その日の名古屋発ホノルル行のジャンボ機は
愛知のみならず福井や滋賀、三重からの
お客様で満席
皆さん、これからのハワイ旅行に
胸が膨らんでいる
お客様が全員搭乗し、飛行機のドアが閉まる
ボーディングブリッジが外され
例によってトーイングカーでプッシュバック
その間に、機内では
ご搭乗御礼のアナウンスを行なったり
非常時の説明ビデオを流したり
飛行機は誘導路まで来ている
ビデオを流していると
「ポーン」と呼出し音
呼出し音がなると、天井付近にライトが光る
それでどこからのコールか分かる
見ると、操縦室からの呼出し
受話器をとると機長の声
離陸前の計器類チェックをしているが
レーダーの調子がよくない
ターミナルに戻り、整備士に見てもらうという
「ご搭乗の皆さん、只今、機長が離陸前の計器類チェックを行ったところ、レーダーの作動に異常が見つかりました。整備のために一度ターミナルに戻ることになりました。お急ぎのところ申しわけありません」
飛行機はトーイングカー(Towing Car)に引かれて
さっきまでいたターミナルのスポットへ
ドアーが開けられ
整備士が乗り込んできて2階の操縦室へ向かう
操縦室内で計器類をチェックしたり
パイロットから状況を聞いたり
原因追及をあれこれやっている
20分経っても、30分経っても
まだやっている
お客様は機内で待たされたままになっている
レーダーの調子が悪いことは分っている
だけど、いつまで整備に時間がかかるのか
先の見通しがまったく立たない
お客様は、情報がないのが一番イライラする
とにかく整備さんが一生懸命やっているのだが
こちらにも詳細が入ってこない
こういうときは実況中継するしかない
「ただいま、操縦室に整備スタッフが2名入り、パイロットと話しをしています」
「ただいま、整備スタッフが計器の作動状況を確認しています」
「ただいま、整備スタッフが飛行機を降りました」
「また整備スタッフが操縦室に入りました」
もう1時間も経っている
まだ整備が完了しない
*ジャンボ機はすべて引退、現在は中型機で運航されている
T・K ♂
続きは次回