韓国語で出版された同名小説(2009年)の翻訳版を図書館で借りて読みました。
結論、読まないほうがいいです。
『朝鮮王朝最後の皇女 徳恵翁主』権丕暎 著、斎藤勇夫 訳(2013年)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E7%8E%8B%E6%9C%9D%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%9A%87%E5%A5%B3-%E5%BE%B3%E6%81%B5%E7%BF%81%E4%B8%BB-%E6%A8%A9%E4%B8%95%E6%9A%8E-%E3%82%AF%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%A8%E3%83%B3/dp/490690212X
日韓併合後、李方子(梨本宮方子)さんが朝鮮王朝の李垠さんと結婚されたように(1920年)
朝鮮王朝の徳恵(덕혜)さん(李垠と父親が同じ)は、旧対馬藩の家系・宗武志さんと結婚されました。(1931年)
本の最初に書いてあるように、これは事実を基にした「フィクション」だそうです。
時間がもったいないので読まないほうが良いです。
日本語が読みにくくかなりの直訳文で、もう少しなんとかならなかったのかと思います。
長編小説なので、大変な作業だったと思いますが
特に中盤以降は男が女言葉だったり意味不明だったり、訳者の疲れが垣間見えます。
宗武志さんが「農民である」とかおそらく誤訳をしていたり。
翻訳者は今年90歳のお方です。定年後に技術者として韓国と縁を持ったようで、
それはそれで素晴らしいとは思うのですが、同好会誌で訳をしているわけではないのだから。
(しかしたくさん訳本を出されてます・・・他の訳本は大丈夫なのかな。)
韓国ではこの本が70万部を超えるベストセラーになったそうです。
原書は読んでいないので、小説的な面白さは何ともいえませんが
ただ一つ、やっぱりね~とガッカリしたのは
この小説の三ケ所に「慰安婦」の文字が出てくるんです。
・徳恵が少女期に東京に行かされた時、朝鮮の女は慰安婦にされるという噂があった
という部分。え~?1920年代に?
・太平洋戦争末期に東京の街が荒れていて、慰安婦たちがうろうろしていた。
・東京に捨て子が多いけれど、たぶん慰安婦が産んで捨てたのだろう、という部分。
安易です。
このキーワードを差し込んだら共感度が増すんじゃないかなというノリにしか思えない。
整合性は関係ない。韓国人にとって慰安婦というキーワードは良い素材、なんでしょう。
著者(50代くらいの女性)は対馬に旅行に来て、徳恵さんのことを小説にしようと思ったそうです。
対馬にはブランドものを買いに来たのかな?ちょうど流行ってた時期ですよね。
徳恵翁主に関しては
本間恭子 著『李氏朝鮮最後の王女 徳恵姫』(1999年)というノンフィクション本があるそうです。
https://www.amazon.co.jp/%E5%BE%B3%E6%81%B5%E5%A7%AB%E2%80%95%E6%9D%8E%E6%B0%8F%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%A5%B3-%E6%9C%AC%E9%A6%AC-%E6%81%AD%E5%AD%90/dp/4751207253
この情報を得られたのが唯一の利点でした。
検索してるとこんな文章もありました。映画に対する言及もあります。
「朝鮮王朝最後の王女」下川正晴
http://www.spjd.or.jp/?p=2226
参考ー東京新聞「韓国でベストセラー」
https://blogs.yahoo.co.jp/milkmikky22/61742260.html?__ysp=5pys6ZaT5oGt5a2QIOWvvummrA%3D%3D
著書のクォンさんは2010年の時点で55歳です。私が見た写真も50代の頃と思われる。
本間恭子さんは対馬出身の方だそうです。