかりの輪」は上祐氏をはじめとして
しごく真っ当な考え方をしていると感じます。
一番最後の手記は「四女」でした。
(最近自分の顔をアップにした本を出版したのは「三女」です)
四女は顔出ししていません。1989年生まれ、事件時は6歳だったそうです。
特別な環境下で転々とし、自己肯定感がなく、何度も自殺を試みるなど痛ましい内容でした。