有料音楽配信について、最近日米で、異なる二つの記事が出ました。


07年の有料音楽配信41%増・日本レコード協会――携帯向け好調


 日本レコード協会(東京・港)は21日、2007年の有料音楽配信の実績をまとめた。全体の売上高は前年比41%増の754億8700万円だった。市場の9割を占める携帯電話向けは若者の需要などを取り込み好調だった。携帯音楽プレーヤーにも転送できるパソコン向けは18%伸びた。ただ、端末の普及が一巡したことなどで、2.7倍になった前年の伸びと比べると大幅に鈍化した。  携帯電話向けは41%増の680億1600万円だった。楽曲の一部だけ聴ける「着うた」は1%増と微増にとどまったが、楽曲を丸ごと一曲聴ける「着うたフル」は91%増と大幅に伸長。年間の売上高で「着うたフル」が「着うた」を上回ったのは初めて。市場拡大にともない全体の伸び率は鈍化しつつあるが、同協会では「高機能の携帯電話端末への買い替えなどでさらに伸びる余地はある」とみている。

(2008年2月22日/日本経済新聞 朝刊)


米音楽ソフト、アップル2位、昨年販売、配信伸びる。


米アップルは二〇〇七年の米音楽ソフト小売市場で、ウォルマート・ストアーズに次ぐ二位に浮上したことを明らかにした。配信サービスが好調でベスト・バイを販売数量で抜いた。調査会社NPDグループがまとめた音楽ソフトの企業別販売実績を基にアップルが公表した。  一曲ごとでも販売する配信の場合は十二曲をCDアルバム一枚と集計。アップルの配信サービス「iチューンズ・ストア(iTS)」は販売数量で二位につけた。iTS利用者が五千万人を超えたことも明らかにした。  アップルは「iPod」とiTSの相乗効果で音楽事業を拡大。米音楽ソフト販売ではアマゾン・ドット・コム、ディスカウント大手のターゲットを相次ぎ追い越し、昨年一―三月には三位に順位を上げていた。 (2008/02/28 日経産業新聞 P 4 )


アメリカのアップルはiPodの販売と音楽配信事業が絶好調ですね。


日本でも有料音楽配信市場が急速に成長しています。


ただし、日本の成長の中心というのは「着うたフル」であって、専用の携帯音楽プレーヤー向けの配信ではない、というところが興味深いと思います。


日本の有料音楽配信市場の9割以上は、携帯電話向けの配信による売上で、パソコン向けは1割です。


この比率は、欧米とちょうど逆になっています。


だから以前から僕は、アップルは欧米では好調で、日本でもiPodはよく売れているけど、iTMS事業は苦戦しているのではないかと思っていました。


もちろん、伸びてはいるわけですが、記事によるとその成長スピードに急激にブレーキがかかっているようです。


なぜ日本では、iTMS(moraなどもありますが)がそれほど伸びないのでしょうか。


ひとつには、欲しい曲がiTMSではまだまだ買えないということがあるのかもしれません。


例えばサザンオールスターズの曲はiTMSでは買うことができません。


だから伸びない。


でもその一方で、着うたフルだって、まだまだDLできないアーティストがたくさんいます。


にもかかわらず、携帯電話向けの配信はまだ成長を続けています。


これにはドコモの端末がHSDPAになり、着うたフルに対応し始めた、ということもあるのかもしれません。


あるいは、他の理由があるのかもしれません。



いずれにせよ、日本の音楽業界も、「レコード製造の売買差益で儲ける」という発想を変えていかなければならない時期にあると思います。


そして、日本の市場では、その大きなヒントの一つが携帯電話であると思います。



今後ずっと、着うたフルでの配信を拒否することで、レコード会社が得るメリットと、失っていくもの、この二つをよく見ながら、次の稼ぎ方を考えていかなければいけないのではないでしょうか。







「米グーグル、成長鈍化懸念で株価低迷、ネット広告伸び悩む。」

2008/02/28 日経産業新聞 P 2


米グーグルの株価低迷が続いている。二十六日は一時、四四六・八五ドルまで下落し、前日終値比四・五七%安の四六四・一九ドルで取引を終えた。昨年三月以来ほぼ一年ぶりの四五〇ドル割れになる。調査会社のリポートをきっかけに、主力のインターネット広告事業に対する成長鈍化懸念が広がったことが影響した。  調査会社のコムスコアは二十五日、利用者がグーグルのネット広告を閲覧する回数が伸び悩んでいるとの今年一月の調査結果を公表。ネット広告収入減につながるとの見方が広がり、アナリストの間で業績予想引き下げなどの動きが相次いだ。グーグルは業績予想を公表していない。  グーグル株は市場予想を下回る決算を発表した二月初めから低迷が続き、年初からの下落率は三割を超える。マイクロソフトに次ぎ二位だった米ハイテク時価総額ランキングでも、IBMに抜かれ三位になった。



成果報酬というアイデアに加え、世の中の無数のWEBサイトをネットワーク化してあらゆるスペースを広告媒体化し、広告受注・掲出フローの革新的オートメーション化で、無数のロングテール広告主から広告費を獲得してきたグーグルですが、最近では人件費比率の増大などが言われており、投資家からの評価は決して満点というわけではありません。


日本ではミクシィも、随分前から新規会員数の伸びが鈍化してきています。やっと会員1000万人越えたところだというのに、です。


このご時世、この業界、ドッグイヤーと言われて久しいですが、成長も早ければ成熟も早い、ということなのでしょうか。


2月3日のエントリ で、


ドラマ「斉藤さん」は、ヒロインと同世代の郊外主婦層にも受け入れられるだろう、と書きました。


ドラマの中で観月ママが主張するのは、「人のものを取るのはいけないこと」「嘘をついてばれなくても、そのことで傷つくのは嘘をついた本人。正直に謝れば確かに一時的には痛みがあるけど、その痛みで子供はもっと大事なことを深く学ぶ」といったようなこと。


つまり、「確かにその通りで、できればみんなそうしたいと思っている。でも大人になると、いろいろな事情や他人との関係が優先して、なかなか正しいと思うとおりにできなくなってしまっているよね」ようなことであり、ある意味「絶対善」に近い命題群なのです。


だからこのドラマは、もちろん近所の公園デビューや学校での人間関係に頭を悩まされる母親層には小さからぬ共感を抱いてもらえるでしょうが、観月ママが主張していることはおそらく、


「会社での人間関係に頭を悩まされているビジネスパーソン」


や、


「クラスでの友人関係に頭を悩まされている高校生」


など、


「およそ恋愛以外の人間関係やコミュティによる拘束」


に悩んでいる人すべてに共感される可能性をもっていると思います。


そんな折、まさにそういう新聞記事がありました。


「斉藤さん」平均視聴率15%超 「カッコイイ」10代支持 2月27日8時1分配信 産経新聞


観月ありさが「NO!」と言える幼稚園児の母親を演じる日本テレビ系「斉藤さん」(水曜後10・0)が視聴者の間で予想外の反響を呼んでいる。主ターゲットの主婦からの共感・応援メッセージが相次ぐ一方、想定外だったティーン層から「斉藤さん、カッコイイ」コールが続々…。平均視聴率15~17%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区)のスマッシュヒットとなっている。


<中略>


ドラマのメーンターゲットである20~40代の主婦からの反響は「斉藤さんに勇気づけられた」「自分のダメさに改めて気づいた」などが大半。「言い方がストレート過ぎる」「現実にはあり得ない話」との反論もあるが、主婦たちの声に次いで目立つのが「斉藤さんみたいな人がいたら日本は変わると思う」といった10代男女からの斉藤さん賛歌。


10代はゴールデンタイムの在宅率も高いですし、十分このドラマのターゲットになり得ると思います。


それにしてもリンク先の記事には、制作サイドは10代からの支持の意外な様子との記述がありますが、案外作り手はこのドラマの可能性に気付いていないものですね。


もっとマーケティング視点を持ち込めば、色々と発想も広がるでしょうから、もったいないですね。

ミュージシャンのm-floが、「限定1枚発売」のニューシングルをリリースするというのが話題になっています。


このニュースは、「超限定もののシングルにファンは垂涎」というような文脈で語られており、多くの人たちは、「ああ、そういう話題化でパブリシティ効果をねらっているのでね」と捉えると思いますが、僕は少し違う側面が、この出来事に存在していると思います。


つまりこういうことです。


彼らはミュージシャンですから、本来「CDが売れてナンボ」のビジネスを行っています。


もちろん今回の一枚発売の楽曲にも制作費というものがかかっていますから、この一枚に限ってのm-floの収支は、計算するまでもなく思いっきり赤字です。


ですから、今回の手口は、彼らが本来依拠しているビジネスモデルの大原則「CDが売れてナンボ」を、真正面から否定するような戦略なのです。


いくらパブリシティ効果があるとはいえ、自分たちのビジネスモデルを完全否定し、かつ収支が赤にしかならないような戦略は、どう考えても非合理的です。


パブリシティ効果が有効なのは、今回のようにジャーナリズムがタダで記事を書いてくれて、かつそれを読んだ人が取り上げられているCDを買いに走る・・・といったプロセスが成立する限りにおいてであって、「買いに走るCD」がそもそも存在しなければ成立しません。


ですから、いくらファンサービスであるとかパブリシティ効果をねらってるものであるとか考えても、「限定一枚」なんて正気の沙汰ではないわけです。


そこでこう考えてみます。


彼ら、正確に言えばエイベックスは、


「もしCDが一枚しか売れなかったとしても、ミュージシャンや『レコード会社』は、食べていくことができるができるのか」


という実験をしているのではないか、と。



僕は深読みをしすぎなのかもしれません。



しかしUSではすでにマドンナやレディオヘッドが、「CDの印税で食べていく」という生計のたてかた以外の方法を模索しています。


そしてエイベックスには、岸博幸氏という、小泉内閣下で竹中平蔵のブレーンとして「通放融合」を推し進めていた急進派のメディア論者が社外取締役としてついています。



今後エイベックスがどのようなビジネスモデルを発見していくのか、注目だと思います。



前回書いたとおり、ドラマ「貧乏男子」の世帯視聴率、やはり伸び悩んでますね・・・。


とは言っても今クールのドラマは全体的にかなり寂しい商業的成績ですけど。


そんな中「薔薇のない花屋」「斉藤さん」、まあまあがんばってますね。


***


日本の広告会社、広告代理店には、「マーケティングプランナー」や「ストラテジックプランナー」と言われる人たちがいます。


よく聞かれるのが、


「広告主の側にもマーケティングセクションがあるのに、なぜ広告会社に同じ機能があるのか?」


ということです。


確かに。



ただ意外と、広告主の皆さんって、自社のマーケットのことをご存じないことがあります。


いや、より正確に言えば、自社や競合の売り上げ・シェアの推移、競合商品のスペックには非常にお詳しいですが、「消費者の潜在的ニーズ」や「世の中全体のトレンド」については、実は把握しきれていないこともあります。


したがいまして、広告会社のマーケティングセクションには、「業界動向の専門家」や「商品スペックの専門家」ではなく、「消費者や社会についての専門家」であることが求められる側面があると思います。



にもかかわらず、実際のところ必ずしもそのような役割を果たせていない場合もあると思います。


近年の広告業界では、クライアントさんに対してパートナーシップの重視を掲げたり、TVCMや新聞広告だけでなく、店頭での販促活動や流通に対するプレゼンテーションなども含めて、クライアントさんの広告・マーケティング活動全般をサポートしまっせということを掲げたりしています。


それはなかなかチャレンジングで意欲的な試みです。


しかしながら、その心意気がある意味行き過ぎてしまって、広告会社のマーケティングセクションが、「クライアントさんが『こういう広告がやりたい』ということの事後的なロジック作り」対応に終始してしまっているケースも少なくないと思います。


そのことは、短期的には「ウチのことをよく理解してくれて機敏に動いてくれるエージェンシーさん」という評価を獲得するでしょうが、中長期的にはクライアントさんのビジネスと消費者・生活者ニーズをどんどん乖離させてしまい、エージェンシーが受け取るはずの広告費を徐々に減らしていくことでしょう。



ここ1~2年の国内経済は実感なき景気回復と言われるように、海外市場をもっている大手企業の好決算に比して内需が伸びない状態です。


2008年もその状況は変わらないでしょう。むしろ悪化する可能性もあります。


そのような中で、日本ではなかなかモノが売れません。


だからクライアントさんはエージェンシーに対して、「マーケティング面でのサポート」をより求めるようになると思います。



そのような時だからこそ間違ってはいけないのは、「マーケティングサポート」というのは、


「クライアントさんのコンベンショナルな戦略仮説を支持するようなデータを探して論理的に肉付けすること」


ではなくて、


「消費者が本当に必要としてることは何なのか、ということから逃げずに、真摯に考え抜くこと」


なのだと思います。

今クールのドラマ、皆さんは何を見てらっしゃいますか。


僕は、


CX「薔薇のない花屋」 主演:香取慎吾、竹内結子

NTV「貧乏男子」 主演:小栗旬

NTV「斉藤さん」 主演:観月ありさ


の三本をHDDレコーダーでチェックしています。


第3回まで終わったところでの各番組の関東での平均世帯視聴率は、


20.14%、14.27%、15.86%です。


「薔薇のない花屋」は月9枠ですし、現在のところ今クールのドラマの中ではダントツのトップ。


「斉藤さん」はそれに続いて第二位。


「貧乏男子」は第三位グループにつけています。


いずれも検討している方といってよいと思います。



ところで最近のドラマは、昔の「トレンディドラマ」、つまり都会のオシャレなマンションに住んでオシャレな仕事をしている30歳前後の独身男女の恋愛模様をタイアップ主題歌ともに描く・・・というタイプの番組がめっきり減ってきていると言われています。


代わって増加してきたのが「母子視聴」タイプのドラマです。


つまり、独身のOLが自分の部屋で一人でお風呂上がりにヨーグルトを食べながら観る恋愛ドラマではなくて、夕食後の中学生くらいの子供とその母親がリビングで、「いやん、小栗君かっこいい」「お母さんは松潤のほうが好きよ」とか言い合いながら観る、学園モノのようなドラマです。


その代表作と言ってよいのが、2005年と2007年にTBSで放送された「花より男子」です。



でも今クールの視聴率上位ドラマを見ていると、また少し様相が異なっています。



「薔薇のない花屋」では、花屋を営む香取慎吾はシングル・ファーザーであり、愛娘を出産した恋人はすでに他界してしまっています。


その恋人役の本仮屋ユイカはすビデオレターのような形で、過去からの語りかける死者としてたびたび登場するのですが、その様子から彼女は本当に誰からも愛されるような女性だったことが示唆されます。


ヒロインである竹内結子はもともとは香取慎吾のことは好きでも何でもなく、彼の身辺調査をするような形で近づくわけですが、そのうち香取の、素朴で飾り気のない、それでいて果てしない包容力のある人柄に惹かれていきます。


そこで描かれるのは、僕たちが日常の都会生活で経験するような恋愛関係、男女関係とは少し異なり、どこかしらおとぎ話の中で描かれる、現実離れした理想的な出会いと関係性のように感じられます。


竹内は香取のことをずっと「ねえ、お花屋さん」と呼ぶのですが、そのあたりに童話のような雰囲気が現れてると思います。


(脚本が野島伸司ですから、なんとなくわかる気がします。)



では「貧乏男子」はどうでしょうか。


いま絶頂の売れっ子俳優、小栗旬の主演ですから、さぞかしスタイリッシュなドラマなのかと思いきや、タイトルからしてそれです。


小栗演じる大学生は、就職も決まってあとは卒業まで楽しい大学生活を過ごすだけ、の大学生。人の良さが取り柄で21のサークルに所属しているくらいですが、それが仇になって他人の借金を背負い込んでしまう。


その借金を返すためにまた友人の力を借りるわけですが、それが原因でさらに借金がふくらんでいくくととになり、ユースケサンタマリア演じる街金に借金を返済するために毎回奮闘する・・・というお話。


ヒロインとしては山田優ちゃんがキャスティングされていますが、小栗君と彼女の間には、恋愛の臭いがほとんど感じられません。


そうではなく、むしろ「男女の間柄ではなく、『人対人』として、どれだけ他人を愛して、信じられるのか」といったようなことがおそらくこのドラマの主題なのです。


そしてそこに「金」という変数が入ってきたときに、莫大な借金を抱える小栗が、それでも「金より友情」と言えるのか、といったところが視聴者に関心を抱いてもらいたいところです。


このドラマにもリアリズムというのはあまり感じられません。


かといって野島の「薔薇」のように、童話のような「非現実性」を含む話でもなくて、どちらかというと「そんなに借金するわけねーだろ」「そんな非常事態に友達は来てくれねーだろ」といったような「非日常的なドタパタ性」がこのドラマの舞台装置だと言えると思います。



それから「斉藤さん」。


こちらは打って変わって、脚本の中にかなり徹底的にリアリズムを入れ込んでいます。


舞台は郊外の幼稚園。


主人公を演じる観月ありさは、幼稚園児の子供をもつ主婦。夫は海外出張という設定で具体的には登場せず、ちょっとドラマを見るとシングルマザーのように見えます。


この観月ママは、曲がったことが大嫌い。郊外コミュニティの中での建前やなれ合いには絶対の妥協せず、自分が正しいと信じることを、子供にもそういう大人になってほしいという思いrから、幼稚園のスタッフや他の子供の母親たち、そして地元の高校の不良にも通していきます。


このドラマは、そのようにして自分の信念を貫いて向こう見ずに行動し、ややもすればコミュニティの中で孤立してしまいそうな観月ママが、周囲の人々を少しずつ味方に付けながら、やがてはコミュニティ全体のモラルを変えてゆく(であろう)様を描いていくのです。


ドラマの中で観月ママが主張するのは、「人のものを取るのはいけないこと」「嘘をついてばれなくても、そのことで傷つくのは嘘をついた本人。正直に謝れば確かに一時的には痛みがあるけど、その痛みで子供はもっと大事なことを深く学ぶ」といったようなこと。


つまり、「確かにその通りで、できればみんなそうしたいと思っている。でも大人になると、いろいろな事情や他人との関係が優先して、なかなか正しいと思うとおりにできなくなってしまっているよね」ようなことであり、ある意味「絶対善」に近い命題群なのです。


だからこのドラマは、もちろん近所の公園デビューや学校での人間関係に頭を悩まされる母親層には小さからぬ共感を抱いてもらえるでしょうが、観月ママが主張していることはおそらく、


「会社での人間関係に頭を悩まされているビジネスパーソン」


や、


「クラスでの友人関係に頭を悩まされている高校生」


など、


「およそ恋愛以外の人間関係やコミュティによる拘束」


に悩んでいる人すべてに共感される可能性をもっていると思います。



さて、これらのドラマはその舞台装置の現実性度合い・日常度合いに差こそありはすれ、共通しているのは、「愛とはどのような形をとるのか」「人にとって大事なものは何か」といったような、ある意味誰もにとって重みのある、普遍的なテーマをその根底にもっているということなのです。


ただ、その支持のされ具合には、やや差が出てくるのではないかと思います。


「薔薇」の香取君と竹内さんの、「こんなのないけど、あったらいいかも」と思わせる不思議な絆の芽生えには憧れ成立するでしょうし、観月ママの、「こんなママいないけど、いたら僕も私も善きことを求めて一緒に行動したいな」と思わせる人間像には共感と勇気が成立すると思います。


いっぽう、「貧乏男子」の小栗君は、「こんなやついないけど、いたら・・・どうなのかね」と思われてしまう部分があるかもしれません。


たぶん、お金より友人が大事、というのは確かに僕たちにとって普遍的なテーマなのですが、「そんなことわざわざドラマで言われなくても知ってるよ」という類のモノなのです。


あるいは小栗君の言う「友達」との関係性が、ドラマ中ではどうも表層的に描かれているために、共感や気づきが生じにくいのかもしれません。


(たとえば「お金より愛が大事」、という命題であれば、ニコラス・ケイジ主演の映画「天使のくれた時間」のようにリアリズムとおとぎ話の上手なハイブリッドで描いてくれれば、どーんと共感をもつことができます。ちなみに原題はThe Family man)



「貧乏男子」はいまのところ3位グループにつけていますが、今後伸びを期待するのはなかなか難しいかもしれ間ませんね。


いっぽう個人的には、ある意味「貧乏男子」よりも貧乏な感じに描かれている「薔薇のない花屋」の香取君と竹内さんの愛の形がどのような姿をとってゆくことになるのか、こちらのほうがひょっとしたら、「お金より友情」を描くのに成功するのかもしれないと思いますし、「斉藤さん」も、「本当に子供のことを愛するとは、どういうことなのか」を僕たちに今一度気づかせてくれるかもしれないと思って観ていきたいと思います。

お笑いスタッフ養成所、説明会2百人 母同伴の女高生も
(asahi.com)


 吉本興業グループが今春、東京・新宿につくる「よしもとクリエイティブカレッジ」の志願者向け説明会が26日、東京・渋谷の「ヨシモト∞(無限大)ホール」で開かれた。約600人の応募者を約200人に絞るほどの人気。母親に付き添われた制服姿の女子高生も見られた。
 同カレッジはテレビディレクターや劇場スタッフらの養成所。吉本興業は、82年からタレント養成所NSCで多くの芸人を育ててきたが、裏方を育てる場も欲しいとの声が上がっていた。同社東京本部が新宿区に移転するのを機に、養成所を併設することになった。


「漫才の日本一を決める大会」である「M1グランプリ」の制作著作保有者は、大阪の朝日放送と吉本興業です。

吉本はM1を主催し、そして所属タレントを多数決勝戦に送り込んでいるだけでなく、その後DVD化する時やネット配信する時などに得られる利益を朝日放送と分け合う権利をもっているわけです。

このあたりが、吉本が単なるタレントマネジメント事務所と異なる点です。

M1のケースに見られるように、近年の吉本は、タレントの出演料だけではなくて、コンテンツそのものの著作権料で儲けるビジネスモデルを模索しています。

「タレントを番組に出演させて、ギャラ500万円儲けて、それで終わり」ではなくて、「その番組がDVD化されてソフトが売れたら、タレントが働かなくても吉本にちゃりんちゃりんとお金が転がり込んでくる仕組み」を作り上げられないか、というわけです。

そのためには、テレビ局との交渉により、何とか連名で番組の著作権保有者に名を連ねておかねばなりません。

実際のところ吉本は、ジャニーズ事務所と並んで、現在テレビ局に対してそのような関係が築ける数少ないタレントマネジメント機関のひとつだと思います。

そしてそのような仕組みを突き詰めていくと、

「番組そのものを自前で作って、それを放送局に売れば、100%著作権を保有できるではないか」

という結論に至ります。

もちろんすでに今の吉本は幾分かの制作機能を保有しており、やろうと思えばそれなりの番組を作ることができるかもしれませんが、テレビ局が作る番組に見劣りしないようなコンテンツをもっと安定的に生産していけるような組織・体制を作っていこうという思惑が、「よしもとクリエイティブカレッジ」の設立に見え隠れしているのではないかと思います。

そのように考えれば、吉本とテレビ局の関係は中長期的にじりじりと変わっていくのかもしれません。
任天堂、営業益が倍増――今期4600億円、「Wii」と「DS」好調
(NIKKEI NET)

 任天堂の業績拡大が続いている。同社は24日、2008年3月期の連結業績見通しを上方修正した。本業のもうけを示す営業利益は4600億円と前期の2倍になり過去最高を更新する。従来予想は4200億円だった。据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」が国内外で好調。携帯型の「ニンテンドーDS」も欧米で伸びている。好業績を背景に年間配当は前期比500円増の1190円とする。
<中略>
 ゲーム機本体の予想世界販売台数もWiiが1850万台、「DS」は2950万台へ上方修正。第3四半期までに100万本以上売れたソフトは、Wii用で14タイトル、DS用で20タイトルになった。



僕が小学生の頃、クラスや世の中全体で初代ファミリーコンピューターが大流行していていたのですが、その頃、僕の家庭ではファミコンを買ってもらえず、クラスメートとソフトの交換をして遊ぶということもできませんでした。

それ以来僕は、テレビゲーム機とほとんど無縁の人生を送ることになりました。

(僕の、協調性がなく根暗な性格というのは、ひょっとしたらこの頃の体験が影響しているのかも知れません。)

だから今でも、ゲームの操作がめちゃめちゃ下手です。

ごくたまにゲーセンに行ったり友人の家でテレビゲームをしたりしますが、下手なのですぐゲームオーバーになり、つまらなくてすぐやめます。

小学生のころ、クラスメートの石井君の家で「ゼビウス」というシューティングゲームをやっていたら、開始五秒で砲弾に激突して死に、大爆笑を誘いました。

とにかく僕にとってテレビゲームというのは、(恥ずかしながら)人生経験の中でものすごく小さなウェイトしかしめていなかったのです。

ところが最近のDSとWiiのヒットにより、100本以上売れるゲームソフトが34本に達しているというではありませんか。

これには少し驚きました。

僕がこの31年間の人生で、ただの1本も買ったことがない「ゲームソフト」というものが、今や世の中でそんなに売れているのです。

どれくらい売れているのかというと、(34本というのは年間ではないと思いますがDSもWiiも比較的新しいゲーム機なので)、2006年度の音楽ソフトにおけるミリオンヒットが邦楽洋楽ひっくるめて「7作品」(うちシングル1作品)ですから、かなり売れていると言ってよいと思います。

しかもそれが、DSとWiiというたった二つのプラットフォーム上で起きていることなのです。


かつてはゲーム業界も音楽業界同様、人口減少と少子高齢化でジリ貧と危惧されていた業界です。

だけど知恵次第で、まったく逆の結果にたどり着くということもあるのです。


DSくらいは買おうかな・・・。
今年の夏に公開予定の映画について、配給側の人と話しているときのこと。

どうやら劇場公開では、M1F1層のデートムービーとしての需要を期待しているとのことなので、

「そうすると、キャストなり脚本なりに、M1F1層が共感できたり魅力を感じるようなマグネット的要素があると思うのですが、それは何ですか?」

とたずねたところ、

「それが・・・ないんですよね・・・」

との答え。

やや絶句してしまいました。


確かに劇場公開する映画にとって、デートムービーとしての市場性があるかないかということは、興行成績を大きく左右すると思います。

だからたとえば、映画のキャストにM1F1層が感情移入できる配役がなかったり、テーマが政治的すぎたり、恋人たちに未来がないような脚本だったりすれば、デートムービーとしては選択されにくくなるケースがあると思います。

M1F1層をターゲットとするのであれば、何かしら彼ら・彼女らが魅力に感じる要素を映画の中心に近い部分にいれておかなければなりません。

そういう要素が無い映画を、広告宣伝でM1F1層に売れ!と言っても無理というものです。

もちろんテレビスポットCM用に、いかにもM1F1が好みそうな恋愛ストーリーに見えるように編集することはできますが、本当はそういうストーリーではないということはネットで検索すればすぐに露見してしまいます。

そのような時代には、エンタテインメント・コンテンツにとっての本質的なマーケティングの必要性が一層増してくるのではないかと思います。
中国が動画共有サイトに規制、国有企業に運営限定
(NIKKEI NET)

中国政府がインターネット上の動画共有サイトの運営を国有企業に限定する新規定を発表、波紋を呼んでいる。「ユーチューブ」に代表される動画共有サイトは中国内でも急増。その大半は新興民営企業で外資系ベンチャーキャピタル(VC)の出資を受けている場合もある。国有企業との提携などで事業継続を目指すとみられるが、VCからの投資獲得は当面困難との見方が広がっている。


中国は日本にくらべて国家による情報統制が厳しい国だと思います。

だからこのような動きは、中国政府が、「民間の動画共有サイト」という国家の統制からある程度自由なところでの言論活動を警戒している、というふうに見ることができるかもしれません。

そのいっぽうで、動画共有サイトが将来的に、現在のテレビに匹敵する主要な情報メディア、あるいは大きな利権を生むビジネスに成長すると中国政府が見ている、というふうに考えることも可能だと思います。

ちょうどアメリカでは、エンタテインメントビジネスに従事する脚本家の労働組合が、インターネットでの配信に伴う報酬をもっと値上げするよう求めてストライキを行っています。

彼らは将来のアメリカにおいて、エンタテインメントコンテンツの主要な流通チャネルが、劇場やテレビ、CATVから、インターネットに移るだろうという可能性をかなり大きく見積もっているのだと思います。

それと同様に今回の中国政府の動きも、言論活動を統制したいという思惑に加えて、動画共有ビジネスを中国の国粋産業的に育成していきたいという思惑もあるのかもしれません。