「です・ます調」 日韓考 | 韓国語教室 とるめんい川西

韓国語教室 とるめんい川西

2005年から兵庫県川西市で韓国語を教えています。

韓国語の丁寧形である「スムニダ」体「ヘヨ」体と
日本語の「です・ます調」の丁寧ぐあいがピッタリ合致しないのは
言うまでもありません。言語が違うのですから。

韓国ドラマのセリフや歌詞が「ヘヨ」体だからといって、全部「です・ます」調に訳していたら、
口調が硬すぎて話になりません。

韓国語の「ヘヨ」体は、日本語の「です・ます調」から「タメ口」の領域まで食い込んでいるのだと思います。



ところで注意しなければならないのは、
韓国語はいったん「ヘヨ体」で話し始めたら
「ヨ抜き」にはしないことです。
すなわち「ヘヨ体」ならずっとそれで通す。パンマル(ため口)と混合にはしません。


考えてみると、日本語は混合が結構許容されているんですよね。

たとえば韓国でホテルマンと日本語で会話したとします。(年齢はホテルマン20代、客40代とする。)

    客    「この近くにサムゲタンの店あります?」
    ホテルマン「はい。○○と××にございます。」
    客    「どっちの方が近い?」
    ホテルマン「○○の方が近いです。」
    客    「あ、そうですか。わかりました。ありがとうございます!」


日本語で考えると、この会話は一般的にありうるし、全く変ではないと思います。
途中で「ですか?」を省略したのは、相手が年下でもあるし親しみを込めた言い方ともいえます。
日本語ではよくこういうことが起こります。すべてに「です・ます」をつけなくてもOK。
肩のこらない会話では、適当に「です・ます」を省略していると思います。

    ホテルマン「ここに割引クーポンがあります。」
    客    「ああ、これ? 」

こういう名詞終わりの場合も「ですか?ますか?」は省略するのが普通です。


でもそれを韓国語に直訳して
손님 :이 근처에 삼계탕 집이 있어요?
호텔직원:네, A하고 B가 있습니다.
손님 :어느 집이 더 가까워?

とか、 
호텔직원:여기 할인 쿠폰이 있습니다.
손님 :아아, 이거?

と突然パンマルになると当惑します。^^;; 
突然ぞんざいになられたような気がして、ちょっとびっくりします。
ちゃんと  
가까워요? とか 
이거요?  と
「ヨ」は省略しないで言って下さい。


「ヘヨ体」で話している相手には、最後まで「ヨ」は省略しないでくださいね。
ただ、自分の感情を独り言のように述べる時は省略してもいいです。
「あら、遠いわね・・・(어머,머네...)」というような独り言の時はOKです。

でも相手に問いかけたり話したりする文章では
ヘヨ体を使うべき相手には、常に「ヨ」はとらないように
日本語の発想の置き換えにはならないように注意してください。

私は韓国語ネイティブではありませんが、
受講生と韓国語で話をしていて
少なくない回数でそういう「当惑」を経験しまして・・・。(何でいきなりパンマル?っていう。。。^^;;)

また別のところでも、「韓国でホテルマンの横にいた同僚の人に睨まれた」という話を聞いたもので。
(맛있어? って言ったのが悪かったのかな~と言う質問でしたが、やはり「ヨ」を省略するのはまずかったと思います。)

そういうわけで、こういうのも習慣の差として押さえておくべきポイントではないかと、
極端にいえば誤解も生じかねない事項だと気になって、記事にした次第です。