スペシャルフライト(特別便) | 東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

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フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランチーフパーサーが語っています

クルーたちにとって

特別便乗務に選出されるのは

やはり名誉なこと

 

政府専用機が投入される前は

昭和天皇の外国訪問とか

田中角栄首相をはじめ歴代首相の

海外公式訪問とか

 

そのたびに特別便乗務の

パイロットやCAたちが

編成された

 

今は政府専用機があるので

民間航空会社が特別便を組むことは

少なくなってしまった

 

そんな名誉あるフライトもしたい・・・

 

だけど、こちらに回ってくるのは

同じ特別便でも、変わったフライトばかり

 

とき折しも、湾岸戦争のあと

 

戦争で混乱している地域に

建築現場などで働いていた

多くのベトナム人労働者が

取り残されていた

 

今度の乗務は

その地域から

すでにパリに脱出してきている彼らを

本国に届ける仕事

 

ベトナム政府から日本政府に協力依頼が

あったようだ

 

パリ ⇒ 成田 ⇒ ホーチミン

 

パリ ⇒ 成田を乗務するチーム

成田 ⇒ ホーチミンを乗務するチーム

男性CAだけの黒服部隊が2編成作られた

 

私は成田からホーチミンまでの担当

6時間弱のフライト

長いフライトなので食事も提供する

 

飛行機はB-747ジャンボ機

 

機内は異様な光景

旅客も全員男性で、しかも労働者風

 

イスラムである中近東は赤い灯青い灯なんてない

禁欲的な国が多い

 

そんな生活に耐え、加えて戦争のストレス

なにが起きるか分からない
女の子(CA)たちは乗せないほうがよいだろう

ということになった

 

そのような特別便を受けるにあたって

会社が要請したのかどうか分からないが

機内の各ドアー付近には

屈強な男性が立っている

 

離着陸のときはCAシートに

一緒に座る

 

仲良くなったので話をしたら

警視庁の刑事さんたちだった

これは心強い

 

隣にいる刑事さんは

普段は反社会勢力を相手に戦っているらしい

どおりで強面で屈強なわけ

 

そんな心配をよそに

ベトナムの人たちは

長時間のフライトで疲れ切っているのか

故郷に帰れる安堵感からか

皆さん、静か

 

なにごともなく

無事、ホーチミンに着陸

 

まだベトナムへ就航していなかった

始めて降り立った空港

ちょっとターミナルまで行ってみるか

 

アオザイ姿の免税店の売り子たち

ああ、ベトナムに来たんだ

 

T・K  ♂

 

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